Free!の最終回に失望しながらも2期を期待する理由

放送前から腐向け全開で「これは見る前からお腹いっぱい」と見始めたFree!は面白かった…面白かった…はずだった。

…が、最終回で失望せざるを得なかった。
てっきり水泳青春ドラマだと思ったけど、これは最初から遙・真琴・渚・凛の同窓会ドラマだったんだな…と。
いや、原作の続き=高校生になった遙・真琴・渚・凛の物語だから、制作側は最初から水泳をやっていた4人の「同窓会ドラマ」として描いたのかもしれない。
そう考えると、あの最終回は大団円で最高の最終回だった。
しかし、水泳青春ドラマとしては最低の最終回だったと私は思う。
主人公・遙が、幼馴染でありライバルでもある凛との過去を吹っ切って「怜がいる今の岩鳶水泳部」を「自分のチーム」として認めた前回11話は一体何だったのか…。
遙だけではない。真琴も渚も小学生時代の凛がいるチームが「自分たちのチーム」と最終回の段階ですら思っているのだ。ただひとり、後から加入した怜だけが蚊帳の外であり、実際怜はそれに嫉妬し苦悩さえする。
しかし、怜は(自分の学校のリレーチームのメンバーから外された)凛を自分の代わりに岩鳶チームに入れ、遙たちと一緒に泳がせることで彼らのしがらみを吹っ切ってやるという男前なことをやってのける。
結局のところ、遙たち4人どころか怜までもが、最終回にもかかわらず「今の岩鳶水泳部<<超えられない壁<<かつてのチーム」だと認めてしまったのである。
最終的にはルール違反を犯してまで再びかつてのチームで泳げたという満足感から遙たち4人はこれまでのしがらみを吹っ切って前に進むことができたのだが…って、ところで私はまた気がついた。
これもまた2期前提の話だったのかΣ(゚Д゚)!!
1期を「同窓会ドラマ」とするなら、しがらみを吹っ切って前に進むことができた遙・真琴・渚・凛は今度こそ「今の自分のチーム」に目を向け、各々の仲間たちと「見たこともない景色」を見るために泳ぐのが2期の話になるのではないだろうか?
おそらくあるだろう2期を見て初めて、この最終回は通過点にすぎなかったと評価できるのではないか?
そういった意味で「水泳青春ドラマ」としての最終回に失望しながらも、Free!の2期を私は期待するわけである。

マジェスティックプリンスが戦隊面白かった理由

マジェプリは夏アニメというよりは春〜夏アニメでしたが…。

すでに終了しているので、いわゆるレビュー的なものは他のレビューサイト様にお任せする(というかしたというか)として、ここでは「マジェプリが戦隊ものとしても立派に機能していた理由」を軽くまとめてみようかと。
出演者にシンケンブルー(相葉裕樹)とゴーカイシルバー(池田純矢)がいた…という部分は外せませんが、ここは置いておきます。


まず、戦隊カラーではないけど個々の機体がレッド・ブルー・パープル・ローズ・ゴールドの5色なこと。
そして初期メンバーが男3女2の近年の戦隊の基本フォーマットだということ。
これが戦隊ポイントその1。
これだけでは別に戦隊魂はくすぐられないよ…と思いますか。そうですか。
敵側は地球(というか地球人類)を侵攻しようとする、あまり仲の良くない血族。戦隊的に言うと、ゴーゴーファイブの災魔一族です(たまたまですが、その敵側のメインキャラの声優が緑川光)。
そしてそのグリリバ演じる敵キャラ=主人公のライバル・ジアートは、戦隊的に言うとシンケンジャーの腑破十臓。いきなり主人公・イズルに目をつけて最大の好敵手と決め付け、それはそれはもうどんなにイズルが嫌がってもストーカーのごとく地の果てまで追ってきます。
ここが戦隊ポイント2。
そして戦隊ポイント3は2クール目から追加メンバー=ブラックの加入
もうここまでくると戦隊ですね。戦隊ですね。戦隊ですね。
1クール目は主人公たちチームラビッツの成長に主軸を、2クール目は敵側との決戦に加えて主人公たちも知らなかった機体や、それこそ自身の出生に関する秘密に主軸が置かれていたものの、残念なことに大半の謎はおそらくあるだろう2期へと投げられた!!
2クール目の終盤=敵との決戦ではあったけど、それは決して最終決戦ではなく、イズルVSジアートの決戦ではあったけど、本当にイズルが勝ったのか…という時点で私は思った。
これはシンケンジャーでいうところの26幕、殿VS十臓1回戦と同じではないか…と
ライバルとの決着はつけたけど、敵本体との決着はついていない。大半の謎が明かされずに終わっている。
これは間違いなく2期前提で話が作られている…!


…ということで、マジェプリ2期早よ!!

PSYCHO-PASS サイコパス #22(最終話)「完璧な世界」

PSYCHO-PASS Sinners of the System

最終回から2週間。お待たせいたしました(?)



ついに槙島との最終決戦。
「貴様は孤独に耐えられなかっただけだ」と言う狡噛さんに、「この社会に孤独でない人間など誰がいる?」と返す槙島。
シビュラの世界には人の輪など必要ない。みんな小さな独房の中で自分だけの安らぎに飼い慣らされているだけ…と、シビュラ社会とそこで生きる人間をそう評する槙島。
雑賀先生のところで狡噛さんが、「槙島は自分が免罪体質だと気づいた時に感じたのは疎外感」と言ってたのは当たってたわけだが、やはり狡噛さんが聞くまでもなく自分から語って下さっちゃったのね…w
16話の直接対決第1ラウンドの時点で「槙島もただの人間」(優れた頭脳と身体能力を持つ超人かと思いきや、狡噛さんとバトルって普通に息切れしている)という伏線があったんだけど、最終回前の急激な小物化を経て、最終話=ラストバトルは全部を通して「槙島もただの人間」だったと描かれているんだよね。
これについては人によって評価は分かれると思う。
シビュラに反逆したという意味では、槙島は最後まで『怪物』として描かれて欲しかった面もあるし、逆にシビュラに反逆したと見せかけて「ただ自分だけを見つめ、自分を完全に理解してくれる人間を探していた」という壮大な「かまってちゃん」という面に関しては「ただの人間」だったのは当たり前かとも思う。
個人的には最後まで『怪物』として描いて欲しかった部分が強いけどね…。踊るの日向真奈美みたいな。
そして槙島は言う。「君だってそうだろ? 狡噛慎也」と。
「誰も君の正義を認めなかった。君の怒りを理解しなかった。だから君は信頼にも友情にも背を向けて、たったひとつ自分に残された居場所さえかなぐり捨てて、ここまで来た」…と。
「誰にも理解されなかった者」という意味では、確かに狡噛さんも孤独だろう。そして今現在、槙島同様、シビュラの外に出たという意味でも、狡噛さんは孤独だろう。
…だが本当にそうだろうか?
「そんな君が僕を笑うのか?」と言う槙島。更に槙島は続ける。「だがね…僕はむしろ君を評価する。孤独を恐れない者を…。孤独を武器にしてきた君を…」と。
でも、槙島は若干間違ってるんだよね。
確かに佐々山を殺されたことに端を発した狡噛さんの怒りや殺意、槙島への執着を誰も「正確には」理解はしなかった。
しかし、正確には理解されなくとも、狡噛さんを理解する・理解しようとする人間はいた。それは朱だったりギノさんだったりとっつあんだったりしたわけだけど、狡噛さんはたとえ自分を理解してくれなくても、他者との繋がりを持っていたし、最後まで捨てようとはしなかった。
今現在、公安局から離反している身であっても、その繋がりは断ち切られていないし、狡噛さんが孤独を武器にしたというよりは、他者を巻き込まないために孤独を選んだという彼の優しさなんだよ、狡噛さんの『孤独』っていうのはさ。
小説版だと、狡噛さんは「潜在犯の人生はいずれ破綻する」と言ってて、槙島に出会ってなくてもいずれ自分の人生は朱ちゃんやギノさんを巻き込んで破綻していただろうとまで言ってるから、そりゃ朱ちゃんやギノさんたちに多大な迷惑はかけたにせよ、それでもまだ自分もろとも全員死なせるよりはよっぽどマシな状態なのかもしれない。
あとアニメ誌の塩谷インタビューによると、OPの倒れてる1係メンツの中に座り込んでる狡噛さんのカットは「公安局にいたままじゃ誰も守れない」という狡噛さんの優しさ的カットなんだそうだ。

そういった意味では、槙島は確かに狡噛さんを最も理解しているのかもしれないけど、「完全には」理解していないと思うんだ。
槙島は狡噛さんのダークサイドは理解してるけど、彼の人間としての情とか優しさまでは理解し得ないと思う。槙島がそういった人間らしい感情を持ち合わせてないから。おそらく、朱のほうが狡噛さんの人間としての情や優しさを理解していると思うけど、朱は狡噛さんのダークサイドを理解してないからなぁ…。


そしてOP前にデカデカと出たサブタイ。


格闘においては俄然槙島が有利で「お前は成長がないな」と言われる狡噛さん。
しかし、ピンチを切り抜け、槙島に傷を負わせることに成功する。
オフィシャルプロファイリングだったか、アニメ誌だったか忘れたけど、16話ではフルボッコにされたのに、狡噛さんが最終話で槙島に致命傷を与えることができた要因というのは「生きる意志」だそうな。
それまで「槙島を殺せるならどうなってもいい」と思ってたのに槙島に負けて、「じゃあどうすりゃいいんだ? そうか気合いだ!」的な感じで狡噛さんが持ったのが「生きる意志」なんだとさ。
「どうなってもいいから殺す」んじゃなく「どんなことがあっても生き残る」ぐらいじゃないと勝てないと悟った結果らしい……が、剣心か!w まぁ、剣心の場合は狡噛さんと逆で、「人殺しの自分の命なんてどうでもいい」と思ってるから勝てないんだよと師匠に痛いところを突かれて「生きる意志を持たなきゃ勝てない」と悟ったんだけどさ。

狡噛さんも槙島も互いに次が最後の一撃…と思った瞬間、ふたりの間で炸裂する電磁パルスグレネード。
投げたのは朱だった。ちなみに槙島、あの傷でグレネードが炸裂する寸前でバク転で蹴り飛ばすという脅威の身体能力w
槙島はグレネードが炸裂した隙に逃走。
朱にドミネーターを向けられ、狡噛さんは観念してナイフを捨てる。

「ここで俺を逮捕してひとりで槙島を追う気か?」と尋ねる狡噛さんに、「そこまで無謀じゃない」と朱は言い、常時パラライザーで固定・セーフティを解除されたドミネーターを渡す。
朱がシビュラにドミネーターを「常時パラライザーで固定・トリガーのセーフティ解除」をさせた目的って、

  • 槙島に対してドミネーターを有効にする
  • 狡噛さんの犯罪係数が300を超えていたとしてもエリミネーターを起動させない
  • 今現在ドミネーターを使えない状態にある狡噛さんにもドミネーターを使えるようにする

という3つの目的があったからか。
まぁ、朱の今の目的自体が

  • 槙島を逮捕し、法に基づいて裁く
  • 狡噛さんを死なせない
  • 狡噛さんを人殺しにさせない=「刑事」として槙島を裁かせる

の3つだから、その全てに対応してて当然か。
しかし朱ちゃん、欲張りすぎやで、アンタ…
ドミネーターを手に取った狡噛さんに、朱は「槙島はパラライザーで麻痺させるだけ。それ以上のことをしたら、私はあなたの足を撃ちます」と脅し警告。
狡噛さんにしてみりゃ、朱に裁かれるかと思ったら、まだ槙島を追わせてくれるという予想外の事態に、この場ではドミネーターを取る以外に選択の余地はないんだけど、「どんな小細工をしたのかは分からないけど、そこまでして自分を最後まで刑事としていさせようとする」朱に対する義理立てという面もあるよな…。最終的に狡噛さんは槙島を自分の手で殺さないと納得できないんだから。
そんな朱に「タフになると思っちゃいたが、まだもう少し可愛げがあってもうよかったと思うぜ」と苦笑する狡噛さん。
これまた小説(ゼロ)の話なんだけど、「佐々山と狡噛さん」、「狡噛さんと朱」って結構似たようなことを繰り返しているんだよね。
事前にゼロ小説担当の高羽が「公安局は似たようなことを繰り返している」って言ってたんだけど、「俺を止めたかったらドミネーターで撃て」っていうのは佐々山が言ってたことで、そう言われて止められなかったのが狡噛さんで、ホントに撃って止めたのが朱。
1話で朱に撃たれたことで「コイツは俺とは違う」と思ったから、狡噛さんは朱に意識的であれ無意識的であれ、かつての自分が夢見てた「刑事としてのあり方」を朱に託したんだろうな…と思ったよね。
確かに「ゼロを読んでから1話からまた見直すと、あのセリフにこんな意味が…とか違う視点が見えてくる」と言ってた意味が分かったわ。
…とはいえ、ゼロ小説の二次創作感は否めないんですけどw

槙島を追跡する狡噛さんと朱。
法=シビュラでは裁けない槙島を逮捕し、法で裁くことにこだわる朱に、狡噛さんは「悪人を裁けず、人を守れない法律をなんでそうまでして守り通そうとするんだ?」と問う。
それに対して朱は「法が人を守るんじゃない。人が法を守るんです」と答える。
「人が事件を起こすんじゃない。事件が人を起こすんだ」…だよね、コレw
「これまで、悪を憎んで正しい生き方を探し求めてきた人々の思いが、その積み重ねが法なんです」
「それは条文でもシステムでもない、誰もが心の中に抱えている、脆くてかけがえのない思いです」
「怒りや憎しみの力に比べたら、どうしようもなく簡単に壊れてしまうものなんです」
「だから、より良い世界を作ろうとした、過去全ての人たちの祈りを無意味にしてしまわないために。それは最後まで頑張って守り通さなきゃいけないんです。諦めちゃいけないんです」…と、自分自身が迷い、考え、たどり着いた『正義』を語る朱。
小説版で、槙島を裁くために朱と弥生が昔の法廷制度や法律について調べる場面があるんだけど、多分、これがあるとこの場面、もっと分かりやすかったかな?
「法は人の思い、人の祈り」。だからその「思いや祈り」を無意味にしないために「法を守る」。それが朱の『正義』。
やはり16話で朱が槙島を殺さなかったのは、「殺せなかった」のではなく「(あえて)殺さなかった」で正解だったんだな…。
そしてやはり、似たもの同士の狡噛さんと朱の分岐点は「怒りや憎しみからくる『殺意』」を持つか持たないか。いや、その「怒りや憎しみ」を超越するかしないか…だったか。
そんな朱に「いつか、誰もがそう思うような時代が来れば、その時はシビュラシステムなんて消えちまうだろう」「潜在犯も執行官もいなくなるだろう」と答える狡噛さん。

「だが…」とその先を続けようとした瞬間、隠れていた槙島がトラックを急発進させ、ふたりを襲う。
寸前で回避し、狡噛さんはトラックにドミネーターを向けるが、槙島に照準が合わないのと、常時パラライザーで固定されているためにデコンポーザーにモードチェンジすることも不可能。
そして狡噛さんが目にしたのは、トラックにしがみつく朱。
朱ェ!! …って、名前呼びかよコウちゃん!!
「咄嗟のことだったので朱呼び」だったらしいが、それってアンタ、心の中では常に「朱」って呼んでたってことかよ、コウちゃん…。アンタどれだけムッツリなんだよコウちゃん…。

朱は猛スピードで走るトラックに必死にしがみつきながら、タイヤを拳銃で撃ち抜くことに成功。
制御を失ったトラックは吹っ飛び、麦畑に横転する。
…え、あんだけ練習した狡噛さんが1発も槙島に当てることができなかったのに、撃ったことがない朱ちゃんが(ry
いや…これは朱ちゃんが持ってる運や…そうや、そうなんや…。ほら…朱ちゃんは「持ってる」子だから…(震え声)。

トラックから投げ出され、倒れる朱に槙島は「いい加減、僕たちを侮辱するのは、やめて欲しい」と、拾い上げた銃を突きつける。
要するにこの話が「男のロマンを女は止められない」だから、「男と男の問題に女が割って入るな」ってことなんだけど、まぁ、槙島から見たら「狡噛さんVS槙島」に割って入ってきた朱は「自分たち(の戦い)を侮辱している」わな。
無慈悲に銃の引き金を引く槙島だが、弾切れ。
「そうか…君は…」と何かを悟る槙島。
これに続く言葉は「(君は)ここで死ぬべきではない」だとフィナーレイベントで明言されたらしいけど、槙島は物事を「偶然」ではなく『必然』と考えている人間だから、ここで朱を撃った銃が弾切れだったのは「朱はここで死ぬべき運命ではない」という『必然』と思ったわけだ。
そして狡噛さんが追ってきていることに気づいた槙島は、銃を捨て、麦畑を歩き出す。
弾切れで役に立たない銃を捨てた…というよりは、自分を追ってくるだろう狡噛さんがそれを手にするために捨てた…ということだろうな。
『必然』で生きている槙島だから、狡噛さんは必ずまたドミネーターを捨てる。そして自分を殺すための武器を持って追ってくる。そのためにはこれ=銃が必要…と考えたわけだ。

横転したトラックを発見した狡噛さんは、朱を安全な場所に運び、再び拳銃を手にする。
排莢し、新しい弾を装填する音で意識を取り戻した朱は、必死に止めるが、「これは俺とアイツだけの問題なんだ」と狡噛さんは槙島を追うため、再び麦畑を走る。
サイコパス最終回の後、フジでSP劇場版が放送されたんだけど、自分でもSPの話を忘れかけてたので見て思い出したけど、SPって「尾形さんの人生をかけた復讐を井上が止める話」なわけよ。そしてサイコパスは「狡噛さんの人生をかけた復讐を朱ちゃんが止められなかった話」なのさ。話自体もそうなんだけど、そういった意味でもサイコパスって踊るよりSPっぽいのよ。
面白いことに、サイコパス放送前に踊るシリーズを放送して、本広総監督だし踊るっぽいのかな? と思わせてサイコパス放送したら全然踊るっぽくなくて、そしてサイコパス終了後にSP劇場版放送したら、「実はサイコパスってSPっぽかったんだよ」という半年かけた壮大なミスリード出題→答え合わせだったなぁ…と思ったよね。
そしてSP劇場版を見て思ったんだけど、井上が尾形さんを止められて、朱ちゃんが狡噛さんを止められなかったのに性別以外の要因があるとしたら、井上は尾形さんを「ただ止めたい」とだけ思ったから止められたのかな…って。朱は「槙島逮捕する」「狡噛さん死なせない」「狡噛さんを人殺しにしない」って欲張りすぎたから止められなかったんだろうな…って。
「もしも」…を考えるのはアレだけど、多分、朱は目的をどれかひとつに絞れたら、その目的・願いを叶えられたはずだと思うんだ。
まぁ、そんな朱ちゃん贈る言葉は「二兎を追う者は一兎をも得ず」…だな。
でもきっと、朱ちゃんはこれからもずっとそうやって、いくつもの譲れない願いを欲張りながら刑事として、人として生きていくんだと思うがな。

最後の瞬間を迎えるべく、麦畑を行く槙島。そして、それを追う狡噛さん。
「誰だって孤独だ。誰だって虚ろだ。もう誰も他人を必要としない」「どんな才能もスペアが見つかる。どんな関係でも取り替えがきく」「そんな世界に飽きていた」…と述懐する槙島。
槙島はさ、『孤独』というものに苛まれてはいたけど、他者との繋がりを持とうとしなかった…というか、犯罪を通してしか他者との繋がりを持てなかった人間だよね。しかもその他者との繋がりは「道具」としての扱いで、かろうじてグソンは腹心とも言えるべき存在ではあったけど、グソンでは槙島を理解できなかった…というか、理解させなかったんだろうなぁ。
免罪体質者で世界から疎外されたと感じ、誰かに目を向けてもらうための手段として犯罪を選んだ。そしてその中で自分を理解してくれる存在を探していた。
でも槙島は「理解して欲しい」とねだるだけで、他者に自分を理解してもらうための努力をしなかった。だから狡噛さんに「ガキと同じ」と言われたんだろうさ。
逆に狡噛さんはちゃんと他者との繋がりを持ち、(理解されないかもしれないけどと思いながらも)理解してもらおうともしてたよね。標本事件の独自資料から始まって、朱が槙島の存在を信じたことから始まる1係のチームワークとかさ。
そりゃ、槙島は免罪体質者でそばに誰もいなくて、狡噛さんは元エリートの現潜在犯で最初からそばにいっぱい人がいた…という人もいるかもしれないけど、免罪体質者であろうがなかろうが、やはり「自ら他者との繋がりを持とうとする」という意志や努力が槙島には欠けていたと思うな。
そういった意味じゃ、やっぱり槙島は狡噛さんを完全には理解してないんだと思うよ。槙島にとっての『孤独』は意味そのまんまの「誰とも繋がりを持てないひとりぼっちの寂しさ・虚しさ」だけど、狡噛さんの孤独はそうじゃないもの。狡噛さんの『孤独』は「誰かを守るためにあえて背を向ける」優しさからくる孤独だもの。
狡噛さんを完全に理解できる人間がいるとしたら、それは槙島と朱、両方の要素を持った人間だろうさ。さっきも言ったように、槙島は狡噛さんのダークサイドを理解したにすぎず、朱は狡噛さんのダークサイドを理解できなかった代わりに、刑事としての狡噛さんや人間としての情や優しさの部分を理解した人間なんだろう。ついでを言えば、狡噛さんは槙島のように、誰かに完全に自分を理解して欲しいなんて、これっぽっちも思っていなさそうだしな。

そして槙島は言う。「でもどうしてかな? 僕が君以外の誰かに殺される光景は、どうしても思い浮かばないんだ」…と。

狡噛さんの「何故だか俺以外の誰かがアイツを殺すってのが想像もつかない」に呼応したセリフなんだけど、実は小説版にはこの狡噛さんのセリフが…ない
その代わりに、公安局に逮捕されることを覚悟した雑賀先生に「公安局から取引があったら乗って下さい」とお願いしてるんだけど…これはそれに対応する場面が最後のほうにあるのでそっちに回す。

麦畑を抜け、丘の上にたどり着いた槙島は、これまでとは違う、純粋な笑みを浮かべ、空を仰ぐ。
最後の時が迫っていた…。

「なぁ、どうなんだ? 狡噛」と槙島は問う。「君はこのあと、僕の代わりを見つけられるのか?」
狡噛さんは答える。「いいや…。もう2度と御免だね」…と。
その言葉を聞き、槙島は子供のような表情を浮かべる。
麦畑を抜けてからのシーンは、一貫して槙島は子供のような表情なんだよね。
まぁ、槙島にしてみたら、「やっと鬼ごっこで捕まえてもらった」「やっとかくれんぼで見つけてもらえた」…という気分なんだろうな。なにせ小説版では「生まれ変わったらもう1度やろう」とまで言っている。
そして狡噛さんは銃の引き金を引き、槙島の身体は地に倒れこんだ…。
死体描写がないので槙島は死んでない説もあるっちゃあるのだが、「槙島は死んだ」ってアニメ誌だかオフィシャルプロファイリングで明言されちゃったよな…。
ちなみに虚淵の当初の案では、狡噛さんなのか槙島なのか分からない男がどこかの山荘にいる…というラストシーンだったようだけど、塩谷が逆に「槙島が死んだ」ことを見せるような演出にしたんだとか…。
というか、槙島は死んでなきゃダメだよ、この話的に。
これで死んでなくて生きてました…だったら、狡噛さんが人生かけた意味がなくなるもの。いや、実は生きてて2期でまた追いかけっこやるという手がないわけじゃないが、このあとの展開的にも死んでないとダメだ。

狡噛さんを追う朱は、銃声で全てを悟る。
そして1話のあの朱のモノローグは、やはり狡噛さんと槙島の結末を見届けた朱が発したものだったか。
…にしても、キャプ画じゃ分かりづらいんだけど、槙島を殺したあとの狡噛さんの表情が、すんごい寂しそうなんだよね…。
小説版の最後で狡噛さんは「失うものは何もない。そう思っていたが、どうやら本当は違っていたらしい。胸に穴を開けられたような気分だ」と喪失感を吐露していて、目的を果たせたという充足感もあっただろうけど、それ以上に喪失感のほうがすごかったんだろうな…この先どうやっていて生きていこうと思うほどの。
でもって小説版では、朱は銃声で狡噛さんが槙島を殺したことを悟って、そこから1話のあのモノローグに「そこには最初から朱が入り込む余地はなかったのだ」とも言っている。
ただ、じゃあこの話に朱の存在が要らなかったかというと、そうじゃない。
朱の存在があったからこそ、この結末があった。
かつて狡噛さんができなかった「執行官を止めるためにドミネーターを撃つ」ということを朱がやってのけた。誰も信じなかった槙島の存在を朱が信じた。朱が1係のチームワークを立て直し、そのチームワークで槙島に迫ることができた。
そういやね、21話で槙島がギノさん・とっつあんチームを狙った意図が分かりづらかったんだけど、小説だと1係のチームワークによって槙島を追い詰めたので、1係を壊滅させることが目的だったらしい。そしてギノさん・とっつあんチームの他に、朱・弥生チームもトラップにかかって朱をかばった弥生が負傷しているんだわ。そういった意味では、(標本事件後、朱が配属されるまでの1係の描写がないからなんとも言えない部分があるけど)朱はスタンドアローンのチームだった1係を、チームワークで動くチームに変革させた…ってことでいいんだと思う。
…そして、最終対決がAパートで終わったということは、Bパートは後日談…よくある仮面ライダーの最終回か!
…しかしこの結末、狡噛さんは果たして本当に勝ったといえるのだろうか?
いや、最初から「勝ち負け」の問題ではない。勝負というよりは「満足行く結末を得られるか得られないか」「この結末にどれほど満ち足りることができるか」という問題だろう。
そういった意味では、槙島のひとり勝ち…だと思う。
もちろん、狡噛さんも「槙島を殺す」という目的を果たせたという面では満足行く結末を得られたのだろう。…が、その後に彼を襲ったのは「喪失感」に他ならない。おそらくは「この先どうやって生きていこう?」と思うほどの。
槙島は狡噛さんに存在を認められ、理解してもらい、そして満足行く結末を得て、満たされたまま死んだ。それはあの子供のような笑顔が証明している。
結局のところ槙島は「どちらが生き残るか」という勝負には負けたけど、狡噛さんに『槙島聖護』という存在を強烈に刻みつけ、そして死んだことによって、互いの「執着の終着」という勝負には勝ったのだ。
もはや勝負というものを超越した狡噛さんと槙島の対決だが、あえてこの対決を勝負というのなら、やはりこの勝負は「槙島のひとり勝ち」という結末なのだろう。



狡噛さんが槙島を殺したことでシビュラとの取引に失敗した朱。
しかしシビュラは、「朱の健康かつ強靭なサイコパスと、明晰な頭脳、判断力は、来るべき新たな時代の市民に示す指標として充分な理想形といえる」「朱はシビュラシステムに対し完全に相反する、感情的反感と理論的評価を抱いており、今なおその葛藤は継続している」と言い、そんな朱を懐柔する手法が確立できたなら、自分たちは社会統制を次の段階に進める上で貴重なサンプルデータを獲得できる…と、朱をまだ利用する気でいた。
シビュラの目的は、「いずれシビュラシステムは実態を見せる時が来る。そのためにはすべての市民がシビュラの正体を認識し、理解した上でシビュラによる統制を享受するようになる環境を整えること」。この課題を達成は、将来の人類社会により盤石な安定と繁栄をもたらす。
朱の動向を観察し解析することは、未来の市民を懐柔し順応させる方法を構築する手がかりになる。そのために今後もシビュラは朱を利用する…と、取引に失敗してなお朱の利用価値を述べるシビュラ。

利用されることが面白くないが、犬死はしたくないし、シビュラ抜きではこの社会が成り立たない…と、ひとまずはその扱いを受け入れる朱。
しかし、法を守ったがゆえに払った犠牲や、守りたいものを守れなかったことを悔やむ朱は、それでもシビュラに抗うことを決意する。
「尊くあるべきはずの法を何よりも貶めることは何だか分かってる?」朱は言う。「それはね、守るに値しない法律を作り、運用することよ」…と。
朱は誓う。守らなければいけない法が過ちなら、それを正すしかない。
「人間を甘く見ないことね」と吐き捨てる朱。
「私たちはいつだってより良い社会を目指してる」
いつか誰かがこの部屋の電源を落としにやって来るわ
「きっと新しい道を見つけてみせる!」
朱は、人間が自らの選択によって「シビュラを必要としない社会」を作ることを誓う。
それがたとえ、自分の代で終わらなくとも。

「シビュラシステム、あなたたちに未来なんてないのよ!」そう叫ぶ朱。
しかし、シビュラは笑う。嘲笑う。
常守朱。抗いなさい、苦悩しなさい。我々に進化をもたらす糧として…」
シビュラは信じて疑わない。自らの支配は永遠に続く…と。
朱は信じ、そしてその道を探す。人類が自らの選択でシビュラを不要とする日が来る…と。

そして2ヶ月後…。
オフィシャルプロファイリングには各事件の起こった日にちが書いてあるんだけど、それによると、この話は2112年11月4日(1話)〜2113年2月11日(最終話Aパート)+4月11日(朱とシビュラの対話後のBパート)までという、実質3ヶ月の話なんだわ。
たった3ヶ月の間に、怒涛のごとく事件が起こって槙島と決戦したっていうジェットコースターぶりに改めて驚いた。

とっつあんの墓参りに訪れたギノさん。手袋でボカしてはいるけど、左手は義手…だよね。
結局、ギノさんは犯罪係数ぶっちぎって140まで行ってしまったものの、狡噛さん同様、執行官として刑事課に戻ることにした…と、とっつあんに報告するギノさん。
「違う道を進めとアンタは言ったが、ご期待には添えなかったわけだ」と親不孝を詫びるギノさん…ノーメガネじゃないっすか!!
そしてギノさん、穏やかになったよね…。おそらく本来のギノさんってこういう穏やかな人だったんだと思うけど。
しかし、こうなったことは「不思議と後悔はしてない」と言うギノさん。
墓前にはとっつあんが狡噛さんに渡したセーフハウスの鍵があるんだけど、これはそのままストレートに狡噛さんが墓参りに来た…ってことらしい。果たしてギノさんはそれに気づいているのか…気づいててくれ、ギノさん!
「刑事(デカ)なんてロクなもんじゃない。それでも誰かが引き受けなきゃならない仕事だ。…そうだろ? 親父…」
ギノさんは父の跡を継ぎ、そしておそらく自分は父に憧れて刑事になったという初心に返って、再び刑事として生きることを誓う。
ギノさんさ、「刑事の勘は俺には備わらなかった才能」と言ってたけど、あの狡噛さんだって執行官になってから刑事の勘が備わったっぽいから、ギノさんだってこれから覚醒して刑事の感が備わった「ベテラン刑事」になれるよ!
…というか、マジメに「執行官 宜野座伸元」とかスピンオフないですか!?
刑事の勘が備わりつつあるんだけど、それを自分ではまだ疑ってるギノさんが、事件の犯人が実は警視庁時代のとっつぁんが取り逃がした犯人で、「親子2代で追うことになるとはな…」とか言いながら執念で捕まえて、「親父があげられなかった犯人、逮捕したよ」って最後に報告に来るような、そんなスピンオフないですか!? …ならテメエが同人誌とかpixivとかで書けという話でもあるがw
ちなみに志恩さんスピンオフは、とある事件の被害者が志恩さんの医学校時代の同期で、事件を追ううちにシビュラ以外にもあった厚生省の暗部に入り込んじゃって、その真相を知った志恩さんが「朱ちゃん、私、これを公表するべきなのかな?」とか苦悩する話とかどうでしょうかね?
マジメに私はスピンオフ「執行官 宜野座伸元」と「分析官 唐之杜志恩」は見たいというか読みたいというか…。小説でいいのでお願いします公式様!

スカートからパンツスーツにスタイルチェンジした朱ちゃん…てか、なんか変わったよな。妙な線引きというか。
まぁ、あんなことがあれば、かつてのギノさんじゃないが、どこかで一線引いちゃうわな…。たとえ本質は変わらないとしても。

槙島の事件で死にはしたが、とっつあんは縢と違って墓があるだけマシ…と語るギノさん。
縢の捜索が打ち切られたことで、縢の死亡を確信したギノさんは、執行官落ちしたからか、何のてらいもなく「上層部はその確証を掴んだ上で発表せずに有耶無耶にしている」と言う。
もうギノさん、どんだけ中間管理職として苦悩してきたんだよ!
ってか、実際、同じ監視官でありながら、朱のサイコパスが濁りにくかったのは、朱の体質もあるけど、ギノさんが中間管理職として朱の分までいろんな苦労をかぶっててくれたから…と明言されちゃってたしなw
朱よ、これから1係の長となった分、苦労しろ。ギノさんの分…いやそれ以上に苦労しろ。それがお前のギノさんへの恩返しってもんだ。

縢の死の真相を知っているが、今はそれについて話すことができない朱は、槙島を殺したあと行方不明になった狡噛さんの所在について話題を変える。
「あれだけ獰猛な猟犬から首輪が外れたら、それはもう狼と変わらない。むしろ野生に戻った分、のびのびとやってるかもしれん」と言うギノさんに、「そんな…気楽なものでしょうか?」と問う朱。
だがギノさんは「執行官だった頃のアイツが気楽にやってたわけでもないだろう。しぶとくて、狡猾で、諦めの悪い男だった。どんな過酷な状況だろうと、アイツはきっと切り抜ける」と、狡噛さんの生存と、この先もどこかで生きていくだろうということを信じていた。
…うん。ギノさんも狡噛さんを理解してたよ。親友として。
もしかしたらさ…いや、付き合いの年月(高等教育課程から12年)からしても、狡噛さんに対する理解度は朱よりギノさんのほうが高いはずなんだ…多分、今となっては。監視官と執行官と道が別れちゃって、ギノさんが意図して狡噛さんを理解しようとしなかったから、朱のほうが狡噛さんを理解したけど、逆に今となってはギノさんのほうがきっと狡噛さんを理解できてる…そんな気がする。同じ男だし。朱が理解できなかった男の意地とやらも、今となってはギノさんは理解しているというか、実際にギノさんも男の意地通して刑事続けてるしな。
それにギノさんもようやく狡噛さんに対して「何も言わなくても俺たち親友だから分かってるよな」という境地に達したのかもしれん。
なにせ最終回前のUstで「宜野座は狡噛に対して『俺たち友達だよな!?』と確認したがるけど、果たして狡噛は宜野座をどう思っている?」という質問に、狡噛さんは「長年コンビ組んでる芸人と一緒で、『長い付き合いだから口に出さなくても分かってる関係』だと思っている」という結論が出ていたので、きっとギノさんも実際もう2度と狡噛さんと会うことはない…という部分からくるものもあるんだろうけど、「俺はお前がどんなでも、どこにいても、ずっとお前の親友だよ」と思うようになったんだろうな…と。…ちなみにホモ的な意味は一切ございませんよw

そしてギノさんは、「むしろ心配なのはあなたのほうだ」と朱を気遣う。
もともと気遣いで朱に苦言を呈していたけど、だからってギノさん、これはデレすぎだよ!!w
しかし執行官になったギノさんは、元監視官だった手腕を生かして、朱ちゃんを上手に支えてくれる気がするんだ…。
だからスピンオフ「執行官 宜野座伸元」を早よ!

「過去よりも未来に目を向けよう」と今度はギノさんが話題を変える。
明日着任する新しい監視官は未成年で、異例の人事…とのこと。
しかし「俺たちにも責任の一端はある」とギノさん。
…ん? どうやら何やら1係の過去に関係があるようだが?
まぁコレが、Bパートラストシーンの伏線になるわけさ。

「ところで、つまんないこと聞いてもいいですか?」と朱。
ギノさんのメガネがダテだということを今更知った朱に、ギノさんは「自分の顔が嫌いでね。特に目元が…」とメガネをかけていた理由を話す…が「だが、もうどうでもよくなったんだ、今は…」と言う。
とっつあん似の目元が嫌で隠してたけど、とっつあんのことをちゃんと父親として受け入れて、それでもうメガネは必要なくなった…ってことか。
とっつあんを越せるかは分からないけど、いい刑事なれよ、ギノ…。

朱が「残された女」なら、もう一方の「残された女」たち=弥生と志恩さんもまた、いなくなった男たちを彼女らなりに偲んでいた。
…ってか、最後の最後にお色気シーンかよ! 遅すぎるだろうがー!!(CVギノ)
しかし、大事なところは見えません! 乳首すら見えません!
スゲェよ、マジメに最初から最後まで乳首まで見せたのは狡噛さんだけだったよ…。
男の意地を貫いた結果、死んだりいなくなったりした男たちに「時代遅れな男たちには、この仕事は向いてないってこと」と言う弥生。しかし志恩さんは「ロマンチストって言ってあげなよ」と言う…が、弥生は「それで慰めになるのかしらね…アイツら」と、彼女なりに寂しさを感じていた。
ちなみに小説版だと、弥生は狡噛さんを自分を執行官にした恩人と思っている部分と、志恩さんとの肉体関係を疑って嫉妬している部分(弥生はガチレズだけど、志恩さんはバイセクシャルなので、弥生は志恩さんがいつまで自分の相手をしてくれるのか不安な部分がある)があって、狡噛さんがいなくなってちょっとでも安心してたら自分は大したろくでなしだ…とこの場面で自嘲している。

そして事件は起こり続ける…というか、1話の再来!
新しい監視官は…覚えてますか? 霜月美佳ちゃん。女子校事件で友人を殺され、弥生の胸で泣いたあの子です。

…そう、「公安局は似たようなことを繰り返している」!!
かつて友にすらなり得るはずだった部下(佐々山)を殺された狡噛さんの元に朱がやってきて、朱は事件を追ううちに友人(ゆき)を殺された。そして今、朱と同じように事件で友人(加賀美)を殺された美佳が朱のもとにやってきた…という繰り返し。
ループEND…なのか?

徹底して1話と同じなんだけど、ギノさんが「今から会う連中を人間だと思うな。ヤツらは獣を狩る獣」と言ったのに対し、朱は「同じ人間ではあるけれど、君とはまったく違う判断基準で犯罪に対処する」と言ってる。
多分、これは「ループ」じゃなく「スパイラル」ENDだな。
円を描いているように見えて、実は螺旋。狡噛さん→朱→美佳と同じをことを繰り返しているように見えるけど、少しずつではあるけど、良い方向へと進んでいく。だから螺旋=スパイラル。
狡噛さんに刑事としてのあり方を託された朱は、自身が信じる正義と、おそらくは自らの意志を継いでくれるであろう美佳、そしてギノさんと弥生、志恩さんの存在に支えられて、社会を良い方向へ…いつか人間が自らの手でシビュラは要らないと選択する世界を築いていくんだろう。そしてたとえそれが朱の代で終わらなくても、朱の意志を継ぐだろう美佳やそれに続く人間たちが、きっとそれを成し得てくれる…と朱は信じているし、私も信じてる。
13話のときに「朱ちゃんニュータイプ説」をここで打ち立ててみたんだけど、多分、それって当たってるのかもなぁ…という気がするのですよ。
免罪体質者ではないけれど、強靭なサイコパスを持つ朱はシビュラ世界におけるニュータイプで、だからこそこの世界=シビュラに疑問を呈することができた(通常ならシビュラに疑問を抱いた時点で反社会的として犯罪係数が上がる)。そして社会秩序のためにはシビュラが必要としながらも、法として正義を執行できないシビュラは間違っているいう考えも持つことができたし、現に抗っている。
おそらく美佳も朱のようなタイプで、今後この世界には朱のような「ニュータイプ」が続々と出てきて、そしていずれは人間が自らの意志でシビュラを必要としない社会を選択するんだろう。朱の正義がこの物語の最後に選択されたということは、この世界の未来はそうなるべく動いているんだと思うし、そうあって欲しい。
だから、この終わり方は「打倒システム」という視点から見ると非常にサッパリしない後味の悪い終わり方かもしれないけど、最初から「システムをどうこうする話にはしない」と言われてたし、「キャラクターがシステムに対して答えを出す」という意味では、朱が「いずれこのシステムを必要としない社会を作ろうとする」という答えを出したという点では非常にとまではいかなくても、希望が持てる終わり方ではないかと私は思う。
…まぁ、どっちにしろ主人公(狡噛さん)が空気という点ではサッパリしないけどなw

そして何事もなかったかのようにこの世界は続いていく…というEDなのだけど、さっき言った雑賀先生の話をここでしようかと。
この、局長室で禾生局長と何か話している人…というのが雑賀先生なんだわ。
放送当時は小説下巻がまだ出てなかったから「なんでここに雑賀先生おるねん!?」って謎だったんだけど、さっきも言ったように小説で、狡噛さんの公安局から取引があったらそれに応じて欲しい…というお願いに応じた形になるらしい。
小説では朱が公安局を離反した狡噛さんが雑賀先生の元に向かったのでは…というところまで突き止めてるから、おそらくは狡噛さんの逃亡に加担した罪に対して何らかの取引を持ちかけられたと思われるんだけど、罪を問わない代わりに公安局の協力者になれ…ってあたりだろうかね? 雑賀先生が分析官になってたらそれはそれで面白そうなんだけど…だからスピンオフ早よ!

そして最後の最後にCパート。
何処かへ向かう船の船室にいる狡噛さん。
その傍らにはタバコと「失われた時を求めて」。
彼は一体この先どこへ向かうのか…?
失われた時を求めて」が狡噛さんと槙島のリンクを象徴するアイテムなのと、朱が「いつか誰かがこの部屋の電源を落としにやって来るわ」とシビュラに言ったことから、その「誰か」=狡噛さんで、狡噛さんが第2の槙島になってシビュラを打倒するのでは…と言われたりしてるんだけど、私はそれはないと思う…というか思いたい。
槙島に「僕の代わりを見つけられるのか?」と問われ、「2度と御免だ」と答えた狡噛さんが、もう1度「誰かを、何かを刈り取る」ということをするとは思えないんだよ…。
ちなみにフィナーレイベントで最終回の後日談がメインキャスト陣の朗読劇で演じられたんだけど、それによると狡噛さんは海外逃亡を示唆する別れの挨拶を電話でしたんだけど、朱に「また会える気がする。監視官や執行官とかではなく、今度はひとりの人間同士として」と言われてるらしいんだ。
とすると、おそらくこの2人が再会することがあるとしたら、近い未来か遠い未来かは分からないけど、朱が望んだようにシビュラが必要とされなくなった世界で…なんじゃないかな。
むしろここまでシステムを打倒する話にしなかったんだから、これで2期とか映画やって、シビュラの真実を知った狡噛さんがシビュラ打倒に走りました…は、ちょっと芸がないというか、じゃあ何のために槙島殺すのに人生かけたんだよ…って話になるしな。
オフィシャルプロファイリングで、「最終回後の狡噛さんはどうなる?」って塩谷が虚淵に聞いたら「一瞬、生きていく糧を失ったあと、1回沈んだところからゆっくりと立ち上がっていくのだろう」と返ってきて、塩谷もそう思った。それでこのCパートを入れた…と言ってるから、ゆっくり休んだあと、どこかでひっそりと…おそらくは狡噛さんの初心であった「誰かを守る」ってことを意識的であれ無意識的であれ、しながら生きてくんじゃないかな…って気がする。
ただこれが小説版だと狡噛さん、えらく疲れてて、「今はとにかくゆっくり休みたい」って言ってんの。でも「これから先、何もいいことがないとしても。失うだけで苦しむだけの人生だとしても。殺人の責任を背負ってしまった体だから。いつか殺される側に回るまで。納得のできる死に方なんてものがあるなら」と、自分なりに罪を償いつつも、いつか誰かに殺されるまで、それでも生きてみよう…みたいなことを言ってるんだよね。
「納得のできる死に方なんてものがあるなら」ってくらいだから、シビュラに殺されるのは気に食わないけど、人を殺した罪を背負っているからいつか誰かに殺されるのは当然と考えているのか…。要するに、このあとの狡噛さんは、率先して死ぬ気はないけど、自らの死に場所を探していく…みたいなカンジなのかもしれないな。
そう思うと、逆に彼の結末は知らないほうがいいというか、「狡噛慎也の物語」はここで終わったほうが綺麗だな。


正義(システム)の連鎖は、終わらない―― Sibyl still continues…」
これでPSYCHO-PASSという物語…というか「狡噛慎也が主人公の物語」は終わったんだけど、これだけで終わらせるには惜しいなぁ…と。
ただ、続編=2期や映画があって欲しいかというと、それはちょっと勘弁してもらいたい派。
あってもスピンオフとか、この世界観のままキャラを一新した別物のドラマ(例えばケイゾクとSPECの関係性みたいな)…かな。
どちらかと言うと、スピンオフは作りやすいと思うんだよね。キャラの掘り下げは圧倒的なまでに不足だからな。むしろスピンオフ展開のためにキャラの掘り下げを最低限に抑えたんじゃないかと思えるほど。
…だから「執行官 宜野座伸元」とか「分析官 唐之杜志恩」を早よ!!(結局求めるところはそこかいw)


ともあれ、無事に「PSYCHO-PASS サイコパス」全22話を完走し、この感想ブログも完走することができました!
初めは…というか、基本的にこのブログは自分の備忘録的なブログなので、自己満足のままに書いてたんですが、ブログコメントや拍手コメントで「いつも見てます」とか「楽しみにしてます」とか「また見に来ます」というコメントを頂き、たいへん励みになりました。ありがとうございました。
今回の最終回分が2週開いてしまって「最終回も楽しみにしてるので頑張って」というコメントも頂きまして、早く書かなきゃな〜と思いつつ、本日になりました。お待たせいたしました。
ひとまず、この原則毎回毎週レビューのこのブログはサイコパス最終回分をもちまして休止となります(元々気が向いた時にしか書いてないようなブログなのでw)。
サイコパス関連…というか、アニメ・特撮関連はTwitter*1のほうでリアルタイムだったりそうじゃなかったりですが、色々とつぶやいておりますので、興味がございましたらそちらのほうでよろしくお願いいたいます。
改めて、半年間このサイコパス感想ブログにお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。
4月期は「非公認戦隊アキバレンジャー痛」「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」「翠星のガルガンティア」「進撃の巨人」「ゆゆ式」「とある科学の超電磁砲S」「よんでますよ、アザゼルさん。Z」あたりを試聴する予定ですが、今のところブログを書く予定はありません。
また何か「これは毎回ブログ書かなきゃ!」と思う作品に出会った時にお会いすることができたら、幸いでございます。

PSYCHO-PASS Complete Original Soundtrack(完全生産限定盤)(Blu-ray Disc付)

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*1:@allred_risa

PSYCHO-PASS サイコパス #21「血の褒賞」

PSYCHO-PASS Sinners of the System

もう最終回が放送されちゃってるわけだが…。



槙島のバイオテロを阻止するため、そして狡噛さんを止めるため、一係メンツもオスプレイで北陸へ向かう。
今回の槙島の引用はマタイ福音書の毒麦のくだり…そのまんまかいw

今回(次回最終回もだけど)ね、機械とか麦畑とか、めっちゃ3DCGが綺麗なんだよ!!

施設への侵入ルートを探す狡噛さんは、一係のオスプレイが施設に着陸するのを目撃。
ついに狡噛さんVS槙島VS一係の三つ巴バトルスタート。

朱に通信を入れ、公安局の権限で施設の電力をカットしろと言う狡噛さん。朱は狡噛さんの目的は施設の機能を停止=セキュリティ落として施設に侵入し、自分たちの先回りをして槙島を殺す気だろうがそうはさせない…と突っぱねる。
狡噛さんは、槙島はバイオテロを起こしてこの国を潰そうとしている、それを阻止するために公安局に選択肢はない、だから電力を止めろ、それでこの国は救われる…と、正論をも述べる。
しかし、朱は「私はあなたも救います。狡噛慎也を殺人犯にはさせません」と、槙島逮捕と狡噛さんを止めること、この2つは必ず実現させる、そのためなら狡噛さんと対立することも厭わない姿勢であることを伝える。
それを聞いた狡噛さんは「なら、早い者勝ちだな」と一方的に通信を切る。…まぁ、朱たちが協力しないわけがないというか、朱たちは槙島のテロ阻止のためにも狡噛さんに協力せざるを得ない状況であることを分かり切ってるしな。

そう簡単に狡噛さんの策に乗りたくない朱は、施設のセキュリティだけ農林省から一時的に権限を移譲してもらえないかとギノさんに尋ねるが、手続きに時間がかかるので、狡噛さん言う通り施設の電力を止めたほうが早いとのこと。
すでに弥生が準備を整えており、あとは発電所からの送電を止めるだけにしていた。

作戦を開始するにあたり朱は、万が一、狡噛さんと遭遇し、その際に狡噛さんの犯罪係数が300を超えてエリミネーターが起動するようなら発砲せずに自分を呼ぶように。自分には切り札がある…とギノさんたちに言う。
事前に朱はシビュラシステムと取引をしていた。
槙島を追うにあたり、ドミネーターのセーフティーを常時解除したまま、パラライザーで固定しろ…とシビュラに持ちかけた朱。
当初シビュラはそれを断るが、局長による強制モード変更を目にしている朱はそれが不可能でないことを知る朱は、「槙島を追うにはそれ相応の武器がいる」「もしドミネーターが使えないなら、より原始的な武器に頼るしかない」「最悪の場合、それで槙島を殺すハメになるかもしれない」とシビュラを脅す。
どんどん狡猾さも手に入れてきたな、朱ニキ様。着々と狡噛さん2号への道を歩んでますぜ…。
それに対しシビュラは「それはあなた方の自助努力の欠落」と突っぱねるが、朱は「私たちの能力には限界があるし、槙島を確保できる確率は100%には及ばない」「ここでシビュラがひとつ特例を認めれば、その確率を少し改善できる」と、「何が最善の判断か考えてみろ」と、どうしても槙島の脳が欲しいシビュラの目的を逆さに取る。
そしてシビュラは、槙島の捕獲達成までの期限つきで、朱のドミネーターのセーフティーを常時解除したままパラライザーで固定する。

朱の様子がおかしい=ひとりで何かを背負いこみすぎていると感じたとっつぁんは、「狡噛の時と一緒だ。突っ走りすぎた監視官の末路なんて、俺はそう何度も見たかない」と朱を心配する。
しかし朱は自分にドミネーターを向けさせ、犯罪係数が正常値であることを確かめさせ、「今の私はシステムの望み通りの人間なんですよ」と言う。
確かに今現在は、あえてシビュラの手駒になってるから「システムの望み通りの人間」だよな…。
しかし、サイコパスというか犯罪係数の低さがこの世界の健康さの指針で、低ければ低いほどこの世界=シビュラに望まれた人間…とすると、シビュラが免罪体質者(の脳)を欲しがる意味が分かるな。
そういった意味じゃ、犯罪係数という指針は、シビュラがシステム進化のために免罪体質者を探し当てるために作った項目みたいな気がするなぁ…。
もともとそういう項目を作ったのはシステムを作った人間たちかもしれないけど、そういう風に数字を割り出してるのはシビュラだから、やっぱり犯罪係数ってシビュラが免罪体質者を探し当てるためにある…よな? シビュラシステムという存在にとっては。

そして朱は弥生に電力カットを指示。
電力がカットされたことで施設が止まり、ひとまず槙島のバイオテロは阻止。
狡噛さんは施設に侵入し…って、ここでサイコパスメインテーマキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
もうなんか最終盤はあの躍動感と疾走感のあるメインテーマ聞けないんじゃないかと思ってたから燃えた! たぎった!
槙島は爆弾、狡噛さんは銃とナイフを装備し、最終決戦に備える。

一方、朱たちも施設に入り、槙島と狡噛さんを探すことにするが、槙島がこの程度の失敗で諦めるとは思えない朱は、彼が非常用電源を取り戻しに来るのでは…と考える。しかし、ギノさんは槙島がこのまま逃亡する可能性もあるとし、朱は二手に分かれることを提案。
弥生は中央管制室に向かう朱に同伴し、本部の志恩さんと連携すれば施設の監視カメラぐらいは制御できるかもしれないと申し出る。
ギノさんはとっつぁんと槙島を追うことになるが、嫌そうな顔をするギノさんに、「荒事は男が引き受けるもんだ」と言う。
…本当に死亡フラグです、ありがt(ry



そしてAパート終わった途端のCMがまさかのホラー映画CM
槙島のバイオテロ阻止したと思ったら、リアル世界でホラー映画CMテロだよ!! 深夜にやめろよ!!



中央管制室に向かう途中、弥生は様子のおかしい朱に「今のあなたは誰よりも前向きなのに、誰よりも落ち込んでいる風に見える」と言う。
ゆきを殺されて以降の経緯を思い出しながらも朱は、「立ち止まっていても何ひとつ解決しない。今はただ進むしかない。どんなに小さくても希望はある。それを諦めない限り、私は最後まで刑事のままでいられる」と呟く。
…あぁ、これか。刑事でいられなかった狡噛さんと、刑事で居続けようとする朱の根本的な違い。
むしろ狡噛さんと朱の人間性の違いというか…。
佐々山が殺されて以降、狡噛さんは希望より『絶望』を多く持ち続けた人間なんだと思う。槙島を捕まえる・裁く・殺すために、「亡霊を追っている」だの「妄想だ」の言われながらも手がかりという希望を探し続け、ようやく槙島に辿り着いたのに、今度は槙島が法で裁けない・裁きたいのにどうしても槙島を生かしたいという連中がいるということで、ついに本当に『絶望』してしまったんだと思う。
もちろん、希望もあったんだとは思うよ。少なくともギノさんたちは懐疑的だった槙島の存在を朱は疑うことなく信じ、途中までは一緒に歩んできた。そういう意味では朱って狡噛さんにとっては『希望』だったんじゃないかな…と思う。
でも、槙島が法では裁けない、むしろ法=シビュラ(狡噛さんはシビュラの真実を知らないので、局長から連なる権力の闇部分だとしか分かってないけど)が槙島を保護したがっていると知った時に、法=シビュラはもちろん、それが支配する社会にも、自分が刑事であることにすら絶望して、全部捨ててしまったんだと思う。
もはや今現在、彼を動かしている「自分がしてきたことをムダにしたくない」という意地と、そこからくる「槙島を殺す」という殺意は、彼の『絶望』そのものな気がするわ…。
逆に朱は、ゆきを殺され、槙島がドミネーター=法で裁けないことに絶望もしたけど、それでも「槙島を正しく裁く方法があるはず」という『希望』を捨てずにいる。
自分に刑事としての信念を教えてくれた狡噛さんが刑事であることを捨ててしまったから尚更、朱は最後まで刑事でいようとするし、朱はどんなに小さくても『希望』を捨てないからこそサイコパスが濁りにくいんじゃないかと思う。
多分、朱はたとえ狡噛さんを救うことができなくても、彼が生きてる限りは絶望はしないんじゃないかな…。冷たいとかドライとかそういう意味じゃなく、「今回は救えなかったけど、次こそは救ってみせる」という暁美ほむら的な…って、朱はまどかじゃなくてほむほむだったのか!! …いや、まどかであり、ほむほむでもある…か?
仮にもし狡噛さんが死んで救えなくても、ゆきの時のように一時的に絶望はするだろうけど、その死を無駄にしないためにも希望を捨てず、じゃあもし次に同じようなことになったら、その時こそは(救えなかった人の分まで)ちゃんと救いたいと全力を尽くすと思う。多分、朱ちゃんってそういう子。
ともすれば、冷たいとかドライだとか思われるかもしれないけど、人を思いすぎて一生懸命で、だからこそ前を向き続けてなくちゃいけないと思うから、立ち止まることを選ばない。一時的には立ち止まるかもしれないけど、またすぐに前を向いて歩き出す。何にも流されず、自分で考え、自分の足で歩んでいく。そのすべてをムダにしたくないからこそ、朱は『希望』を抱き続けられているんだろうと思う。
絶望し続けて『希望』を捨てた狡噛さんと、絶望すら糧にして『希望』を抱き続ける朱とじゃ、完全に朱のほうが強いな…。
そりゃこのドラマ、「女が強い」って言われるわけだわ。

弥生は、そんな朱に「最初は、こんな仕事は到底務まらない、甘そうなお嬢ちゃんだと思った」と第一印象を告白。そして朱はそれに頷く。
しかし弥生は「でも、あの時の印象は完全に間違っていた」と自分の考えは間違っていたと言い、「あなたになら命を預けられる」と、今では朱を信頼していると告げる。
なんかこれ、シンケンジャーで茉子が殿に「丈瑠になら命を預けられる」と言ったシーンを思い出すなぁ…。
あのシーンは家臣全員が「殿に命預ける」って言うんだけど、何故か茉子のシーンが浮かんだ。見た目が弥生と近いせいもあるけど、茉子も弥生も、主なり上司の人間性や背負っているものを完全でないにはせよ理解し、だからこそ信頼し、命を預ける…という部分ではすごく似てる。
このドラマ(もはやアニメじゃなくてドラマだよな、コレ…刑事ドラマ)において、弥生はメイン回はあったけど、キャラとしてはすごく脇役で、担当も主にオペレーター的で活躍も少ないんだけど、実はこのドラマで誰よりも一係メンツを観察し、その人間性やその人が背負っているものを完全にではないせよ理解している人だと思う。
多分、弥生の視点から見た一係メンツ+槙島というものが分かれば、これまた違った各々の人間像が発見できそうな気がするわ。

中央管制室に辿り着いた朱と弥生だが、そこは無人
朱は槙島の目的がここならば、自分よりも正確に槙島の動きを予測する狡噛さんが先回りをしていなければおかしい…と首をひねる。
何かを見落としている…朱はそれを探す。

一方、槙島を探索するギノさんととっつぁん。
ギノさんは、とっつぁんが狡噛さんの逃亡を幇助したと疑っていた。
ちなみに狡噛さん、ギノさんには一言も言わずに去っていったらしい。とっつぁんと話したから、そこから伝わるだろ…みたいなカンジでw 一応、親友なのに…orz
最終話前のUstで、「狡噛さんは一体ギノさんをどう思っているの?」って質問に、狡噛さんにとってのギノさんは長年組んでる芸人みたいなもんで、「付き合い長いから、もう何も言わなくても分かるだろ」的な存在らしく、「お前、俺の親友だよな!?」ってギノさんだけが必死に確かめてる状態らしいw
ラジオドラマで先出しされた小説下巻のボーナストラックが、狡噛さんとギノさんの出会い(学生時代)の話なんだけど、ギノさんにとっちゃ狡噛さんは、出会ってから今まで…というか、この3年間でものすごく変貌しまくってる親友だから、そりゃ「お前と俺はまだ友達だよな!?」と必死に確かめたくもなるわな…。
そしてギノさんは、狡噛さんが槙島殺しの罪をかぶることで、結果として槙島という悪が潰えると思っているとっつぁんを責め、狡噛さんばかりを頼るとっつぁんに「俺には何も期待していない」と、仲間としても親子としても向き合ってくれないことも責める。
…ギノさん、結局アンタ、とっつぁんに自分を見て欲しかっただけかよ…。お前は俺の親父じゃないと言いながらも、やっぱり息子として見て欲しかったのかよ…お前も困ったちゃんだったのか、ギノェ…。
それに対しとっつぁんは「あの男も潜在犯で執行官。俺と同じ穴のムジナ。だがお前は今でも違う道を歩み続けている。それでよかったと心底思っている」と、ギノさんが自分のようにならないでいることが嬉しいと吐露する。
「よくもそんな綺麗事が言えたもんだ」と返すギノさん。
しかし、ギノさんの心中も、とっつぁんの心中も分からんじゃないんだよな…。
ギノさんにしてみりゃ、親父が自分の親友ばかりアテにして、とっつぁんが自分を見てくれないことに怒ってる。もちろんこれはギノさんのワガママではある。なにせギノさんはとっつぁんに息子として向きあおうとしてなかったからね。とっつぁんは自分のせいで息子を不幸にしたという負い目があるから、親として向きあう資格はないと思ってるし、当のギノさんが親子の縁を切ってしまってるから尚更、親として向き合えない。でもギノさんはとっつぁんに息子として見て欲しい…というか、息子としてであれ、刑事としてであれ、「とっつぁんに認めて欲しい」んだと思うよね。
逆にとっつぁんにしてみれば、息子を守るためには手段を選ばない。息子の親友すら生贄にして息子を守ろうとしている。無論、とっつぁんは狡噛さんのことを認めているからこそ、彼が行く道を後押ししたんだけど、ギノさんにとっては「俺の親友だって分かってて行かせた」って部分も怒ってると思う。1回止めることができなかったからこそ、今度こそ親友=狡噛さんを助けたいのに、またとっつぁんは止めるどころか後押ししてしまった。ギノさんは悔しいけど、狡噛さんはとっつぁんに認められてて、自分は認められてないのを分かってるから、尚更とっつぁんに食ってかかるんだと思う。
ギノさんも、とっつぁんが息子=自分を安全な場所に置き続けるために、自分の親友すら利用してるのを分かってるよね…多分。
ギノさん、ホント面倒くさいなw
とっつぁんの思いを本当は分かってんのに、「自分を頼りにしてくれない。認めてくれない」というだけで素直になれないなんて…というか、男って、子供って、そんなもんかもしれないね。親を超えるために生きてんのが子供だからな。そしてその親を超える以前に、肩を並べたかなんて、親が認めてくれなきゃ分からないもんな…。
結局ギノさんってさ、親に憧れて刑事になって、親と同じ職場で働いて、何より親に認めて欲しいだけなんだよな…。
ただ、自分より有能な同い年の親友も同じ職場にいちゃって、親友が親父に懐いちゃって、それで親父は俺より先に親友を男として認めちゃって…と、ちょっと環境が悪かっただけでさ。
ホントはギノさんが気づかないだけで、とっつぁんも狡噛さんも、ギノさんを男として認めてると思うんだけどね…。

自分が見落としている部分を考える朱は、「犯人が逃げて刑事が追う」という先入観があったことに気づく。
でも槙島の見方は違う。槙島は今、朱たちがどれほど窮地に立たされているかを、朱たち以上に理解していると感じた朱。
槙島の目的はバイオテロよりも、それ以上に狡噛さんと戦うことであり、そのために彼の殺意を引き出すこと…そこに気づいた朱は、ギノさんたちが危ないと、弥生には万が一、槙島が非常電源を奪いに来ても最悪はコンソールごと壊して阻止するように命じ、ギノさんたちのほうへと向かう。

その頃、とっつぁんが通路に仕掛けられたトラップを発見するが、ギノさんが反対のトラップに引っかかってしまう。
ギノェ…
トラップによって爆発が起こり、ギノさんはコンテナの下敷きになってしまう。
この時点でギノさんの左腕、かなりの重傷…。

ギノさんを救出しようとするとっつぁんだが、その背後に槙島が…。
格闘になり、槙島を押さえ込んだとっつぁんだが、槙島は持っていた爆弾に着火。
それをギノさんのほうへ投げようとしていることに気づいたギノさんは、とっつぁんに「絶対に槙島を離すな」「アンタは刑事だ、その務めを果たせ!」と自分を犠牲にしてでも槙島を捕らえるように命じる。
それを見た槙島は容赦なくギノさんのほうへを爆弾を放り、とっつぁんはギノさんを助けるために走った。
そして、とっつぁんが爆弾を手にし、逆方向へ投げようとした瞬間に爆発してしまう。

とっつぁんの無残な姿を目にしたギノさんは、コンテナに押しつぶされた左腕を引きちぎる勢いで這い出る。
もうね…ブチブチいってんの…。かろうじて千切れはしなかったけど、肘から下はペッタンコになってたし、アレはもう使いものにならないカンジ。
まだ息はあるものの瀕死の状態のとっつぁん。
その背後で、命拾いした槙島は立ち上がり、これで目的を果たせたとばかりにほくそ笑む。
そこに爆発音を聞いた狡噛さんが駆けつけ、槙島に発砲するが当たらない。逃げる槙島。
そして狡噛さんもとっつぁんの無残な姿を目にし、怒りをあらわにする。しかし、ギノさんととっつぁんのそばに駆け寄りたい気持ちを堪え、振り切るようにして槙島の後を追う。

「なんで犯人(槙島)を逃した」「アンタは刑事(デカ)だろ!」と、とっつぁんが刑事であることを優先しなかったことを怒るギノさん。
しかしとっつぁんは「刑事なんてロクなもんじゃねぇよ…」と笑う。
そうか…刑事なんてロクなもんじゃないと言いつつ、息子が自分と同じ刑事になったことが嬉しかったんだね、とっつぁん…。
ギノさんの顔に触れ、「やっぱ親子なんだなぁ…。目元なんざ、若いころの俺にソックリだ…」と嬉しそうに笑い、とっつぁんは絶命する。
…うぅ、とっつああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっ!!。・゚・(ノД`)・゚・。
縢に続いて二人目の殉職者が…(´;ω;`)
でも、ギノさんととっつぁんが親子と判明した頃から、とっつぁんはギノさんをかばって死ぬ…ってフラグ立ってたしな…。
今まで「征陸」だの「執行官」としか呼んでこなかったギノさんは、ここで初めてとっつぁんを「親父」と呼ぶ…。
「なんで…何でだ? 遅すぎるだろうがーっ!」と泣きながら叫ぶギノさん。
今回のサブタイ「血の褒賞」ってコレか…。
親子に戻りたかった、父に認めてもらいたかったギノさんが払った代償は、大きすぎたな…。
父の死の間際にやっと親子に戻って、そして父に認めてもらえて…でも、遅すぎた…と。
もう、色んな意味での「遅すぎただろうが」だよね。
ギノさんが素直になるのも遅すぎたし、とっつぁんが父親らしいことするのも遅すぎた。互いに歩み寄るのが遅すぎた。
とっつぁんも、ギノさんがどんな思いで自分と同じ刑事になったのかに気づくのも遅すぎたし、ギノさんももっと早くその思いを伝えてたら、もっと早くとっつぁんに認めてもらえてかもしれないよね…。
でもさ、正直、私ゃギノさんが羨ましいわ…。どうでもいい話なんだけど、ウチの親父と私の年齢差って、ちょうどとっつぁんとギノさんの年齢差と一緒で、私が親父に死なれたのがギノさんよりちょっと早いぐらいなんだわ。もうなんかね…かぶりすぎてて泣きたくなったというか泣いたね。私もちょうど親父が死ぬ前にケンカして、そしたら翌日死なれてさ…マジメにそれを後悔しているのだよ。でも、ギノさんは私と違って、ちゃんと親子和解して死に別れたと思うんだ…遅すぎたにせよ。なんにも和解しないまま死に別れられると、マジで引きずるぜ…一生。そういった意味では、ギノさんにはちゃんと救いがあったと思う。

槙島を追う狡噛さん。
そこに彼の怒りを見た槙島は、「ついにまがい物の正義を捨て、本物の『殺意』を手に取ったか。やはり君は僕が期待した通りの男だった」と笑う。
しかし狡噛さんは「だが俺は貴様に何の期待もしちゃいない」「貴様は世の中から無視されてきただけのゴミクズ」と吐き捨てる。
そして「貴様は孤独に耐えられなかっただけだ」「仲間はずれは嫌だって泣きわめいてるガキと変わらない」…とも。
図星を突かれたのか、ここで槙島は初めて動揺したような声色になる。
それに対し、「この社会で孤独でない人間など誰がいる」と返す槙島。
槙島を追い詰めた狡噛さんは、その頭をめがけて発砲するが、それは鏡に写った槙島の姿だった。
狡噛さんの背後から掌底で銃を打ち落とす槙島。
狡噛さんはナイフ、槙島はカミソリを取り出し、いよいよ最終決戦へ…。

そして走る朱は間に合うのか…!?


でもって、21話のネタバレを知ってかなりヘコんだ私は「もう最終話のネタバレは見ない!」と言っていたわけですが、見事にネタバレ回避に失敗し、そのネタバレが特段ヘコむ内容でなかったため、「こうなりゃガッツリ見てやるよ!」と、最後までネタバレバリバリ状態でサイコパスを視聴し終えたことをここにご報告いたしますw


そしてこのサイコパスブログも残すはあと1回となりました。
ウェブ拍手やコメント欄で、「また見に来ます」とか「考察面白い」とか「楽しみにしてます」などのコメントを頂きまして、単に自分の記録として残しておくだけのブログだったんですが、励みになりました。コメントなしで拍手押して下さった皆様も含め、ありがとうございました。
もしかしたら小説版やスピンオフ小説等で4月以降ももう少しだけ続くかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。


PSYCHO‐PASS サイコパス OFFICIAL PROFILING

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小説 PSYCHO-PASS サイコパス (下)

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小説 PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ 名前のない怪物

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PSYCHO-PASS サイコパス #20「正義の在処」

PSYCHO-PASS Sinners of the System


サイコパスクラスタかつ水曜どうでしょうクラスタ、大爆笑。


前回、「喋ったアアアアアァァァァァッ!!」なドミネーターに導かれて朱がやってきたのは、例のノナタワーの秘密の地下区画。
狡噛さんがいなくなったんで、刑事課サイドはシビュラシステムの秘密を暴くんじゃなくて、シビュラのほうから「秘密を開示」されるわけか…朱だけだけど。

一方、槙島は取材記者のふりをして、前回チラッと資料に写っていた農学博士・管巻のもとを訪れていた。
ハイパーオーツの疫病対策に必要なウカノミタマウィルスを作り出し、日本の完全食料自給に貢献した立役者でありながら、現在は引退し、半ば忘れられた存在となっていた管巻に槙島は何の用があったのか…。

ウカノミタマウィスルは害虫や疫病だけを殺す善玉ウィルスでありながら、シーケンサーへの入力次第で麦そのものを攻撃対象に変更することができ、それが行われるとハイパーオーツは死滅。それはすなわち、ハイパーオーツに99%頼りきっている日本の食料そのものが死滅する。
そしてその施設の保安体制は前時代の生体認証システム。サイマティックスキャンは導入されておらず(といっても槙島にとってサイマティックスキャンによるセキュリティなど無意味だが…)、槙島はその施設に入るセキュリティを突破するために必要である指紋や虹彩(眼球)を手に入れるため、管巻を殺害する。

前回、槙島の目的を突き止めた狡噛さんが管巻邸に辿りつくも、すでに管巻は槙島に殺害されたあと。
そして狡噛さんは自分の読みと槙島の狙いが一致したことを確認し、あとを追う。

例の地下区画でシビュラシステムの真相を聞かされた朱。
地下に向かい、行方不明になった縢が死んだ=シビュラに殺されたことを悟る朱に、シビュラは「縢の生涯を通じて社会に果たす貢献より、シビュラの機密漏洩の危険のほうが重大である」と縢を殺害した…と答える。
朱はそれに激怒し、「槙島をさばけなかった役立たず」とシビュラをなじる。

しかし、シビュラは「免罪体質者の発生は確率的に不可避」と「役立たず」であることを認める。
ドミネーターさんの声で、感情なく淡々と言うもんだから、これが逆に神経を逆撫でるんだよねぇ…。
いかに緻密で堅牢なシステムを構築しようと、必ずそれを逸脱するイレギュラーは一定数で出現する…と語るシビュラに、「完璧なシステムが聞いて呆れる」「こんなものが人の生死を決めているなんて」と、今まで信じてきたものを覆された朱。
ただシステムを改善し、複雑化するだけでは永遠に完璧さは望めない。ならば機能ではなく、運用の仕方によって矛盾を解消するしかない。管理しきれないイレギュラーの出現を許容し、共存できる手段を講じることでシステムは事実上の完璧を獲得する。
すなわち、システムを逸脱したイレギュラー=免罪体質者にシステムの運用を委ねる
これが最も合理的な結論…と、シビュラシステムを構成する脳が免罪体質者のものであることを朱に明かすシビュラ。
そして、シビュラの構成員には、かつては槙島よりもはるかに残忍な行為を行った者も多数いた…と、槙島の犯罪など取るに及ばぬことのように語る。

「悪人の脳をかき集めた怪物が、この世界を仕切っていたっていうの?」と驚愕する朱。
名前のない怪物…か。
いや、名前はあるな…シビュラシステムという名が。
しかし、別にこの話を全部知って書いたわけじゃないOPやEDの歌詞が、1クール目も2クール目も見事に当てはまるという奇跡を生んでいるな、サイコパス
1クール目EDの「名前のない怪物」も、ギルティクラウンのいのりが、ギルクラの時空を超えてサイコパス世界に辿りついて、そこで歌をその世界の歌ったよ…的な設定だったらしいんだが、見事にシビュラシステムさんのことに当てはまりましたね。
1クール目OPも、誰にも見せられないもの(殺意)が頭の中に溢れてるけど、ここ(刑事課)が俺の居場所だから今は(その殺意を)満たさないでおく…と受け取れば、刑事でいたいと願った1クール目の狡噛さんだし、2クール目OPも、刑事でいることよりひとりの人間として槙島殺したい2クール目の狡噛さんだし、2クール目EDは、一緒に罪を背負うからひとりで全部抱えないでよ…っていう朱ちゃんやギノさんたちに聞こえるという、「本当に皆さん、脚本最後まで読んで書いたんじゃないんですか?」と疑いたくなるほどのストーリーとの合致が奇跡だな、マジで。

善と悪といった相対的な価値を排斥することで絶対的なシステムが確立される。必要なのは完璧にして無謬のシステムそのもの。それを誰がどのように運営するかは問題ではない。真に完成されたシステムであれば運用者の意志は問われない。シビュラの意志そのものがシステムであり、倫理を超越した普遍的価値基準…と自分たちの存在の正当性を語る。
しかし、朱はかつて様々な罪を犯しながら免罪体質であることから裁かれなかった「悪人」たちの集合体であるシビュラに怒りと嫌悪を抱く。
シビュラの構成員が、かつては人格に多くの問題を抱えていたのは事実。しかし、全員の精神が統合され、調和することによって普遍的価値基準を獲得するに至った。むしろ、構成因子となる個体の指向性は、偏った特異なものほど、シビュラの認識に新たな着想と価値観をもたらし、思考をより柔軟で多角的なものへと発展させる。
その点において、槙島の特異性は極めて貴重なケースで、ひときわ有用な構成員として期待される。
あらゆる矛盾と不公平の解消された合理的社会の実現。それこそがすべての人類の理性が求める究極の幸福。完全無欠のシステムとして完成することにより、シビュラはその理想を体現する存在となった。
そしてシビュラさんは常にそのために進化を求める…と。
だから、シビュラはあんなにも槙島を欲しがる…と。
ただの免罪体質者ではなく、その免罪体質者の中でも特異だからこそ、システムの飛躍的な進化のためもに欲しい…と。
しかし、面白い話だよな。悪人が集まると悪が極まるんじゃなくて、普通になっちゃうのか…。
ドミネーターさんボイスだから感情もなく淡々と語ってるだけなのかもだけど、システムに統合されてる時のコイツらって、感情なさげだよな。…いや、感情がないというより、247人(藤間死亡したから今は246人?)が、個として保たれながらもひとつの人格になってる状態?
少なくとも感情や善悪などといった相対的価値を排斥したことによって、個の集合でありながら逆に冷静な思考を保っているのは、よくある合議制としては理想的というか、シビュラって240名超の合議制でありながらも、思考や知識など、それぞれの個が持つ全てを共有・統合されてシビュラシステムという「個」にもなり得ているから、合議と独裁を同時に兼ね備えている…よねぇ?
よく「このシビュラシステムってクソだろ」って言われてるんだけど、確かにクソな部分はある。しかし、個の集合による合議制でありながらも、その個が持つすべてを共有・統合し、「ひとつの個」として独裁的な決断すらできる…というシステムは、個人的には悪くないと思う。
国会とか見てみろよ…。まだシビュラのほうがマシだと思えるくらいクソだろ…。
しかし、シビュラさんには「狂気」を感じるわけでな…。
そこら辺が嫌悪感を抱く部分かもな。
「何故そんな話を私に?」と問う朱に、シビュラは「朱は我々嫌悪し、憎悪しながらも、シビュラシステムの有意性と必要性は否定できない」「シビュラなくしては現在の社会秩序が成立しないという事実を大前提としている」とし、「正当性よりも必要性に重きを置く朱の価値基準を高く評価している」と答える。
シビュラが朱に真実を開示した理由。それは朱とシビュラが共通の目的意識を持っていたからだった。
故にシビュラは朱がその秘密を暴露してシステムを危険に晒す可能性は限りなく低いと判断した。

それに対し、「ナメるんじゃないわよ!」と憤る朱に、シビュラは再度問う。
「シビュラシステムのない世界を望むか?」…と。
しかし、朱は頷けない。そしてシビュラは朱の思いを見透かしたかのように語る。
朱が思い描く理想は、現時点で達成されている社会秩序を否定できるほど明瞭で確固たるものではない。(つまり、シビュラのない世界を前提としていない)
朱は現在の平和な社会を、市民の幸福と秩序による安息を何より重要なものとして認識している。(人々の幸せを守ることが大切と考えている)
故に、その礎となっているシビュラシステムを憎悪し、否定しようとも、拒絶することはできない。(シビュラがなくなることは社会秩序がなくなるのと同義。故にそれをなくしてしまったら、人々が不幸になる。だからそれはできない)
槙島は「人間が人間らしく生きるためには、シビュラシステムは不要」と考え、朱は「シビュラは歪んだシステムだけど、それがもたらす恩恵で人々が幸福になっている世界を壊したくない。だから歪んでいてもシビュラは必要」と考える。
シビュラシステムという存在に対しての正義の対立=槙島と朱の正義の対立なんだけど、面白いことに、この軸で考えた時、「シビュラなぞ現状どうでもいい」狡噛さんの立ち位置がとても皮肉なのよね。
シビュラから「悪」と判断され、シビュラ(法)で裁けない槙島を裁くには自分が法=シビュラの外に出るしかない…って、自分の意志でも「悪」になろうとしてる狡噛さんが、シビュラを倒す存在=槙島を倒そうとしていることが、結果的には自分を「悪」だと判断したシビュラを守ろうとしているという皮肉がなんともね…。
しかも狡噛さん自身は槙島殺したら、ちゃんと朱(が撃つドミネーター)で裁かれることまで望んでる。…まったく、どこまで自己犠牲の塊なんだよ、この人は…。
分かりにくいけど、やっぱりヒーローなんだよ、この人。狡噛さん自身は「そんな御大層なもんじゃない」って言いそうだけど。

自分の思いを見透かされ、「知ったような口を聞かないで!」と言う朱に、サイマティックスキャンすれば朱の思考は明確に把握できる、虚勢を捨て、腹を割って話し合おう…とシビュラ。
この会見の目的は、朱との協力関係を構築することだ…と。
腹を割って話そう」…水曜どうでしょうか!w
つまりこういうことである。
朱「私は寝ようとしたんですよ。寝ようとしたのが12時ですよ。したら現れたのがこのドミですよ。何の気かしれないけどドミが現れて、【腹を割って話そう】と私にシビュラシステムの正体を明かしたわけですよ」
元ネタはこちら↓

意外とサイコパス水曜どうでしょうは親和性があって、もしかしたら各話で水曜どうでしょうネタに変換できる部分があるんじゃないかというくらい思いつくw
この前のラジオドラマ(佐々山回)なんか、モロに「宜野座さんリバース」だったしw

そして思わずやっつけで作ったよねwww

狡噛さんの暴走とギノさんの消耗によって機能不全を起こしかけている刑事課一係には、新たな統率者が捜査の主導権を握らない限り、槙島の追跡は不可能。
朱もまた、余計な葛藤にとらわれ、本来の潜在能力を発揮できていなかった。状況に対する理解不足が朱の判断力を鈍らせていた。
…まぁ、早い話が、狡噛さんを頼りすぎてたのと、ギノさんに遠慮していたことで、朱は潜在能力を発揮できてなかった…と。
そこでシビュラは朱に秘密を開示し、真相を教えることで朱にモチベーションを与えることにした。

朱もシビュラも、狡噛さんが槙島を裁く=殺すことを否定している。
感情論による無益な犠牲を避けようとしている点で、朱との価値観は共通している…とシビュラ。
しかし朱は「私は槙島の罪が正しく裁かれるべきだと思っているだけ」と返し、シビュラに、法を犯した前科があるのならそれに見合った償いをすべきとと言うが、シビュラは「社会に対する自分たちの貢献はその償いとはしては充分に過ぎる」と答える。
それに対し、朱は「都合がいいのね」と吐き捨てる。
…まぁ、ある意味、脳だけで生かされてこき使われるという懲役だからな…。とはいえ、その懲役が「世界の支配者」というものどうかだが。


Bパート、いきなり朱の\重妄想!/から始まった…w

コミカライズの1話であった、就職先決定のシーンから、2話の縢との会話シーン。
様々な職種に適性が出て、どれを選べばいいか分からず悩んだ朱に、「人生を悩むことができた」と言う縢。それに対して朱は「それを悩むことができるって、本当はとても幸せなことじゃないか」と答える。
なんという超ロングパス回収…。梅ちゃん先生か!w(梅ちゃんも第1週の智司のセリフを最終回で回収した)
…あぁ! 2話で縢が「もう1回訊く」って言ったの、コレのためだったのか!!
そしてさ、2話と見比べると、朱がちゃんと答えを出したからか、縢が笑ってんだよね。

そして11話で槙島に対して答えられなかったことにも、朱は答えを出す。
「そもそも何をもって犯罪と定義するのか? ドミネーター=シビュラが決めるのか?」という問いに、「それがそもそもの間違いだった」と答える朱。
きっと大切だったのは、善か悪かの結論じゃない。それを自分で抱え、悩み、引き受けることだったと思う…と。
…ん? 待てよ。なんかさ、まるでこれ、狡噛さんそのものじゃないか?
善悪の判断はまだあるにせよ、彼自身は善悪の結論より、槙島を殺すことでシビュラじゃ槙島を裁けない矛盾も、それで自分自身が人殺しになって裁かれることも、全部引き受けちゃおうとしてる…よな。
…あぁ、そうか。狡噛さんと朱という、似たような境遇で、似たような考え方をしたふたりが、まったく別の結論を出す…とは思ってたけど、狡噛さんは、朱よりもずっと先にとっくに「善か悪かの結論じゃない。それを自分で抱え、悩み、引き受けること」というところまでは同じ考えだったのか。
そしてやっぱり、朱とは違う結論に至った…と。
やっぱり面白いわぁ…。狡噛さんと朱と槙島の対比って。
そして「シビュラの神託のままに生きる人間たちに、果たして価値はあるのか」という問いに、「ないわけがない。槙島の知らなかった誰かの幸せを、槙島の価値基準で決めていいわけがない」と朱は叫ぶ。

過去、答えられなかったことに対して答えを出した朱に、最後にゆきが問う。
すべて誰か(シビュラ)に任せっぱなしで、何が大事なことなど考えなかった自分でも幸せっだったと思うか…と。
朱は答える。
「幸せになれたよ…。それを探すことは、いつだってできた。生きてさえいれば、誰だって…」と。
それを聞き、ゆきは微笑んで消えた…。
自分で考え、悩み、引き受けること。
ここでは「幸せ」はそうやって探す…と表現されてるけど、要するに今回のサブタイ「正義の在処」ってこのことか。
正義はシビュラが決めるんじゃない。自分が決める。
それが朱の出した結論か。
…おぉ、似たくさい3人が別々の正義を持って対立する構図ができあがってるんだけど、狡噛さんも朱も槙島も「自分の正義は自分で決める」という点ではバッチリ一致した。

そして現実に戻ってきたw朱はギノさんから殺人事件の報を受ける。
現場からは狡噛さんの指紋が出てきた…ってことは、管巻博士の死体か。
そこで朱はシビュラに取引を持ちかける。
槙島を生きたまま捕らえて連行したら、狡噛さんの命を保証しろ…と。そうしなければシビュラの手駒にはならない…と。
理論的に等価性の成立しない提案…と、はねのけるシビュラに、そんなことはどうでもいい、狡噛さんが助からないなら槙島は見殺しにする。場合によっては自分が殺す…と脅す。
加えて朱は、この条件が飲めないなら自分を殺して別の手駒を探せばいいとまで言い、シビュラにその条件を飲ませる。
…朱ニキさん、さすがっす。
しかし、槙島が無事確保された場合に限り、狡噛さんに特例措置を講じるというこの約束、シビュラさん裏切りそうで嫌…。

案の定、被害者は管巻博士。
家捜しした痕跡の中に狡噛さんの指紋が出たが、何故出てきたのかが分からないギノさん。
朱は殺された管巻の首の傷から、犯人は槙島と推測。
しかも、管巻が槙島の次の計画に関与していて、それを突き止めた狡噛さんが駆けつけたが一歩遅かった…というところまで超推理。
それを聞いたギノさんは、狡噛さんのほうが先に槙島を追い詰めている…と再確認。最初から狡噛さんが殺しをするわけがないと思ってたのね。

淡々と現場を見て推理していく朱に狡噛さんが重なるギノさん…って、ついにギノさんまで\重妄想!/で狡噛さんを召喚できるようにwww
狡噛さんが望まない展開…それは、槙島を取り逃がすこと。槙島を仕留める前に朱たちに見つかること。
もし、狡噛さんが管巻の死体を見つかりにくい場所に隠していたら、管巻は行方不明のまま朱たちは見当違いの捜査をさせられていた。
時間稼ぎにはそれが一番だったはず…なのに、狡噛さんはそうしなかった。
万が一、自分が失敗した時、他の誰か…つまり朱たちが槙島を止められるように手がかりだけは残していった…。そう朱は考えた。
朱ニキさん、マジで狡噛さん2号になっとるがな…
そしてギノさんがヒロインポジに…。
狡噛さんの手がかりに朱たちはいつ気づくか…。
自分たちは試されている…。槙島を追うために、狡噛さんと同じかそれ以上の執念を持っているかどうかを。

朱が鑑識ドローンに遺体をスキャンさせると、気道内部から金属反応が出る。
検死に任せろ…と言うとっつぁんの静止を振り切り、朱は遺体の喉に手を突っ込み、狡噛さんが残した音声データを発見する。
朱ニキさん…テラ男前。

案の定、音声データは狡噛さんのもので、朱たちに向けられたものだった。
管巻が殺害された理由。そして槙島の目的を語る狡噛さん。
そしてその頃、槙島は目的を果たすべく北陸の地に、狡噛さんはその後を追っていた。

槙島の計画=バイオテロを阻止し、狡噛さんが槙島を殺すのを止めるため、朱たちもふたりの後を追う。
ついに、ラストバトルの幕が開く…。


でもってな、もう時間帯的には関東と東海では放送されちゃってるんだが、先行組の21話バレを聞いて、ネタバレOK人生で初めて、「心底このネタバレを聞くんじゃなかった…」とヘコんだわ…orz
展開的な意味よりも、「これはネタバレなしで本放送でちゃんと見たかった!!」という意味合いで…。
そんなわけで私は心に決めた…。
最終回のネタバレは見ないぞ、聞かないぞ! …と。


PSYCHO‐PASS サイコパス OFFICIAL PROFILING

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PSYCHO-PASS サイコパス #19「透明な影」

PSYCHO-PASS Sinners of the System


前回、刑事を辞めて公安局を出て行った狡噛さんを「脱走」とか「逃亡」と言うのは何か違う気がして色々と言葉を探していたら、「家出」とか「出奔」とか「脱藩」という言い方が一番しっくりきた件w

そして作画が息を吹き返しました
ノイタミナラジオでよっぴー(吉田尚記アナ)が18話を見て「ガンダムにも作画が酷い回があったし、名作には抜き回がある」「最終章に向けて、あえて抜いたなと思った」とか言ってて、なるほどと思ったよ。


前回、とっつぁんのセーフハウスで拳銃を手に入れた狡噛さん。
放送時は泣かせる展開で思いつかなったんだけど、後から録画を3回目ぐらいで見た時に「こうがみ は リボルバー を てにいれた」…とか思った自分w
拳銃なんぞ取り扱ったことがないので、取り扱いの練習をしてる…んだけど、この人チートだからさっさとモノにしたんだろうなぁw
そして若かりし日のとっつぁんと子ギノさんの写真…てか、ウザ前髪の片鱗がもうすでにw
…というかさ、ギノさん28歳、とっつぁん54歳で年齢差26歳よね? この写真だとギノさん3歳ぐらいだから、この写真のとっつぁんは30前後なんだけど…とっつぁん老けすぎだろw
どうでもいい話だけど、ギノさんととっつぁん親子の年齢差がウチと一緒だったw

そして盗んだ借りたバイクで走り出す〜♪
前に「狡噛さんのバイクの免許が伏線になる」と言ってたのはコレか…。

それにしても、被って歩くとシュールだったのに、バイクに乗ったらフツーにヘルメットだった、あのヘルメット。だからバイクを選んだのか、狡噛さん…。
つーか、赤い車といい、オレンジのバイクといい、意外と派手好きだな、とっつぁんw



色相と犯罪係数が悪化の一途をたどるギノさんは、このままだと最悪潜在犯認定もありえる…と通告される。

3年前の狡噛さんと同じ状況に陥ったことに自嘲するギノさん。

カウンセラーに緊急セラピーを勧められるも、今はまだ現場を離れられないとセラピーを拒絶するギノさん…って、そこまで狡噛さんと同じ状況に陥るんかい、ギノェ…。
これ以上は責任を持てないと言うカウンセラーに、ギノさんは「朱を見ていると希望が湧いてくる」「心の持ちようでどうにかなる」と、今の状態を何とか維持していこうとする。
ギノさんの死亡フラグ的なものにも感じられるんだが、監視官→潜在犯落ちはすでに狡噛さんでやってるので、ギノさんは朱という希望を見てギリギリ踏みとどまりそうな気がする…というか、ギノさんは生き残りそうな気がするんだよな。
おそらく狡噛さんは死ぬだろうし、もし生き残ったとしても刑事には戻れないし、この物語のENDで選ばれるのは朱の正義だろうから、その朱の正義をバックアップしていく立場としてギノさんは生き残りそうな気がする。
当初、「朱は狡噛さんVS槙島の見届け役」と言われてたんだけど、現状、「狡噛さんの正義」と「槙島の正義」と「朱の正義」という三つ巴に「シビュラの思惑」という四局対決な風体になってるから、すべての「見届け役」って、もしかしたらギノさんなんじゃないかな…という気がしないでもなく。

盗んだ借りたバイクで狡噛さんが訪れた先は…まさかの雑賀教授再登場
早速、狡噛さんが銃を持っていること、それが古臭いリボルバーであることを当てた雑賀教授。
今回の作画がやたらカワイイせいもあるんだろうけど、「まるで超能力だ」と言う狡噛さんがカワイイ…というか教授を前にした狡噛さんが懐きすぎててカワイイ…なにこのカワイイ28歳。

朱ちゃんが、朱さんとか朱様通り越して「朱ニキ(アニキorアカニキ)」状態だわ…何この男前。
狡噛さんが逃亡(個人的に「逃亡」という言い方はあんまりしたくないけど)したことで、槙島同様、狡噛さんも追うことにしたギノさん。
しかし、朱は槙島は逮捕=生け捕りなのに対し、狡噛さんは即時処分ということに納得がいかない。

そんな2人にとっつぁんは、まずは狡噛さんのことは忘れて槙島を追うことに集中することを提案。狡噛さんも槙島を追っているのだから、槙島を追えば自然と再会できるだろう…と。
暴動の余波でシステムの完全復旧まではあと5日かかる。その間、フェイスレコグニションによる捜査は期待できない。
弥生は、槙島はその間に海外に高飛びするのでは? と考えるが、朱はそれを否定。
槙島は追い詰められて諦めるタイプじゃない。最後の最後までこの世界を試さずにはいられない。システムに守られたこの社会に、むき出しの人間性を突きつけてくる…と。

狡噛さんという心の拠り所を失った朱に、志恩さんは自分でよければ話し相手になると言い、朱も「そういや人に愚痴ってなかったな…」と、狡噛さんが潜在犯じゃなく、本物の人殺しになるの絶対に嫌だ…と、本心を漏らす。

何もかもひとりで抱え込むのはよくない…と言う志恩さんに、こんな時でもサイコパスはクリアカラーで、自分はどれだけ薄情なのだろう…と嘆く朱。
そんな朱に「心とサイコパスは別」と言う志恩さんだが、朱は「じゃあ、サイコパスって、心って何?」…と自分の心と、その指標であるはずのサイコパスが乖離していることで更に嘆く。
そして志恩さんは、ただ朱を泣かせてやる。
…1係のオカンやな、志恩さん(27歳)。

一方、狡噛さんは槙島の次の行動予測が上手くできないでいた。
システムの完全復旧まで、あと5日。すなわち、それが槙島が最後の花火を上げるタイムリミットになる。
一体、槙島は次に何を仕掛けるのか…?
…ってか、久々の夜食テロ!!

狡噛さんが持ち出してきた資料に目を通した雑賀教授は、シビュラシステム運営下に政治犯というものがあるとすれば、槙島はそれだろうと答える。
「非人間的な支配システム」を否定し、より人間的なシステムを構築しようとする槙島はアナーキストに近いが、槙島ほど破壊を好むとなると本来の語義からだいぶ離れる…と教授は語る。
「非人間的な支配システム」=シビュラシステムは、マックス・ウェーバーが言うところの理想の官僚制的行政に近いが、それは公表されているシビュラの仕様が全て真実…という上での話。
それを聞いた狡噛さんは、槙島が自分に「シビュラの正体を知った」「お前が命をかけて守るものではない」と電話をかけてきたことを教授に告げる。
そこに迫ってるのに、そこには行かないのか、狡噛さんよ…。
いや、あと3話でそこにいける気もしないし、行ったところで「主人公がシステムを打倒する話ではない」以上、そっちは槙島と朱とシビュラさんたちに振られてる対決だよな…。

官僚制的行政は知識によって大衆を支配する。専門知識と実務知識。そして、それを秘密にすることで優越性を高める…と更にマックス・ウェーバーを引用する教授。
槙島はその優越性を剥ぎ取ろうとしている…と気づく狡噛さん。

もし、槙島がこの席にいたらどう参加してくると思う? と教授に問われた狡噛さんは、ついに\重妄想!/で槙島を召喚できるベルにまで達するw
マックス・ウェーバーを持ちだされた次の瞬間にはフーコーやジェレミーベンサムを引用して返す。もしかしたらガリバー旅行記あたりも引用するかもしれない…って、本当に「もうひとりの自分」というレベルにまで近づいていってるな。
槙島を「シニカルで歪んだユーモアの持ち主」と評す狡噛さん。

こ…狡噛さんが皿洗ってるwww
しかもネクタイをシャツにしまうという、やり慣れてる感までwww
監視官時代はいざしらず、執行官になってから自炊してる風がないので、縢のところで飯食って、じゃあ俺洗うわ〜って洗ってたとしか思えねぇw
それでなくても育ちがいいっぽいから、とも代に人に飯食わせてもらったら皿ぐらい洗え…と躾けられたのかもしれんがw

そして、「槙島と自分が似てると思うか?」と言われた時のこの心底嫌そうな顔ときたらw

槙島と似たもの同士と言わるのは嫌だけど、「理解できる点はある」と言う狡噛さん。
槙島の過去は何も分からないけど、ただひとつ確実なのは槙島の人生には重大な転換点があった。
自分が特異体質であると気づいた瞬間。自分のサイコパスを自在にコントロールできる体質を特権だと思う人間もいるだろうが、槙島はそうではなかった。
槙島が覚えたのは、おそらく「疎外感」。この社会でシビュラシステムの目に映らないということは「人間としてカウントされない」のと同じでは…と考える狡噛さん。
それを「仲間に入れてもらえなかった子供」と例える教授。
案外、槙島の原点はそこにあるのかも…とも。
…あぁ、免罪体質であることを藤間は当初、槙島と同じように疎外感を抱いて、あぁやって同調していたけど、シビュラに取り込まれたことで「特権」と思うようになり、槙島を誘った。…が、「人間としてカウントして欲しい」槙島は人間であることにこだわり、自分を人間としてカウントしないシビュラを壊すことで、人間の仲間に入れてもらおうとしているのか…。
ただの悪人じゃない…ってこういう意味か。
しかしアレだな…ここで槙島は一気に女性ファンの同情を誘ったな…。
いや、それでも槙島のしてきたことは犯罪だからね。ここでどっぷりと同情して、たとえ狡噛さんに殺されるなり、捕まって裁かれるなりしても「こんなにかわいそうなのに救いがないなんて〜」とかは言わないわ、私。
むしろ槙島にとっちゃ、自分を理解してくれる存在=狡噛さんに出会えたこと自体が、ある意味救いだろ…と思わないことないわけでな。
まぁここら辺は最終回終わってから語るべきものなので、これ以上はなんとも言えないけど。
ともあれ、すべては推測でしかないから、本当のところは本人に聞くしかない。そして自分はそれを聞くつもりはない…という狡噛さん。
そりゃ、同情したくはないしな。むしろ聞いても同情なんぞしないだろうから聞く気もないんだろうが、聞いてもいないのに槙島がベラベラ語ってくれたらどうしよう…w



狡噛さん捜索に最も適任なのは自分たち…と局長に訴えるギノさんだが、局長は興味がない様子。ってか、藤間死んでから局長担当脳みそはコロコロ変わってるカンジ?
槙島を手に入れるのは最優先事項として変わらないみたいだけど、この局長担当脳みそさんは狡噛さんにまったく興味ないカンジだな。

槙島と狡噛さんを追うというギノさんに、もうこの2人に関わるべきじゃないと言うとっつぁん。
しかしギノさんは自分たちなら狡噛さんを撃つ前に投降を呼びかけることもできる…と言うが、とっつぁんは狡噛さんが投降したところで待っているのは殺処分しかない。狡噛さんを追う以上、自分たちは狡噛さんと命のやり取りをするしかないのだから、いっそのこと3係に任せるべき…と言う。

狡噛さんが出て行ったことにとっつぁんも手を貸していると悟っているギノさんは、とっつぁんを責める。
そして、「どいつもこいつも俺を置き去りにして勝手に向こう側に行きやがって…」と、悔恨する胸の内を漏らす。

自分の正義を貫くあまり、潜在犯になってしまった狡噛さんもとっつぁんも、そんなに正義の味方になりたいのか…と更に責めるギノさん。
しかし、とっつぁんは、「正義じゃない。執念だ」と語る。「他にもっと賢い生き方があると分かっていても、そこに背を向けたら自分の積み上げてきた全てが嘘になる。そういう瞬間がある」…と、狡噛さんの気持ちを代弁かつ自分の気持ちも語る。
そしてそれは「男の意地だ」…とも。
それを聞いたギノさんは、「だったら俺には俺の意地がある」…と、誰が何と言おうと自分の手で狡噛さんを止めると宣言。
…ぎ、ギノさんが男を上げた…だと!?
めっちゃ死亡フラグだぞ、ギノさん!
でも、ギノさんは死なない気がする。酷い目に遭うかもしれないけど、最後まで生き残ると思う…。
つか、あと3話だし、もうここまできたら、最後に狡噛さんと槙島が死ぬ以外には、あと死人は出ない気がするんだが…。
だってさ、バタバタと死んでいくんなら、今週あたりから死んで行かないと間に合わないって。

その頃、局長というかシビュラさんたちはギノさんを見放し、新たな手駒として使える人材を探していた。
そして、いたらしいのだが…ってか、もうあの子しかいないじゃんw

一方、雑賀教授は狡噛さんに2ちゃんねる海外のサーバ経由の匿名掲示板を見せる。
そこは教授のようにシビュラシステムから用済みとされた人々(ジャーナリストや学者ら)が集うところで、シビュラシステムの問題点について語り合われていた。
教授はそこに「5日間でシビュラシステムを完全壊滅させる方法は?」というスレを立てていた。
…スレ立て乙。
てか、アメピグ、ニコニコの次は2ちゃんねるかいっ!www まぁ、ネットの定番ですけどねw

バカげた冗談ばかりに見える…という狡噛さんに、「なら、お前が一番面白いと思ったジョークを探せ」と言う教授。
槙島と狡噛さんは似たもの同士だから、そのインスピレーションを信じてみるといい…と。

そのスレで狡噛さんが目をつけたのは「食料不足でシビュラシステムが崩壊」という書き込みに目をつける。
この時代の日本は鎖国しており、食料はハイパーオーツという遺伝子組み換え麦で賄われていた。
食料の自給体制を崩壊させることでシビュラシステムを崩壊させる。
それが槙島の次の狙い…と狡噛さんは確信する。
…なんか超展開だが、頭よすぎる槙島と狡噛さんの考えることはよく分からねぇw

農作物・生産体制・遺伝子組み換えについての資料を漁る狡噛さんと教授。…あ、速読検定設定も活きたw
人口の激減*1とシビュラシステムの完成により、人口は都市部へ一極集中した*2。しかし人は動けても土地は動かせない。農業はドローンによる自動化を余儀なくされ、遺伝子改良されたハイパーオーツと善玉ウィルスによる疫病対策によって、完全無人化農耕システムが完成。今や北陸は無人の巨大穀倉生産基地となっていた…って、北陸が無人じゃ、東北・北海道は(ry
もし仮に農作物の健康管理にトラブルが生じれば、単一品種のハイパーオーツは疫病によって壊滅的な被害を食らう。それはすなわち食料の自給体制の崩壊で、そうなればこの国は食料を輸入しなければいけなくなる。
食料不足によって国民全体の犯罪係数が上昇。食料輸入で鎖国を解除することで難民の流入も始まる。そうなれば犯罪係数の測定そのものが無意味になるかもしれない…。
槙島はそうしたところからシビュラシステムを崩そうとしている。
そして、そのためには専門家の協力が必要。
…ということは、この何気なく写ってる写真の専門家が殺されるか何かするんだな?
ともあれ、狡噛さんは槙島の動きに対する手がかりを得た。
…ってかよ、まさかコレ、「ライ麦畑でつかまえて」ネタ?
そのものズバリ、ライ麦ならぬハイパーオーツ畑で槙島を捕まえる…という意味もあるかもしれんが、ライ麦〜の主人公の「自分は広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、気付かずに崖っぷちから落ちそうになったときに捕まえてあげるような、そんな人間になりたい」という夢…ってコレ、朱ちゃんだよな?
攻殻機動隊でもライ麦〜ネタがあったけど、もしかしてサイコパスでも持ってきた…のか?
逆に今まで出てこないのが不思議っちゃ不思議なんだが、最後の最後に持ってくるのかい?
これがライ麦〜ネタだとすると、「崖っぷちから落ちそうになった時に捕まえてあげる」=朱ちゃんが狡噛さんを救ってくれるような気がしないでもないのだが…。
そのものズバリ、ハイパーオーツ畑で狡噛さんと槙島が殺しあったら、それはそれで笑えるというか、OPはそういうカンジだよね。

槙島を殺そうとする狡噛さんに意図的に加担した自覚がある教授は、次の抜き打ち検診を受けたらアウトだろうと告げる。
むしろ社会に適合する気がないのに、今の今まで潜在犯じゃなかったほうが不思議ですよ、教授w

狡噛さんに手を貸したことで、自分の役目を果たしたという教授だが、それでも汚れ仕事を狡噛さんに押し付けることは心苦しい…と言う。
しかし、狡噛さんは笑って答える。
何故だか自分以外の誰かが槙島を殺すということが想像できない…と。
わ…笑った…? 狡噛さんが笑った…!?
ギャクでもないのに超ニッコリ笑うとか、想像だにしてなかったぞ…オイ。
なんかこの子供みたいな笑顔、モーレツに死亡フラグだな…。
そしてすんごい穏やかなのが逆に怖い…。

その頃、狡噛さんの行方を探す朱のもとに、何故かドミネーター箱が…。
促されるままにドミネーターを抜くと、ドミネーターは朱に「今から真実を告げる」と言い…。
…え、何この超展開!?
しかし、ギノさんを見放したシビュラさんが次に手駒にすると言ったら朱ちゃんしかいないわけで…。
どうする朱!?


20話先行組の話では、久々に事件が起きるようです。
そして順調に狡噛さんは槙島を、朱たちは狡噛さんを追う模様。
…しかし、あと3話でホントに綺麗に終わるんかいな?
間違っても「完結は劇場で!」とか嫌なんですけど…。


Out of Control(期間生産限定盤)(DVD付)

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All Alone With You(初回生産限定盤)(DVD付)

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*1:スピンオフ小説によると2000年代の1/10程度しかないらしい

*2:大阪や京都はまだ生き残ってるので、本広が「京都編やりましょう」とか言ってるらしい…2時間ドラマかw

PSYCHO-PASS サイコパス #18「水に書いた約束」

PSYCHO-PASS Sinners of the System

関東じゃもう19話放送されちゃって(ry

今回は放送開始前に塩谷の敗北宣言ツイートが…。

どうやら作画が死亡したらしい…。


墜落した輸送機。収容される禾生(藤間)の義体
現場に到着した1係だが、権限がないと立ち入りを制限されてしまう。
すると、そこに死んだ…というか破壊されたはずの禾生が現れ…。


そしてようやくOPは「完成形」になったらしい。

左18話・右17話まで

背景色

動画じゃないと分からないけど、槙島がシビュラマークを通過する速度(早くなっている)


パズルのピースが欠けていくような描写

これまた動画でないと分からないけど、ドミネーターの落下速度(早くなっている)

目玉の向き

狡噛さんVS狡噛さんの片方に影がつくというか黒くなる(理性より本能/凶暴性のほうが勝つ)

槙島の色が青みがかる

狡噛さんに髪の色がつく

動画でないと分からないけど、フェンスの向こうを歩く1係メンバーの速度が遅くなる

歩く速度が遅くなっているのと、1係メンバーの色味が濃くなる

ギノさんとすれ違うより前に狡噛さんが歩き出す

狡噛さんの髪の毛の描き込みというか影というかが増えたのと、朱のピンク色が薄くなる


比較は↓でドゾ。
D
これは全部の比較が見てみたいなぁ…。



えーと…禾生はおニューの義体に藤間じゃない別の脳みそが入った…ってことよね。
ギノさんが槙島逃亡の経緯を問いただすと、禾生は「厚生省内部からの手引きがあった」と言い、1係に改めて槙島逮捕を命じる。
しかし、納得の行かないギノさんは食い下がらない…が、禾生は行方不明になった縢の件を出し、「失態をうやむやにできるチャンス」を与えてやった…と。
おまけに、逮捕にあたっては槙島の身柄の安全を最優先に…と、狡噛さんを操作から外すことまで命令する。
禾生…というか、シビュラさんたちも狡噛さんのことは当たり前だけど相当危険視してたのね。

意図的に自分を捜査から外したこと、槇島の逮捕に関して身柄の安全を最優先してること、それらに疑問を抱く狡噛さんは、上層部が槙島を裁くつもりがなく、何か別の目的で利用しようとしている…と考える。

槙島は「シビュラシステムの正体」について、狡噛さんたちが知らない内幕までたどり着いており、シビュラを意のままに操る何者かと交渉し、その何者かは槙島に出し抜かれ交渉に失敗した…が、ますます槙島に執着するようになった…と推理する狡噛さん。
狡噛無双なのに…狡噛無双なのに、シビュラの正体のほうに行かないのがハッキリと分かるわ…狡噛さん。
「そんな権限は誰にもない」と否定するギノさんだが、「それが事実なのかどうか、槙島は知っている」…と、身柄の輸送に航空機を使ったり、その航空機にはドローンしか乗っていないはずなのに、自分たちが見た遺体は誰のものだったのか…。
槙島に対する上層部の異常な扱いに、不信感を募らせる狡噛さん。
そんな狡噛さんに、「誰だって納得しちゃいない」「(ギノさんにもそれについて知る権限はないので)問いただす相手を間違っている」と、とっつあんは宥める。

刑事部屋を出た狡噛さんの後を追う朱。
「全てが茶番」と、ギノさんが上に上げた泉宮寺の事件の報告書で、「槙島にドミネーターが効かない」という部分が削除されていたことを朱に話す狡噛さん。
「シビュラで裁けない人間がいる」という事実そのものを上層部は潰しにかかっている…と、公安局に対する不信感や、刑事としての仕事の限界を漏らす狡噛さんに、「それは仕方がない」と言う朱。
そんな朱に、槙島を裁けないことが「悔しくないのか?」と問う狡噛さん。
しかし朱は「悔しい」と言いながらも、「『正義の執行』も『秩序の維持』もどちらも大事」と答える。
ついに狡噛さんの正義と朱の正義がハッキリと分岐したな…
狡噛さん・朱・槙島と、似たような3人が、似たような考え方をしつつ、まったく別の答えを出す…と、これまで描かれてきてたんだけど、ここでついに、狡噛さんと朱という似たもの同士が似たような考えた方をしつつ、まったく別の答えを出す瞬間が来てしまったのだな。

ならば、シビュラで裁けない=法の外側にいる人間をどう裁けばいいのか…と問う狡噛さんに、朱は「今回ばかりは特例で、昔の法廷制度に立ち戻るしかない」と言うが、それにはどれだけの時間とお膳立てがかかるのか…気の遠くなる話だ…と、狡噛さん。
もっと手っ取り早く、誰の迷惑にもならない方法はあった。
あの時、槙島を殺しておけばよかった。
監視官の朱に人殺しはさせられないが、執行官の自分には失うものなんてない。だから朱ではなく、自分自身が最後のとどめを刺しておけば…と悔いる狡噛さん。

そんな狡噛さんに、「それは法の執行ではなく、ただ殺人犯が2人になるだけ」と朱は言い、(2話で)「刑事として働きたい」と言った狡噛さんの言葉を出し、「これからもずっと刑事でいてくれますか?」と約束させる。
…あぁ、「水に書いた約束」ってこれか
組織の闇というか壁が立ちふさがった以上、狡噛さん自身は刑事でいることに限界を感じている。
朱は「刑事として」槙島を裁きたい。だからその方法を探す…というのに対し、狡噛さんは刑事である以前に「己の正義と信念」で槙島を裁きたいから、刑事として槙島を裁けないのなら、刑事という立場を捨てる覚悟をしたんだろうな…。
以前、狡噛さんと朱は「似たような境遇をたどった2人が道を分けたものがあるとすれば、それは朱が持って、狡噛さんが持たなかったもの」だろう…って書いたんだけど、まさにそれが今この瞬間だろうな。…いや、朱が槙島を殺さなかった時が分岐点だったんだろうな。
ゆきを殺された朱は、その私怨よりも刑事であることを優先して槙島を殺すことをせず、法で裁くことを選んだ。
佐々山を殺された狡噛さんは、刑事であることを利用してその私怨を果たそうとした。
無論、その過程で狡噛さんは復讐を超えた「信念」にまでそれを熟成させたんだけど、結局のところは「槙島を殺す」という目的のために、自分が置かれている刑事という立場を利用していたんだよね…本人にはその気がなくてもさ。
おそらく、朱は最後まで「刑事として」槙島を裁く手段を探すし、この物語のENDに選ばれる「正義」は朱の正義だと思う。
そしてこの後、狡噛さんは己の正義と信念のために刑事であること捨てる。

最近、毎回あるな…親子の会話。
てか、ギノさんがメガネを外した…だと!?

貴重なメガネなしギノさんだというのに…作画ェ…orz
自分の立場に歯がゆさを感じたギノさんは、とっつぁんに「どうすればよかった?」「こういう時、何が正解なんだ?」と問う…が、とっつぁんは「正解はない。あるのは妥協だけ」と答える。
そして、とっつぁんはギノさん=息子に「身を守れ」と忠告する。
これはご主人様=上層部と犬=自分ら刑事たちのボール遊び。逆らえば折檻されるだけ…ならば身の置どころを変えるのだ…と。
犬でもご主人様でもない第3の立場=ボールに身の置きどころを変える。一見、無様に見えるが、実は一番傷つかないし疲れない。それが賢い立ち回りだ…と。
この一件はギノさんの手に余る。ヘタに動いて詰め腹を切らされるより、役立たずに徹したほうが身を守れる…と。
それに対し、「随分と酷いアドバイスがあったもんだ」…と苦笑うギノさん。

局長命令で捜査から狡噛さんを外せと言われたものの、槙島絡みでは狡噛さんほど嗅覚を発揮する刑事はいない。
自分は「刑事の勘」という才能を持ち合わせることはできなかった。だからなんとかしてでも狡噛さんを捜査に加える必要がある…とギノさんは画策する。
ギノさんは刑事というよりは官僚のほうが向いてるんだけど、それでもやっぱりギノさんも刑事だったわけで…。
ほら、ギノさんには刑事の勘という才能はなくても、「中間管理職」という才能があるじゃないか! それは狡噛さんが持ち得なかった才能だよ!
そしてギノさんがメガネを外してとっつぁんと会話したのって、メガネ=遮るものなくとっつぁんと会話したかったのかな…?



ギノさんが考えた「狡噛さんを檻の外に出す」手段。それは2係の執行官との一時的な人員交換だった。
2係の監視官・青柳璃彩も縢の消え方が胡散臭いというはギノさんと同意見で、槙島聖護を放っておけないというのも同じ考えだった。
てか、2係は3年前の藤間逮捕の一件で、すでに上に圧力をかけられた前歴があるから、上層部に疑問や疑念を抱いててもおかしくないんだよな…。むしろ今回の槙島の一件で疑念深まったくらいだろ…。
にしても青柳監視官が美人で男前カッコイイんだが…。
ちみキャラに出てくる3係執行官コンビ(百田舞と高見彩果)もだけど、刑事課は狡噛さんの前歴知りすぎてる連中のほうが大多数なんだな…当たり前だけど。ついでにスーツをちゃんと着ない人口も多すぎるよ、刑事課w 執行官はスーツをキチッと着ないのがデフォだし、監視官のほうもスーツをきちっと着てないほうが多いのかよw

2係に引き取られていく狡噛さんだったが、それをドローン部隊が阻止し、身柄を拘束しようとする。
そして、そこに現れた禾生
ババァUZEeeeeeeeeeeeeeeeee!!
というか、もう「聖護くんは私のもの。お前なんかに渡さない」というヤンデレキャラですよね、禾生というかシビュラさん…。

渾身の計略もあっけなく禾生にバレてしまい、弁解するギノさんだが、禾生は弁解よりも、この場面でどう始末をつけるのかを重要視し、ギノさんに決断を迫る。
そして苦渋の末にギノさんは狡噛さんにドミネーターを向ける。
…ってか通常時でも犯罪係数265かよ、狡噛さんwww
「つい殺してやろうかと思って」で286だし、アンタ絶対槙島と戦った時は300超えてたし、この次ドミネーター向けられたら確実にエリミネーターレベルだろ…。

しかし、狡噛さんを槙島確保のためには邪魔者として排除したい禾生=シビュラさんは、縢の時にも使った手でエリミネーターに強制変形させる。
さすがの狡噛さんも覚悟を決めるが、その窮地を救ったのは朱。
ギノさんがトリガーを引かされる前に狡噛さんにパラライザーを撃ち、ピンチを脱出する。
宜野座さん、そのドミネーター故障してますよ」っていう朱ちゃんがね、もう「朱さん」を通り越して「朱ニキ」(アニキorアカニキ)と呼ばないといけないレベルだよ!!

ホントに医務室のベッドとお友達すぎるだろ、狡噛さんwww
意識を取り戻した狡噛さんは、志恩さんから朱が中枢神経を避けて脚に当ててくれたことに感謝しろ…と言われ、朱の成長ぶりに目を細める。
「初々しい新人がどんどんタフになっていくのは、頼もしいような、寂しいような」と、同じく朱の成長を感じている志恩さんに、「アイツはこれからもっともっとタフになる」と言い、狡噛さんはそんな朱の姿に、ある決意を固める。
…あぁ、朱に託しちゃうのか。

狡噛さんは志恩さんに、例のヘルメットはまだ使えるのか…と尋ねる。
シビュラシステムの完全復旧とともに対策プログラムが実装されるため、6日後には使えなくなる…と志恩さんは答え、狡噛さんの意図を知った上で持ち出すことを見逃す。
そして志恩さんは、別れの挨拶代わりに「私さ、せめて1度ぐらいはあなたと寝てみるべきだったのかな?」と狡噛さんに尋ねる…が、狡噛さんは「お互い趣味じゃなかったと思う」と笑って分析室を出て行く。
…うわ、大人の会話というか大人の男女の別れの挨拶だわ。
まぁ、すでにシナリオブックやニコ生座談会で明らかなように、志恩さんと弥生がデキてるのは公式なのですが、この2人が1度もヤッてなかったことにビックリしたわw
セフレというか、ドライな大人の肉体関係ぐらいはあると思ってたら、とことんストイックに描かれてたんですね、狡噛さん。ストイックじゃないのは薄い本だけだったんですね…(当たり前だw)。

そしてこうなるだろうと感じていたとっつぁんも、別れの挨拶に訪れていた。
アニメ本編というよりも、脚本や小説で描かれてた部分だけど、狡噛さんがこうした資料を紙媒体にしている理由って、デジタルな保存媒体を信用出来ないとか、大事なものは手元にないと落ち着かないとかだったんだけど、こうして必要な分だけいつでも持ち出せるようにしてた…ってのもあったのか。
「お前が許せないのは悪か? それとも槙島自身か?」と問うとっつぁんに「どっちも違う」と答える狡噛さん。
今ここで諦めても、いずれ槙島を見逃した自分を許せなくなる。そんなのはまっぴらだ…と。
なんだろう…。槙島が許せないというのもあるけど、狡噛さんが最も許せないのは、やっぱり自分自身なんじゃないかな…って気が改めてしてきた。
標本事件小説(ゼロ)があるから、まだなんとも言えないんだけど、標本事件は間違いなく狡噛さんのターニングポイントであり、その時に「本当になりたかった自分」を失ってしまったんだろうと思う。
そのきっかけとなった槙島も許せないけど、「本当になりたかった自分」になれなかった、失ってしまった自分も許せない…というところなんじゃないかな?
そして、その「本当になりたかった自分」を朱に出会うことで思い出し、それを朱に託した…んだろうな。
意識にせよ、無意識にせよ、これまで狡噛さんは朱を一端の刑事になるまで育ててきたことは間違いないしな。
そういやこの話が、狡噛さんが挫折から這い上がる話…と言われてたのを思い出したんだけど、ここに来てようやく本当に這い上がり始めたのかな…という気もする。刑事という立場を捨てるという皮肉があるにせよ。
狡噛さんの答えに「お前らしい」と言い、とっつぁんは警視庁時代のセーフハウスの鍵を渡す。
こっちもまた大人な別れの挨拶だな…というか、息子の背中を押す親父だよ、とっつぁん…。

「今更合わせる顔がない」と朱には黙って出て行く気の狡噛さんに、とっつぁんは「気持ちの整理だけでもつけさせてやれ」と言う。
そして…………。
今回のEDの演出、マジで神…。

夜が明けきらぬうちに例のヘルメット被って公安局を後にする狡噛さん…は大変シュールだったんだけど、とっつぁんのセーフハウスにたどり着いて、夜が明けて、EDがサビ前にきて一旦曲が途切れる…。
そして朱は、無理やり外された狡噛さんの執行官デバイスと置き手紙を見つけ…。

手紙を読んだ朱が「…バカ」って涙をこぼした次の瞬間に、サビ…って、もう泣くわ!!
狡噛さんの言う「今までの自分と折り合いが付けられない」っていうのは、今まで法=シビュラに従ってドミネーターのトリガーを引いて執行してきたけど、槙島は明らかに罪を犯しているのにドミネーター=法では裁けない。なら、これまで自分は一体何をやってきたんだ? …という葛藤だよね。
槙島の存在が、それぞれの「正義の在処」を揺るがし、じゃあ「正義はどこにあるんだよ?」となって、狡噛さんは自分の中にある正義と信念に従うことにした。
でも、朱の正義と信念のほうが本当は正しい=自分は間違っているとも理解しているから、朱に「信念に背を向けるな」「今度会うときは犯罪者と刑事だから、お前は自分の務めを果たせ」と、ある意味、朱に自分の後始末も頼んでいる。
これで狡噛さん死んだら、ホントに壮大な自殺ストーリーなんですけど…。
もうなんか、きっかけは「槙島許せねぇ、殺してやる」だったはずが、どんどん自分自身を殺すために槙島を追っているような気さえしてくるんだよ。
槙島を追ううちに槙島と同化していって、同化していくことで自分自身も殺す対象になってしまってるカンジ。
そして槙島とは対極の位置で自分によく似た朱=ついになれなかった「本当になりたかった自分」に自分を殺してもらうことで、自分でも止めることができない呪縛にも似た何かから解き放たれようとしてるというか、終わらせてもらおうとしているというか…。
まぁそして皮肉なことに、シビュラで裁けない(むしろシビュラに望まれている)槙島が世界の秩序を壊そうとし、シビュラに弾かれた狡噛さんが(本人は意識してないにせよ)世界の秩序を守ろうとしているとかね…。
ここに朱がどう割り込んでくるか…。
むしろあと4話で綺麗に終わるのかが謎になってきた…。


そして19話にあの人が再登場するとか、ラストで超展開が起こるとか、この時は予想だにしてなかったわけで…。


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