PSYCHO-PASS サイコパス #22(最終話)「完璧な世界」

PSYCHO-PASS Sinners of the System

最終回から2週間。お待たせいたしました(?)



ついに槙島との最終決戦。
「貴様は孤独に耐えられなかっただけだ」と言う狡噛さんに、「この社会に孤独でない人間など誰がいる?」と返す槙島。
シビュラの世界には人の輪など必要ない。みんな小さな独房の中で自分だけの安らぎに飼い慣らされているだけ…と、シビュラ社会とそこで生きる人間をそう評する槙島。
雑賀先生のところで狡噛さんが、「槙島は自分が免罪体質だと気づいた時に感じたのは疎外感」と言ってたのは当たってたわけだが、やはり狡噛さんが聞くまでもなく自分から語って下さっちゃったのね…w
16話の直接対決第1ラウンドの時点で「槙島もただの人間」(優れた頭脳と身体能力を持つ超人かと思いきや、狡噛さんとバトルって普通に息切れしている)という伏線があったんだけど、最終回前の急激な小物化を経て、最終話=ラストバトルは全部を通して「槙島もただの人間」だったと描かれているんだよね。
これについては人によって評価は分かれると思う。
シビュラに反逆したという意味では、槙島は最後まで『怪物』として描かれて欲しかった面もあるし、逆にシビュラに反逆したと見せかけて「ただ自分だけを見つめ、自分を完全に理解してくれる人間を探していた」という壮大な「かまってちゃん」という面に関しては「ただの人間」だったのは当たり前かとも思う。
個人的には最後まで『怪物』として描いて欲しかった部分が強いけどね…。踊るの日向真奈美みたいな。
そして槙島は言う。「君だってそうだろ? 狡噛慎也」と。
「誰も君の正義を認めなかった。君の怒りを理解しなかった。だから君は信頼にも友情にも背を向けて、たったひとつ自分に残された居場所さえかなぐり捨てて、ここまで来た」…と。
「誰にも理解されなかった者」という意味では、確かに狡噛さんも孤独だろう。そして今現在、槙島同様、シビュラの外に出たという意味でも、狡噛さんは孤独だろう。
…だが本当にそうだろうか?
「そんな君が僕を笑うのか?」と言う槙島。更に槙島は続ける。「だがね…僕はむしろ君を評価する。孤独を恐れない者を…。孤独を武器にしてきた君を…」と。
でも、槙島は若干間違ってるんだよね。
確かに佐々山を殺されたことに端を発した狡噛さんの怒りや殺意、槙島への執着を誰も「正確には」理解はしなかった。
しかし、正確には理解されなくとも、狡噛さんを理解する・理解しようとする人間はいた。それは朱だったりギノさんだったりとっつあんだったりしたわけだけど、狡噛さんはたとえ自分を理解してくれなくても、他者との繋がりを持っていたし、最後まで捨てようとはしなかった。
今現在、公安局から離反している身であっても、その繋がりは断ち切られていないし、狡噛さんが孤独を武器にしたというよりは、他者を巻き込まないために孤独を選んだという彼の優しさなんだよ、狡噛さんの『孤独』っていうのはさ。
小説版だと、狡噛さんは「潜在犯の人生はいずれ破綻する」と言ってて、槙島に出会ってなくてもいずれ自分の人生は朱ちゃんやギノさんを巻き込んで破綻していただろうとまで言ってるから、そりゃ朱ちゃんやギノさんたちに多大な迷惑はかけたにせよ、それでもまだ自分もろとも全員死なせるよりはよっぽどマシな状態なのかもしれない。
あとアニメ誌の塩谷インタビューによると、OPの倒れてる1係メンツの中に座り込んでる狡噛さんのカットは「公安局にいたままじゃ誰も守れない」という狡噛さんの優しさ的カットなんだそうだ。

そういった意味では、槙島は確かに狡噛さんを最も理解しているのかもしれないけど、「完全には」理解していないと思うんだ。
槙島は狡噛さんのダークサイドは理解してるけど、彼の人間としての情とか優しさまでは理解し得ないと思う。槙島がそういった人間らしい感情を持ち合わせてないから。おそらく、朱のほうが狡噛さんの人間としての情や優しさを理解していると思うけど、朱は狡噛さんのダークサイドを理解してないからなぁ…。


そしてOP前にデカデカと出たサブタイ。


格闘においては俄然槙島が有利で「お前は成長がないな」と言われる狡噛さん。
しかし、ピンチを切り抜け、槙島に傷を負わせることに成功する。
オフィシャルプロファイリングだったか、アニメ誌だったか忘れたけど、16話ではフルボッコにされたのに、狡噛さんが最終話で槙島に致命傷を与えることができた要因というのは「生きる意志」だそうな。
それまで「槙島を殺せるならどうなってもいい」と思ってたのに槙島に負けて、「じゃあどうすりゃいいんだ? そうか気合いだ!」的な感じで狡噛さんが持ったのが「生きる意志」なんだとさ。
「どうなってもいいから殺す」んじゃなく「どんなことがあっても生き残る」ぐらいじゃないと勝てないと悟った結果らしい……が、剣心か!w まぁ、剣心の場合は狡噛さんと逆で、「人殺しの自分の命なんてどうでもいい」と思ってるから勝てないんだよと師匠に痛いところを突かれて「生きる意志を持たなきゃ勝てない」と悟ったんだけどさ。

狡噛さんも槙島も互いに次が最後の一撃…と思った瞬間、ふたりの間で炸裂する電磁パルスグレネード。
投げたのは朱だった。ちなみに槙島、あの傷でグレネードが炸裂する寸前でバク転で蹴り飛ばすという脅威の身体能力w
槙島はグレネードが炸裂した隙に逃走。
朱にドミネーターを向けられ、狡噛さんは観念してナイフを捨てる。

「ここで俺を逮捕してひとりで槙島を追う気か?」と尋ねる狡噛さんに、「そこまで無謀じゃない」と朱は言い、常時パラライザーで固定・セーフティを解除されたドミネーターを渡す。
朱がシビュラにドミネーターを「常時パラライザーで固定・トリガーのセーフティ解除」をさせた目的って、

  • 槙島に対してドミネーターを有効にする
  • 狡噛さんの犯罪係数が300を超えていたとしてもエリミネーターを起動させない
  • 今現在ドミネーターを使えない状態にある狡噛さんにもドミネーターを使えるようにする

という3つの目的があったからか。
まぁ、朱の今の目的自体が

  • 槙島を逮捕し、法に基づいて裁く
  • 狡噛さんを死なせない
  • 狡噛さんを人殺しにさせない=「刑事」として槙島を裁かせる

の3つだから、その全てに対応してて当然か。
しかし朱ちゃん、欲張りすぎやで、アンタ…
ドミネーターを手に取った狡噛さんに、朱は「槙島はパラライザーで麻痺させるだけ。それ以上のことをしたら、私はあなたの足を撃ちます」と脅し警告。
狡噛さんにしてみりゃ、朱に裁かれるかと思ったら、まだ槙島を追わせてくれるという予想外の事態に、この場ではドミネーターを取る以外に選択の余地はないんだけど、「どんな小細工をしたのかは分からないけど、そこまでして自分を最後まで刑事としていさせようとする」朱に対する義理立てという面もあるよな…。最終的に狡噛さんは槙島を自分の手で殺さないと納得できないんだから。
そんな朱に「タフになると思っちゃいたが、まだもう少し可愛げがあってもうよかったと思うぜ」と苦笑する狡噛さん。
これまた小説(ゼロ)の話なんだけど、「佐々山と狡噛さん」、「狡噛さんと朱」って結構似たようなことを繰り返しているんだよね。
事前にゼロ小説担当の高羽が「公安局は似たようなことを繰り返している」って言ってたんだけど、「俺を止めたかったらドミネーターで撃て」っていうのは佐々山が言ってたことで、そう言われて止められなかったのが狡噛さんで、ホントに撃って止めたのが朱。
1話で朱に撃たれたことで「コイツは俺とは違う」と思ったから、狡噛さんは朱に意識的であれ無意識的であれ、かつての自分が夢見てた「刑事としてのあり方」を朱に託したんだろうな…と思ったよね。
確かに「ゼロを読んでから1話からまた見直すと、あのセリフにこんな意味が…とか違う視点が見えてくる」と言ってた意味が分かったわ。
…とはいえ、ゼロ小説の二次創作感は否めないんですけどw

槙島を追跡する狡噛さんと朱。
法=シビュラでは裁けない槙島を逮捕し、法で裁くことにこだわる朱に、狡噛さんは「悪人を裁けず、人を守れない法律をなんでそうまでして守り通そうとするんだ?」と問う。
それに対して朱は「法が人を守るんじゃない。人が法を守るんです」と答える。
「人が事件を起こすんじゃない。事件が人を起こすんだ」…だよね、コレw
「これまで、悪を憎んで正しい生き方を探し求めてきた人々の思いが、その積み重ねが法なんです」
「それは条文でもシステムでもない、誰もが心の中に抱えている、脆くてかけがえのない思いです」
「怒りや憎しみの力に比べたら、どうしようもなく簡単に壊れてしまうものなんです」
「だから、より良い世界を作ろうとした、過去全ての人たちの祈りを無意味にしてしまわないために。それは最後まで頑張って守り通さなきゃいけないんです。諦めちゃいけないんです」…と、自分自身が迷い、考え、たどり着いた『正義』を語る朱。
小説版で、槙島を裁くために朱と弥生が昔の法廷制度や法律について調べる場面があるんだけど、多分、これがあるとこの場面、もっと分かりやすかったかな?
「法は人の思い、人の祈り」。だからその「思いや祈り」を無意味にしないために「法を守る」。それが朱の『正義』。
やはり16話で朱が槙島を殺さなかったのは、「殺せなかった」のではなく「(あえて)殺さなかった」で正解だったんだな…。
そしてやはり、似たもの同士の狡噛さんと朱の分岐点は「怒りや憎しみからくる『殺意』」を持つか持たないか。いや、その「怒りや憎しみ」を超越するかしないか…だったか。
そんな朱に「いつか、誰もがそう思うような時代が来れば、その時はシビュラシステムなんて消えちまうだろう」「潜在犯も執行官もいなくなるだろう」と答える狡噛さん。

「だが…」とその先を続けようとした瞬間、隠れていた槙島がトラックを急発進させ、ふたりを襲う。
寸前で回避し、狡噛さんはトラックにドミネーターを向けるが、槙島に照準が合わないのと、常時パラライザーで固定されているためにデコンポーザーにモードチェンジすることも不可能。
そして狡噛さんが目にしたのは、トラックにしがみつく朱。
朱ェ!! …って、名前呼びかよコウちゃん!!
「咄嗟のことだったので朱呼び」だったらしいが、それってアンタ、心の中では常に「朱」って呼んでたってことかよ、コウちゃん…。アンタどれだけムッツリなんだよコウちゃん…。

朱は猛スピードで走るトラックに必死にしがみつきながら、タイヤを拳銃で撃ち抜くことに成功。
制御を失ったトラックは吹っ飛び、麦畑に横転する。
…え、あんだけ練習した狡噛さんが1発も槙島に当てることができなかったのに、撃ったことがない朱ちゃんが(ry
いや…これは朱ちゃんが持ってる運や…そうや、そうなんや…。ほら…朱ちゃんは「持ってる」子だから…(震え声)。

トラックから投げ出され、倒れる朱に槙島は「いい加減、僕たちを侮辱するのは、やめて欲しい」と、拾い上げた銃を突きつける。
要するにこの話が「男のロマンを女は止められない」だから、「男と男の問題に女が割って入るな」ってことなんだけど、まぁ、槙島から見たら「狡噛さんVS槙島」に割って入ってきた朱は「自分たち(の戦い)を侮辱している」わな。
無慈悲に銃の引き金を引く槙島だが、弾切れ。
「そうか…君は…」と何かを悟る槙島。
これに続く言葉は「(君は)ここで死ぬべきではない」だとフィナーレイベントで明言されたらしいけど、槙島は物事を「偶然」ではなく『必然』と考えている人間だから、ここで朱を撃った銃が弾切れだったのは「朱はここで死ぬべき運命ではない」という『必然』と思ったわけだ。
そして狡噛さんが追ってきていることに気づいた槙島は、銃を捨て、麦畑を歩き出す。
弾切れで役に立たない銃を捨てた…というよりは、自分を追ってくるだろう狡噛さんがそれを手にするために捨てた…ということだろうな。
『必然』で生きている槙島だから、狡噛さんは必ずまたドミネーターを捨てる。そして自分を殺すための武器を持って追ってくる。そのためにはこれ=銃が必要…と考えたわけだ。

横転したトラックを発見した狡噛さんは、朱を安全な場所に運び、再び拳銃を手にする。
排莢し、新しい弾を装填する音で意識を取り戻した朱は、必死に止めるが、「これは俺とアイツだけの問題なんだ」と狡噛さんは槙島を追うため、再び麦畑を走る。
サイコパス最終回の後、フジでSP劇場版が放送されたんだけど、自分でもSPの話を忘れかけてたので見て思い出したけど、SPって「尾形さんの人生をかけた復讐を井上が止める話」なわけよ。そしてサイコパスは「狡噛さんの人生をかけた復讐を朱ちゃんが止められなかった話」なのさ。話自体もそうなんだけど、そういった意味でもサイコパスって踊るよりSPっぽいのよ。
面白いことに、サイコパス放送前に踊るシリーズを放送して、本広総監督だし踊るっぽいのかな? と思わせてサイコパス放送したら全然踊るっぽくなくて、そしてサイコパス終了後にSP劇場版放送したら、「実はサイコパスってSPっぽかったんだよ」という半年かけた壮大なミスリード出題→答え合わせだったなぁ…と思ったよね。
そしてSP劇場版を見て思ったんだけど、井上が尾形さんを止められて、朱ちゃんが狡噛さんを止められなかったのに性別以外の要因があるとしたら、井上は尾形さんを「ただ止めたい」とだけ思ったから止められたのかな…って。朱は「槙島逮捕する」「狡噛さん死なせない」「狡噛さんを人殺しにしない」って欲張りすぎたから止められなかったんだろうな…って。
「もしも」…を考えるのはアレだけど、多分、朱は目的をどれかひとつに絞れたら、その目的・願いを叶えられたはずだと思うんだ。
まぁ、そんな朱ちゃん贈る言葉は「二兎を追う者は一兎をも得ず」…だな。
でもきっと、朱ちゃんはこれからもずっとそうやって、いくつもの譲れない願いを欲張りながら刑事として、人として生きていくんだと思うがな。

最後の瞬間を迎えるべく、麦畑を行く槙島。そして、それを追う狡噛さん。
「誰だって孤独だ。誰だって虚ろだ。もう誰も他人を必要としない」「どんな才能もスペアが見つかる。どんな関係でも取り替えがきく」「そんな世界に飽きていた」…と述懐する槙島。
槙島はさ、『孤独』というものに苛まれてはいたけど、他者との繋がりを持とうとしなかった…というか、犯罪を通してしか他者との繋がりを持てなかった人間だよね。しかもその他者との繋がりは「道具」としての扱いで、かろうじてグソンは腹心とも言えるべき存在ではあったけど、グソンでは槙島を理解できなかった…というか、理解させなかったんだろうなぁ。
免罪体質者で世界から疎外されたと感じ、誰かに目を向けてもらうための手段として犯罪を選んだ。そしてその中で自分を理解してくれる存在を探していた。
でも槙島は「理解して欲しい」とねだるだけで、他者に自分を理解してもらうための努力をしなかった。だから狡噛さんに「ガキと同じ」と言われたんだろうさ。
逆に狡噛さんはちゃんと他者との繋がりを持ち、(理解されないかもしれないけどと思いながらも)理解してもらおうともしてたよね。標本事件の独自資料から始まって、朱が槙島の存在を信じたことから始まる1係のチームワークとかさ。
そりゃ、槙島は免罪体質者でそばに誰もいなくて、狡噛さんは元エリートの現潜在犯で最初からそばにいっぱい人がいた…という人もいるかもしれないけど、免罪体質者であろうがなかろうが、やはり「自ら他者との繋がりを持とうとする」という意志や努力が槙島には欠けていたと思うな。
そういった意味じゃ、やっぱり槙島は狡噛さんを完全には理解してないんだと思うよ。槙島にとっての『孤独』は意味そのまんまの「誰とも繋がりを持てないひとりぼっちの寂しさ・虚しさ」だけど、狡噛さんの孤独はそうじゃないもの。狡噛さんの『孤独』は「誰かを守るためにあえて背を向ける」優しさからくる孤独だもの。
狡噛さんを完全に理解できる人間がいるとしたら、それは槙島と朱、両方の要素を持った人間だろうさ。さっきも言ったように、槙島は狡噛さんのダークサイドを理解したにすぎず、朱は狡噛さんのダークサイドを理解できなかった代わりに、刑事としての狡噛さんや人間としての情や優しさの部分を理解した人間なんだろう。ついでを言えば、狡噛さんは槙島のように、誰かに完全に自分を理解して欲しいなんて、これっぽっちも思っていなさそうだしな。

そして槙島は言う。「でもどうしてかな? 僕が君以外の誰かに殺される光景は、どうしても思い浮かばないんだ」…と。

狡噛さんの「何故だか俺以外の誰かがアイツを殺すってのが想像もつかない」に呼応したセリフなんだけど、実は小説版にはこの狡噛さんのセリフが…ない
その代わりに、公安局に逮捕されることを覚悟した雑賀先生に「公安局から取引があったら乗って下さい」とお願いしてるんだけど…これはそれに対応する場面が最後のほうにあるのでそっちに回す。

麦畑を抜け、丘の上にたどり着いた槙島は、これまでとは違う、純粋な笑みを浮かべ、空を仰ぐ。
最後の時が迫っていた…。

「なぁ、どうなんだ? 狡噛」と槙島は問う。「君はこのあと、僕の代わりを見つけられるのか?」
狡噛さんは答える。「いいや…。もう2度と御免だね」…と。
その言葉を聞き、槙島は子供のような表情を浮かべる。
麦畑を抜けてからのシーンは、一貫して槙島は子供のような表情なんだよね。
まぁ、槙島にしてみたら、「やっと鬼ごっこで捕まえてもらった」「やっとかくれんぼで見つけてもらえた」…という気分なんだろうな。なにせ小説版では「生まれ変わったらもう1度やろう」とまで言っている。
そして狡噛さんは銃の引き金を引き、槙島の身体は地に倒れこんだ…。
死体描写がないので槙島は死んでない説もあるっちゃあるのだが、「槙島は死んだ」ってアニメ誌だかオフィシャルプロファイリングで明言されちゃったよな…。
ちなみに虚淵の当初の案では、狡噛さんなのか槙島なのか分からない男がどこかの山荘にいる…というラストシーンだったようだけど、塩谷が逆に「槙島が死んだ」ことを見せるような演出にしたんだとか…。
というか、槙島は死んでなきゃダメだよ、この話的に。
これで死んでなくて生きてました…だったら、狡噛さんが人生かけた意味がなくなるもの。いや、実は生きてて2期でまた追いかけっこやるという手がないわけじゃないが、このあとの展開的にも死んでないとダメだ。

狡噛さんを追う朱は、銃声で全てを悟る。
そして1話のあの朱のモノローグは、やはり狡噛さんと槙島の結末を見届けた朱が発したものだったか。
…にしても、キャプ画じゃ分かりづらいんだけど、槙島を殺したあとの狡噛さんの表情が、すんごい寂しそうなんだよね…。
小説版の最後で狡噛さんは「失うものは何もない。そう思っていたが、どうやら本当は違っていたらしい。胸に穴を開けられたような気分だ」と喪失感を吐露していて、目的を果たせたという充足感もあっただろうけど、それ以上に喪失感のほうがすごかったんだろうな…この先どうやっていて生きていこうと思うほどの。
でもって小説版では、朱は銃声で狡噛さんが槙島を殺したことを悟って、そこから1話のあのモノローグに「そこには最初から朱が入り込む余地はなかったのだ」とも言っている。
ただ、じゃあこの話に朱の存在が要らなかったかというと、そうじゃない。
朱の存在があったからこそ、この結末があった。
かつて狡噛さんができなかった「執行官を止めるためにドミネーターを撃つ」ということを朱がやってのけた。誰も信じなかった槙島の存在を朱が信じた。朱が1係のチームワークを立て直し、そのチームワークで槙島に迫ることができた。
そういやね、21話で槙島がギノさん・とっつあんチームを狙った意図が分かりづらかったんだけど、小説だと1係のチームワークによって槙島を追い詰めたので、1係を壊滅させることが目的だったらしい。そしてギノさん・とっつあんチームの他に、朱・弥生チームもトラップにかかって朱をかばった弥生が負傷しているんだわ。そういった意味では、(標本事件後、朱が配属されるまでの1係の描写がないからなんとも言えない部分があるけど)朱はスタンドアローンのチームだった1係を、チームワークで動くチームに変革させた…ってことでいいんだと思う。
…そして、最終対決がAパートで終わったということは、Bパートは後日談…よくある仮面ライダーの最終回か!
…しかしこの結末、狡噛さんは果たして本当に勝ったといえるのだろうか?
いや、最初から「勝ち負け」の問題ではない。勝負というよりは「満足行く結末を得られるか得られないか」「この結末にどれほど満ち足りることができるか」という問題だろう。
そういった意味では、槙島のひとり勝ち…だと思う。
もちろん、狡噛さんも「槙島を殺す」という目的を果たせたという面では満足行く結末を得られたのだろう。…が、その後に彼を襲ったのは「喪失感」に他ならない。おそらくは「この先どうやって生きていこう?」と思うほどの。
槙島は狡噛さんに存在を認められ、理解してもらい、そして満足行く結末を得て、満たされたまま死んだ。それはあの子供のような笑顔が証明している。
結局のところ槙島は「どちらが生き残るか」という勝負には負けたけど、狡噛さんに『槙島聖護』という存在を強烈に刻みつけ、そして死んだことによって、互いの「執着の終着」という勝負には勝ったのだ。
もはや勝負というものを超越した狡噛さんと槙島の対決だが、あえてこの対決を勝負というのなら、やはりこの勝負は「槙島のひとり勝ち」という結末なのだろう。



狡噛さんが槙島を殺したことでシビュラとの取引に失敗した朱。
しかしシビュラは、「朱の健康かつ強靭なサイコパスと、明晰な頭脳、判断力は、来るべき新たな時代の市民に示す指標として充分な理想形といえる」「朱はシビュラシステムに対し完全に相反する、感情的反感と理論的評価を抱いており、今なおその葛藤は継続している」と言い、そんな朱を懐柔する手法が確立できたなら、自分たちは社会統制を次の段階に進める上で貴重なサンプルデータを獲得できる…と、朱をまだ利用する気でいた。
シビュラの目的は、「いずれシビュラシステムは実態を見せる時が来る。そのためにはすべての市民がシビュラの正体を認識し、理解した上でシビュラによる統制を享受するようになる環境を整えること」。この課題を達成は、将来の人類社会により盤石な安定と繁栄をもたらす。
朱の動向を観察し解析することは、未来の市民を懐柔し順応させる方法を構築する手がかりになる。そのために今後もシビュラは朱を利用する…と、取引に失敗してなお朱の利用価値を述べるシビュラ。

利用されることが面白くないが、犬死はしたくないし、シビュラ抜きではこの社会が成り立たない…と、ひとまずはその扱いを受け入れる朱。
しかし、法を守ったがゆえに払った犠牲や、守りたいものを守れなかったことを悔やむ朱は、それでもシビュラに抗うことを決意する。
「尊くあるべきはずの法を何よりも貶めることは何だか分かってる?」朱は言う。「それはね、守るに値しない法律を作り、運用することよ」…と。
朱は誓う。守らなければいけない法が過ちなら、それを正すしかない。
「人間を甘く見ないことね」と吐き捨てる朱。
「私たちはいつだってより良い社会を目指してる」
いつか誰かがこの部屋の電源を落としにやって来るわ
「きっと新しい道を見つけてみせる!」
朱は、人間が自らの選択によって「シビュラを必要としない社会」を作ることを誓う。
それがたとえ、自分の代で終わらなくとも。

「シビュラシステム、あなたたちに未来なんてないのよ!」そう叫ぶ朱。
しかし、シビュラは笑う。嘲笑う。
常守朱。抗いなさい、苦悩しなさい。我々に進化をもたらす糧として…」
シビュラは信じて疑わない。自らの支配は永遠に続く…と。
朱は信じ、そしてその道を探す。人類が自らの選択でシビュラを不要とする日が来る…と。

そして2ヶ月後…。
オフィシャルプロファイリングには各事件の起こった日にちが書いてあるんだけど、それによると、この話は2112年11月4日(1話)〜2113年2月11日(最終話Aパート)+4月11日(朱とシビュラの対話後のBパート)までという、実質3ヶ月の話なんだわ。
たった3ヶ月の間に、怒涛のごとく事件が起こって槙島と決戦したっていうジェットコースターぶりに改めて驚いた。

とっつあんの墓参りに訪れたギノさん。手袋でボカしてはいるけど、左手は義手…だよね。
結局、ギノさんは犯罪係数ぶっちぎって140まで行ってしまったものの、狡噛さん同様、執行官として刑事課に戻ることにした…と、とっつあんに報告するギノさん。
「違う道を進めとアンタは言ったが、ご期待には添えなかったわけだ」と親不孝を詫びるギノさん…ノーメガネじゃないっすか!!
そしてギノさん、穏やかになったよね…。おそらく本来のギノさんってこういう穏やかな人だったんだと思うけど。
しかし、こうなったことは「不思議と後悔はしてない」と言うギノさん。
墓前にはとっつあんが狡噛さんに渡したセーフハウスの鍵があるんだけど、これはそのままストレートに狡噛さんが墓参りに来た…ってことらしい。果たしてギノさんはそれに気づいているのか…気づいててくれ、ギノさん!
「刑事(デカ)なんてロクなもんじゃない。それでも誰かが引き受けなきゃならない仕事だ。…そうだろ? 親父…」
ギノさんは父の跡を継ぎ、そしておそらく自分は父に憧れて刑事になったという初心に返って、再び刑事として生きることを誓う。
ギノさんさ、「刑事の勘は俺には備わらなかった才能」と言ってたけど、あの狡噛さんだって執行官になってから刑事の勘が備わったっぽいから、ギノさんだってこれから覚醒して刑事の感が備わった「ベテラン刑事」になれるよ!
…というか、マジメに「執行官 宜野座伸元」とかスピンオフないですか!?
刑事の勘が備わりつつあるんだけど、それを自分ではまだ疑ってるギノさんが、事件の犯人が実は警視庁時代のとっつぁんが取り逃がした犯人で、「親子2代で追うことになるとはな…」とか言いながら執念で捕まえて、「親父があげられなかった犯人、逮捕したよ」って最後に報告に来るような、そんなスピンオフないですか!? …ならテメエが同人誌とかpixivとかで書けという話でもあるがw
ちなみに志恩さんスピンオフは、とある事件の被害者が志恩さんの医学校時代の同期で、事件を追ううちにシビュラ以外にもあった厚生省の暗部に入り込んじゃって、その真相を知った志恩さんが「朱ちゃん、私、これを公表するべきなのかな?」とか苦悩する話とかどうでしょうかね?
マジメに私はスピンオフ「執行官 宜野座伸元」と「分析官 唐之杜志恩」は見たいというか読みたいというか…。小説でいいのでお願いします公式様!

スカートからパンツスーツにスタイルチェンジした朱ちゃん…てか、なんか変わったよな。妙な線引きというか。
まぁ、あんなことがあれば、かつてのギノさんじゃないが、どこかで一線引いちゃうわな…。たとえ本質は変わらないとしても。

槙島の事件で死にはしたが、とっつあんは縢と違って墓があるだけマシ…と語るギノさん。
縢の捜索が打ち切られたことで、縢の死亡を確信したギノさんは、執行官落ちしたからか、何のてらいもなく「上層部はその確証を掴んだ上で発表せずに有耶無耶にしている」と言う。
もうギノさん、どんだけ中間管理職として苦悩してきたんだよ!
ってか、実際、同じ監視官でありながら、朱のサイコパスが濁りにくかったのは、朱の体質もあるけど、ギノさんが中間管理職として朱の分までいろんな苦労をかぶっててくれたから…と明言されちゃってたしなw
朱よ、これから1係の長となった分、苦労しろ。ギノさんの分…いやそれ以上に苦労しろ。それがお前のギノさんへの恩返しってもんだ。

縢の死の真相を知っているが、今はそれについて話すことができない朱は、槙島を殺したあと行方不明になった狡噛さんの所在について話題を変える。
「あれだけ獰猛な猟犬から首輪が外れたら、それはもう狼と変わらない。むしろ野生に戻った分、のびのびとやってるかもしれん」と言うギノさんに、「そんな…気楽なものでしょうか?」と問う朱。
だがギノさんは「執行官だった頃のアイツが気楽にやってたわけでもないだろう。しぶとくて、狡猾で、諦めの悪い男だった。どんな過酷な状況だろうと、アイツはきっと切り抜ける」と、狡噛さんの生存と、この先もどこかで生きていくだろうということを信じていた。
…うん。ギノさんも狡噛さんを理解してたよ。親友として。
もしかしたらさ…いや、付き合いの年月(高等教育課程から12年)からしても、狡噛さんに対する理解度は朱よりギノさんのほうが高いはずなんだ…多分、今となっては。監視官と執行官と道が別れちゃって、ギノさんが意図して狡噛さんを理解しようとしなかったから、朱のほうが狡噛さんを理解したけど、逆に今となってはギノさんのほうがきっと狡噛さんを理解できてる…そんな気がする。同じ男だし。朱が理解できなかった男の意地とやらも、今となってはギノさんは理解しているというか、実際にギノさんも男の意地通して刑事続けてるしな。
それにギノさんもようやく狡噛さんに対して「何も言わなくても俺たち親友だから分かってるよな」という境地に達したのかもしれん。
なにせ最終回前のUstで「宜野座は狡噛に対して『俺たち友達だよな!?』と確認したがるけど、果たして狡噛は宜野座をどう思っている?」という質問に、狡噛さんは「長年コンビ組んでる芸人と一緒で、『長い付き合いだから口に出さなくても分かってる関係』だと思っている」という結論が出ていたので、きっとギノさんも実際もう2度と狡噛さんと会うことはない…という部分からくるものもあるんだろうけど、「俺はお前がどんなでも、どこにいても、ずっとお前の親友だよ」と思うようになったんだろうな…と。…ちなみにホモ的な意味は一切ございませんよw

そしてギノさんは、「むしろ心配なのはあなたのほうだ」と朱を気遣う。
もともと気遣いで朱に苦言を呈していたけど、だからってギノさん、これはデレすぎだよ!!w
しかし執行官になったギノさんは、元監視官だった手腕を生かして、朱ちゃんを上手に支えてくれる気がするんだ…。
だからスピンオフ「執行官 宜野座伸元」を早よ!

「過去よりも未来に目を向けよう」と今度はギノさんが話題を変える。
明日着任する新しい監視官は未成年で、異例の人事…とのこと。
しかし「俺たちにも責任の一端はある」とギノさん。
…ん? どうやら何やら1係の過去に関係があるようだが?
まぁコレが、Bパートラストシーンの伏線になるわけさ。

「ところで、つまんないこと聞いてもいいですか?」と朱。
ギノさんのメガネがダテだということを今更知った朱に、ギノさんは「自分の顔が嫌いでね。特に目元が…」とメガネをかけていた理由を話す…が「だが、もうどうでもよくなったんだ、今は…」と言う。
とっつあん似の目元が嫌で隠してたけど、とっつあんのことをちゃんと父親として受け入れて、それでもうメガネは必要なくなった…ってことか。
とっつあんを越せるかは分からないけど、いい刑事なれよ、ギノ…。

朱が「残された女」なら、もう一方の「残された女」たち=弥生と志恩さんもまた、いなくなった男たちを彼女らなりに偲んでいた。
…ってか、最後の最後にお色気シーンかよ! 遅すぎるだろうがー!!(CVギノ)
しかし、大事なところは見えません! 乳首すら見えません!
スゲェよ、マジメに最初から最後まで乳首まで見せたのは狡噛さんだけだったよ…。
男の意地を貫いた結果、死んだりいなくなったりした男たちに「時代遅れな男たちには、この仕事は向いてないってこと」と言う弥生。しかし志恩さんは「ロマンチストって言ってあげなよ」と言う…が、弥生は「それで慰めになるのかしらね…アイツら」と、彼女なりに寂しさを感じていた。
ちなみに小説版だと、弥生は狡噛さんを自分を執行官にした恩人と思っている部分と、志恩さんとの肉体関係を疑って嫉妬している部分(弥生はガチレズだけど、志恩さんはバイセクシャルなので、弥生は志恩さんがいつまで自分の相手をしてくれるのか不安な部分がある)があって、狡噛さんがいなくなってちょっとでも安心してたら自分は大したろくでなしだ…とこの場面で自嘲している。

そして事件は起こり続ける…というか、1話の再来!
新しい監視官は…覚えてますか? 霜月美佳ちゃん。女子校事件で友人を殺され、弥生の胸で泣いたあの子です。

…そう、「公安局は似たようなことを繰り返している」!!
かつて友にすらなり得るはずだった部下(佐々山)を殺された狡噛さんの元に朱がやってきて、朱は事件を追ううちに友人(ゆき)を殺された。そして今、朱と同じように事件で友人(加賀美)を殺された美佳が朱のもとにやってきた…という繰り返し。
ループEND…なのか?

徹底して1話と同じなんだけど、ギノさんが「今から会う連中を人間だと思うな。ヤツらは獣を狩る獣」と言ったのに対し、朱は「同じ人間ではあるけれど、君とはまったく違う判断基準で犯罪に対処する」と言ってる。
多分、これは「ループ」じゃなく「スパイラル」ENDだな。
円を描いているように見えて、実は螺旋。狡噛さん→朱→美佳と同じをことを繰り返しているように見えるけど、少しずつではあるけど、良い方向へと進んでいく。だから螺旋=スパイラル。
狡噛さんに刑事としてのあり方を託された朱は、自身が信じる正義と、おそらくは自らの意志を継いでくれるであろう美佳、そしてギノさんと弥生、志恩さんの存在に支えられて、社会を良い方向へ…いつか人間が自らの手でシビュラは要らないと選択する世界を築いていくんだろう。そしてたとえそれが朱の代で終わらなくても、朱の意志を継ぐだろう美佳やそれに続く人間たちが、きっとそれを成し得てくれる…と朱は信じているし、私も信じてる。
13話のときに「朱ちゃんニュータイプ説」をここで打ち立ててみたんだけど、多分、それって当たってるのかもなぁ…という気がするのですよ。
免罪体質者ではないけれど、強靭なサイコパスを持つ朱はシビュラ世界におけるニュータイプで、だからこそこの世界=シビュラに疑問を呈することができた(通常ならシビュラに疑問を抱いた時点で反社会的として犯罪係数が上がる)。そして社会秩序のためにはシビュラが必要としながらも、法として正義を執行できないシビュラは間違っているいう考えも持つことができたし、現に抗っている。
おそらく美佳も朱のようなタイプで、今後この世界には朱のような「ニュータイプ」が続々と出てきて、そしていずれは人間が自らの意志でシビュラを必要としない社会を選択するんだろう。朱の正義がこの物語の最後に選択されたということは、この世界の未来はそうなるべく動いているんだと思うし、そうあって欲しい。
だから、この終わり方は「打倒システム」という視点から見ると非常にサッパリしない後味の悪い終わり方かもしれないけど、最初から「システムをどうこうする話にはしない」と言われてたし、「キャラクターがシステムに対して答えを出す」という意味では、朱が「いずれこのシステムを必要としない社会を作ろうとする」という答えを出したという点では非常にとまではいかなくても、希望が持てる終わり方ではないかと私は思う。
…まぁ、どっちにしろ主人公(狡噛さん)が空気という点ではサッパリしないけどなw

そして何事もなかったかのようにこの世界は続いていく…というEDなのだけど、さっき言った雑賀先生の話をここでしようかと。
この、局長室で禾生局長と何か話している人…というのが雑賀先生なんだわ。
放送当時は小説下巻がまだ出てなかったから「なんでここに雑賀先生おるねん!?」って謎だったんだけど、さっきも言ったように小説で、狡噛さんの公安局から取引があったらそれに応じて欲しい…というお願いに応じた形になるらしい。
小説では朱が公安局を離反した狡噛さんが雑賀先生の元に向かったのでは…というところまで突き止めてるから、おそらくは狡噛さんの逃亡に加担した罪に対して何らかの取引を持ちかけられたと思われるんだけど、罪を問わない代わりに公安局の協力者になれ…ってあたりだろうかね? 雑賀先生が分析官になってたらそれはそれで面白そうなんだけど…だからスピンオフ早よ!

そして最後の最後にCパート。
何処かへ向かう船の船室にいる狡噛さん。
その傍らにはタバコと「失われた時を求めて」。
彼は一体この先どこへ向かうのか…?
失われた時を求めて」が狡噛さんと槙島のリンクを象徴するアイテムなのと、朱が「いつか誰かがこの部屋の電源を落としにやって来るわ」とシビュラに言ったことから、その「誰か」=狡噛さんで、狡噛さんが第2の槙島になってシビュラを打倒するのでは…と言われたりしてるんだけど、私はそれはないと思う…というか思いたい。
槙島に「僕の代わりを見つけられるのか?」と問われ、「2度と御免だ」と答えた狡噛さんが、もう1度「誰かを、何かを刈り取る」ということをするとは思えないんだよ…。
ちなみにフィナーレイベントで最終回の後日談がメインキャスト陣の朗読劇で演じられたんだけど、それによると狡噛さんは海外逃亡を示唆する別れの挨拶を電話でしたんだけど、朱に「また会える気がする。監視官や執行官とかではなく、今度はひとりの人間同士として」と言われてるらしいんだ。
とすると、おそらくこの2人が再会することがあるとしたら、近い未来か遠い未来かは分からないけど、朱が望んだようにシビュラが必要とされなくなった世界で…なんじゃないかな。
むしろここまでシステムを打倒する話にしなかったんだから、これで2期とか映画やって、シビュラの真実を知った狡噛さんがシビュラ打倒に走りました…は、ちょっと芸がないというか、じゃあ何のために槙島殺すのに人生かけたんだよ…って話になるしな。
オフィシャルプロファイリングで、「最終回後の狡噛さんはどうなる?」って塩谷が虚淵に聞いたら「一瞬、生きていく糧を失ったあと、1回沈んだところからゆっくりと立ち上がっていくのだろう」と返ってきて、塩谷もそう思った。それでこのCパートを入れた…と言ってるから、ゆっくり休んだあと、どこかでひっそりと…おそらくは狡噛さんの初心であった「誰かを守る」ってことを意識的であれ無意識的であれ、しながら生きてくんじゃないかな…って気がする。
ただこれが小説版だと狡噛さん、えらく疲れてて、「今はとにかくゆっくり休みたい」って言ってんの。でも「これから先、何もいいことがないとしても。失うだけで苦しむだけの人生だとしても。殺人の責任を背負ってしまった体だから。いつか殺される側に回るまで。納得のできる死に方なんてものがあるなら」と、自分なりに罪を償いつつも、いつか誰かに殺されるまで、それでも生きてみよう…みたいなことを言ってるんだよね。
「納得のできる死に方なんてものがあるなら」ってくらいだから、シビュラに殺されるのは気に食わないけど、人を殺した罪を背負っているからいつか誰かに殺されるのは当然と考えているのか…。要するに、このあとの狡噛さんは、率先して死ぬ気はないけど、自らの死に場所を探していく…みたいなカンジなのかもしれないな。
そう思うと、逆に彼の結末は知らないほうがいいというか、「狡噛慎也の物語」はここで終わったほうが綺麗だな。


正義(システム)の連鎖は、終わらない―― Sibyl still continues…」
これでPSYCHO-PASSという物語…というか「狡噛慎也が主人公の物語」は終わったんだけど、これだけで終わらせるには惜しいなぁ…と。
ただ、続編=2期や映画があって欲しいかというと、それはちょっと勘弁してもらいたい派。
あってもスピンオフとか、この世界観のままキャラを一新した別物のドラマ(例えばケイゾクとSPECの関係性みたいな)…かな。
どちらかと言うと、スピンオフは作りやすいと思うんだよね。キャラの掘り下げは圧倒的なまでに不足だからな。むしろスピンオフ展開のためにキャラの掘り下げを最低限に抑えたんじゃないかと思えるほど。
…だから「執行官 宜野座伸元」とか「分析官 唐之杜志恩」を早よ!!(結局求めるところはそこかいw)


ともあれ、無事に「PSYCHO-PASS サイコパス」全22話を完走し、この感想ブログも完走することができました!
初めは…というか、基本的にこのブログは自分の備忘録的なブログなので、自己満足のままに書いてたんですが、ブログコメントや拍手コメントで「いつも見てます」とか「楽しみにしてます」とか「また見に来ます」というコメントを頂き、たいへん励みになりました。ありがとうございました。
今回の最終回分が2週開いてしまって「最終回も楽しみにしてるので頑張って」というコメントも頂きまして、早く書かなきゃな〜と思いつつ、本日になりました。お待たせいたしました。
ひとまず、この原則毎回毎週レビューのこのブログはサイコパス最終回分をもちまして休止となります(元々気が向いた時にしか書いてないようなブログなのでw)。
サイコパス関連…というか、アニメ・特撮関連はTwitter*1のほうでリアルタイムだったりそうじゃなかったりですが、色々とつぶやいておりますので、興味がございましたらそちらのほうでよろしくお願いいたいます。
改めて、半年間このサイコパス感想ブログにお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。
4月期は「非公認戦隊アキバレンジャー痛」「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」「翠星のガルガンティア」「進撃の巨人」「ゆゆ式」「とある科学の超電磁砲S」「よんでますよ、アザゼルさん。Z」あたりを試聴する予定ですが、今のところブログを書く予定はありません。
また何か「これは毎回ブログ書かなきゃ!」と思う作品に出会った時にお会いすることができたら、幸いでございます。

PSYCHO-PASS Complete Original Soundtrack(完全生産限定盤)(Blu-ray Disc付)

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*1:@allred_risa