PSYCHO-PASS サイコパス #20「正義の在処」

PSYCHO-PASS Sinners of the System


サイコパスクラスタかつ水曜どうでしょうクラスタ、大爆笑。


前回、「喋ったアアアアアァァァァァッ!!」なドミネーターに導かれて朱がやってきたのは、例のノナタワーの秘密の地下区画。
狡噛さんがいなくなったんで、刑事課サイドはシビュラシステムの秘密を暴くんじゃなくて、シビュラのほうから「秘密を開示」されるわけか…朱だけだけど。

一方、槙島は取材記者のふりをして、前回チラッと資料に写っていた農学博士・管巻のもとを訪れていた。
ハイパーオーツの疫病対策に必要なウカノミタマウィルスを作り出し、日本の完全食料自給に貢献した立役者でありながら、現在は引退し、半ば忘れられた存在となっていた管巻に槙島は何の用があったのか…。

ウカノミタマウィスルは害虫や疫病だけを殺す善玉ウィルスでありながら、シーケンサーへの入力次第で麦そのものを攻撃対象に変更することができ、それが行われるとハイパーオーツは死滅。それはすなわち、ハイパーオーツに99%頼りきっている日本の食料そのものが死滅する。
そしてその施設の保安体制は前時代の生体認証システム。サイマティックスキャンは導入されておらず(といっても槙島にとってサイマティックスキャンによるセキュリティなど無意味だが…)、槙島はその施設に入るセキュリティを突破するために必要である指紋や虹彩(眼球)を手に入れるため、管巻を殺害する。

前回、槙島の目的を突き止めた狡噛さんが管巻邸に辿りつくも、すでに管巻は槙島に殺害されたあと。
そして狡噛さんは自分の読みと槙島の狙いが一致したことを確認し、あとを追う。

例の地下区画でシビュラシステムの真相を聞かされた朱。
地下に向かい、行方不明になった縢が死んだ=シビュラに殺されたことを悟る朱に、シビュラは「縢の生涯を通じて社会に果たす貢献より、シビュラの機密漏洩の危険のほうが重大である」と縢を殺害した…と答える。
朱はそれに激怒し、「槙島をさばけなかった役立たず」とシビュラをなじる。

しかし、シビュラは「免罪体質者の発生は確率的に不可避」と「役立たず」であることを認める。
ドミネーターさんの声で、感情なく淡々と言うもんだから、これが逆に神経を逆撫でるんだよねぇ…。
いかに緻密で堅牢なシステムを構築しようと、必ずそれを逸脱するイレギュラーは一定数で出現する…と語るシビュラに、「完璧なシステムが聞いて呆れる」「こんなものが人の生死を決めているなんて」と、今まで信じてきたものを覆された朱。
ただシステムを改善し、複雑化するだけでは永遠に完璧さは望めない。ならば機能ではなく、運用の仕方によって矛盾を解消するしかない。管理しきれないイレギュラーの出現を許容し、共存できる手段を講じることでシステムは事実上の完璧を獲得する。
すなわち、システムを逸脱したイレギュラー=免罪体質者にシステムの運用を委ねる
これが最も合理的な結論…と、シビュラシステムを構成する脳が免罪体質者のものであることを朱に明かすシビュラ。
そして、シビュラの構成員には、かつては槙島よりもはるかに残忍な行為を行った者も多数いた…と、槙島の犯罪など取るに及ばぬことのように語る。

「悪人の脳をかき集めた怪物が、この世界を仕切っていたっていうの?」と驚愕する朱。
名前のない怪物…か。
いや、名前はあるな…シビュラシステムという名が。
しかし、別にこの話を全部知って書いたわけじゃないOPやEDの歌詞が、1クール目も2クール目も見事に当てはまるという奇跡を生んでいるな、サイコパス
1クール目EDの「名前のない怪物」も、ギルティクラウンのいのりが、ギルクラの時空を超えてサイコパス世界に辿りついて、そこで歌をその世界の歌ったよ…的な設定だったらしいんだが、見事にシビュラシステムさんのことに当てはまりましたね。
1クール目OPも、誰にも見せられないもの(殺意)が頭の中に溢れてるけど、ここ(刑事課)が俺の居場所だから今は(その殺意を)満たさないでおく…と受け取れば、刑事でいたいと願った1クール目の狡噛さんだし、2クール目OPも、刑事でいることよりひとりの人間として槙島殺したい2クール目の狡噛さんだし、2クール目EDは、一緒に罪を背負うからひとりで全部抱えないでよ…っていう朱ちゃんやギノさんたちに聞こえるという、「本当に皆さん、脚本最後まで読んで書いたんじゃないんですか?」と疑いたくなるほどのストーリーとの合致が奇跡だな、マジで。

善と悪といった相対的な価値を排斥することで絶対的なシステムが確立される。必要なのは完璧にして無謬のシステムそのもの。それを誰がどのように運営するかは問題ではない。真に完成されたシステムであれば運用者の意志は問われない。シビュラの意志そのものがシステムであり、倫理を超越した普遍的価値基準…と自分たちの存在の正当性を語る。
しかし、朱はかつて様々な罪を犯しながら免罪体質であることから裁かれなかった「悪人」たちの集合体であるシビュラに怒りと嫌悪を抱く。
シビュラの構成員が、かつては人格に多くの問題を抱えていたのは事実。しかし、全員の精神が統合され、調和することによって普遍的価値基準を獲得するに至った。むしろ、構成因子となる個体の指向性は、偏った特異なものほど、シビュラの認識に新たな着想と価値観をもたらし、思考をより柔軟で多角的なものへと発展させる。
その点において、槙島の特異性は極めて貴重なケースで、ひときわ有用な構成員として期待される。
あらゆる矛盾と不公平の解消された合理的社会の実現。それこそがすべての人類の理性が求める究極の幸福。完全無欠のシステムとして完成することにより、シビュラはその理想を体現する存在となった。
そしてシビュラさんは常にそのために進化を求める…と。
だから、シビュラはあんなにも槙島を欲しがる…と。
ただの免罪体質者ではなく、その免罪体質者の中でも特異だからこそ、システムの飛躍的な進化のためもに欲しい…と。
しかし、面白い話だよな。悪人が集まると悪が極まるんじゃなくて、普通になっちゃうのか…。
ドミネーターさんボイスだから感情もなく淡々と語ってるだけなのかもだけど、システムに統合されてる時のコイツらって、感情なさげだよな。…いや、感情がないというより、247人(藤間死亡したから今は246人?)が、個として保たれながらもひとつの人格になってる状態?
少なくとも感情や善悪などといった相対的価値を排斥したことによって、個の集合でありながら逆に冷静な思考を保っているのは、よくある合議制としては理想的というか、シビュラって240名超の合議制でありながらも、思考や知識など、それぞれの個が持つ全てを共有・統合されてシビュラシステムという「個」にもなり得ているから、合議と独裁を同時に兼ね備えている…よねぇ?
よく「このシビュラシステムってクソだろ」って言われてるんだけど、確かにクソな部分はある。しかし、個の集合による合議制でありながらも、その個が持つすべてを共有・統合し、「ひとつの個」として独裁的な決断すらできる…というシステムは、個人的には悪くないと思う。
国会とか見てみろよ…。まだシビュラのほうがマシだと思えるくらいクソだろ…。
しかし、シビュラさんには「狂気」を感じるわけでな…。
そこら辺が嫌悪感を抱く部分かもな。
「何故そんな話を私に?」と問う朱に、シビュラは「朱は我々嫌悪し、憎悪しながらも、シビュラシステムの有意性と必要性は否定できない」「シビュラなくしては現在の社会秩序が成立しないという事実を大前提としている」とし、「正当性よりも必要性に重きを置く朱の価値基準を高く評価している」と答える。
シビュラが朱に真実を開示した理由。それは朱とシビュラが共通の目的意識を持っていたからだった。
故にシビュラは朱がその秘密を暴露してシステムを危険に晒す可能性は限りなく低いと判断した。

それに対し、「ナメるんじゃないわよ!」と憤る朱に、シビュラは再度問う。
「シビュラシステムのない世界を望むか?」…と。
しかし、朱は頷けない。そしてシビュラは朱の思いを見透かしたかのように語る。
朱が思い描く理想は、現時点で達成されている社会秩序を否定できるほど明瞭で確固たるものではない。(つまり、シビュラのない世界を前提としていない)
朱は現在の平和な社会を、市民の幸福と秩序による安息を何より重要なものとして認識している。(人々の幸せを守ることが大切と考えている)
故に、その礎となっているシビュラシステムを憎悪し、否定しようとも、拒絶することはできない。(シビュラがなくなることは社会秩序がなくなるのと同義。故にそれをなくしてしまったら、人々が不幸になる。だからそれはできない)
槙島は「人間が人間らしく生きるためには、シビュラシステムは不要」と考え、朱は「シビュラは歪んだシステムだけど、それがもたらす恩恵で人々が幸福になっている世界を壊したくない。だから歪んでいてもシビュラは必要」と考える。
シビュラシステムという存在に対しての正義の対立=槙島と朱の正義の対立なんだけど、面白いことに、この軸で考えた時、「シビュラなぞ現状どうでもいい」狡噛さんの立ち位置がとても皮肉なのよね。
シビュラから「悪」と判断され、シビュラ(法)で裁けない槙島を裁くには自分が法=シビュラの外に出るしかない…って、自分の意志でも「悪」になろうとしてる狡噛さんが、シビュラを倒す存在=槙島を倒そうとしていることが、結果的には自分を「悪」だと判断したシビュラを守ろうとしているという皮肉がなんともね…。
しかも狡噛さん自身は槙島殺したら、ちゃんと朱(が撃つドミネーター)で裁かれることまで望んでる。…まったく、どこまで自己犠牲の塊なんだよ、この人は…。
分かりにくいけど、やっぱりヒーローなんだよ、この人。狡噛さん自身は「そんな御大層なもんじゃない」って言いそうだけど。

自分の思いを見透かされ、「知ったような口を聞かないで!」と言う朱に、サイマティックスキャンすれば朱の思考は明確に把握できる、虚勢を捨て、腹を割って話し合おう…とシビュラ。
この会見の目的は、朱との協力関係を構築することだ…と。
腹を割って話そう」…水曜どうでしょうか!w
つまりこういうことである。
朱「私は寝ようとしたんですよ。寝ようとしたのが12時ですよ。したら現れたのがこのドミですよ。何の気かしれないけどドミが現れて、【腹を割って話そう】と私にシビュラシステムの正体を明かしたわけですよ」
元ネタはこちら↓

意外とサイコパス水曜どうでしょうは親和性があって、もしかしたら各話で水曜どうでしょうネタに変換できる部分があるんじゃないかというくらい思いつくw
この前のラジオドラマ(佐々山回)なんか、モロに「宜野座さんリバース」だったしw

そして思わずやっつけで作ったよねwww

狡噛さんの暴走とギノさんの消耗によって機能不全を起こしかけている刑事課一係には、新たな統率者が捜査の主導権を握らない限り、槙島の追跡は不可能。
朱もまた、余計な葛藤にとらわれ、本来の潜在能力を発揮できていなかった。状況に対する理解不足が朱の判断力を鈍らせていた。
…まぁ、早い話が、狡噛さんを頼りすぎてたのと、ギノさんに遠慮していたことで、朱は潜在能力を発揮できてなかった…と。
そこでシビュラは朱に秘密を開示し、真相を教えることで朱にモチベーションを与えることにした。

朱もシビュラも、狡噛さんが槙島を裁く=殺すことを否定している。
感情論による無益な犠牲を避けようとしている点で、朱との価値観は共通している…とシビュラ。
しかし朱は「私は槙島の罪が正しく裁かれるべきだと思っているだけ」と返し、シビュラに、法を犯した前科があるのならそれに見合った償いをすべきとと言うが、シビュラは「社会に対する自分たちの貢献はその償いとはしては充分に過ぎる」と答える。
それに対し、朱は「都合がいいのね」と吐き捨てる。
…まぁ、ある意味、脳だけで生かされてこき使われるという懲役だからな…。とはいえ、その懲役が「世界の支配者」というものどうかだが。


Bパート、いきなり朱の\重妄想!/から始まった…w

コミカライズの1話であった、就職先決定のシーンから、2話の縢との会話シーン。
様々な職種に適性が出て、どれを選べばいいか分からず悩んだ朱に、「人生を悩むことができた」と言う縢。それに対して朱は「それを悩むことができるって、本当はとても幸せなことじゃないか」と答える。
なんという超ロングパス回収…。梅ちゃん先生か!w(梅ちゃんも第1週の智司のセリフを最終回で回収した)
…あぁ! 2話で縢が「もう1回訊く」って言ったの、コレのためだったのか!!
そしてさ、2話と見比べると、朱がちゃんと答えを出したからか、縢が笑ってんだよね。

そして11話で槙島に対して答えられなかったことにも、朱は答えを出す。
「そもそも何をもって犯罪と定義するのか? ドミネーター=シビュラが決めるのか?」という問いに、「それがそもそもの間違いだった」と答える朱。
きっと大切だったのは、善か悪かの結論じゃない。それを自分で抱え、悩み、引き受けることだったと思う…と。
…ん? 待てよ。なんかさ、まるでこれ、狡噛さんそのものじゃないか?
善悪の判断はまだあるにせよ、彼自身は善悪の結論より、槙島を殺すことでシビュラじゃ槙島を裁けない矛盾も、それで自分自身が人殺しになって裁かれることも、全部引き受けちゃおうとしてる…よな。
…あぁ、そうか。狡噛さんと朱という、似たような境遇で、似たような考え方をしたふたりが、まったく別の結論を出す…とは思ってたけど、狡噛さんは、朱よりもずっと先にとっくに「善か悪かの結論じゃない。それを自分で抱え、悩み、引き受けること」というところまでは同じ考えだったのか。
そしてやっぱり、朱とは違う結論に至った…と。
やっぱり面白いわぁ…。狡噛さんと朱と槙島の対比って。
そして「シビュラの神託のままに生きる人間たちに、果たして価値はあるのか」という問いに、「ないわけがない。槙島の知らなかった誰かの幸せを、槙島の価値基準で決めていいわけがない」と朱は叫ぶ。

過去、答えられなかったことに対して答えを出した朱に、最後にゆきが問う。
すべて誰か(シビュラ)に任せっぱなしで、何が大事なことなど考えなかった自分でも幸せっだったと思うか…と。
朱は答える。
「幸せになれたよ…。それを探すことは、いつだってできた。生きてさえいれば、誰だって…」と。
それを聞き、ゆきは微笑んで消えた…。
自分で考え、悩み、引き受けること。
ここでは「幸せ」はそうやって探す…と表現されてるけど、要するに今回のサブタイ「正義の在処」ってこのことか。
正義はシビュラが決めるんじゃない。自分が決める。
それが朱の出した結論か。
…おぉ、似たくさい3人が別々の正義を持って対立する構図ができあがってるんだけど、狡噛さんも朱も槙島も「自分の正義は自分で決める」という点ではバッチリ一致した。

そして現実に戻ってきたw朱はギノさんから殺人事件の報を受ける。
現場からは狡噛さんの指紋が出てきた…ってことは、管巻博士の死体か。
そこで朱はシビュラに取引を持ちかける。
槙島を生きたまま捕らえて連行したら、狡噛さんの命を保証しろ…と。そうしなければシビュラの手駒にはならない…と。
理論的に等価性の成立しない提案…と、はねのけるシビュラに、そんなことはどうでもいい、狡噛さんが助からないなら槙島は見殺しにする。場合によっては自分が殺す…と脅す。
加えて朱は、この条件が飲めないなら自分を殺して別の手駒を探せばいいとまで言い、シビュラにその条件を飲ませる。
…朱ニキさん、さすがっす。
しかし、槙島が無事確保された場合に限り、狡噛さんに特例措置を講じるというこの約束、シビュラさん裏切りそうで嫌…。

案の定、被害者は管巻博士。
家捜しした痕跡の中に狡噛さんの指紋が出たが、何故出てきたのかが分からないギノさん。
朱は殺された管巻の首の傷から、犯人は槙島と推測。
しかも、管巻が槙島の次の計画に関与していて、それを突き止めた狡噛さんが駆けつけたが一歩遅かった…というところまで超推理。
それを聞いたギノさんは、狡噛さんのほうが先に槙島を追い詰めている…と再確認。最初から狡噛さんが殺しをするわけがないと思ってたのね。

淡々と現場を見て推理していく朱に狡噛さんが重なるギノさん…って、ついにギノさんまで\重妄想!/で狡噛さんを召喚できるようにwww
狡噛さんが望まない展開…それは、槙島を取り逃がすこと。槙島を仕留める前に朱たちに見つかること。
もし、狡噛さんが管巻の死体を見つかりにくい場所に隠していたら、管巻は行方不明のまま朱たちは見当違いの捜査をさせられていた。
時間稼ぎにはそれが一番だったはず…なのに、狡噛さんはそうしなかった。
万が一、自分が失敗した時、他の誰か…つまり朱たちが槙島を止められるように手がかりだけは残していった…。そう朱は考えた。
朱ニキさん、マジで狡噛さん2号になっとるがな…
そしてギノさんがヒロインポジに…。
狡噛さんの手がかりに朱たちはいつ気づくか…。
自分たちは試されている…。槙島を追うために、狡噛さんと同じかそれ以上の執念を持っているかどうかを。

朱が鑑識ドローンに遺体をスキャンさせると、気道内部から金属反応が出る。
検死に任せろ…と言うとっつぁんの静止を振り切り、朱は遺体の喉に手を突っ込み、狡噛さんが残した音声データを発見する。
朱ニキさん…テラ男前。

案の定、音声データは狡噛さんのもので、朱たちに向けられたものだった。
管巻が殺害された理由。そして槙島の目的を語る狡噛さん。
そしてその頃、槙島は目的を果たすべく北陸の地に、狡噛さんはその後を追っていた。

槙島の計画=バイオテロを阻止し、狡噛さんが槙島を殺すのを止めるため、朱たちもふたりの後を追う。
ついに、ラストバトルの幕が開く…。


でもってな、もう時間帯的には関東と東海では放送されちゃってるんだが、先行組の21話バレを聞いて、ネタバレOK人生で初めて、「心底このネタバレを聞くんじゃなかった…」とヘコんだわ…orz
展開的な意味よりも、「これはネタバレなしで本放送でちゃんと見たかった!!」という意味合いで…。
そんなわけで私は心に決めた…。
最終回のネタバレは見ないぞ、聞かないぞ! …と。


PSYCHO‐PASS サイコパス OFFICIAL PROFILING

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