劇場版 PSYCHO-PASS PROVIDENCE(ネタバレあり)

※ バリバリにネタバレしていますので、ネタバレNGの方は回避でお願い致します。ネタバレOKになった頃に改めて読みに来てくださると、それはそれで嬉しいです。

 

常守朱という装置

 

 

2期の頃のツイートで、私はこんなことを言っていたのだけど、いよいよもってその呪いが朱ちゃんの身を焼く日が来るとは思わなんだ。

 

今回の映画は、3期の前にあった出来事=朱ちゃんが何をやらかして拘束されている身になったのか…という話なんだけど、3期の時点で朱ちゃんが「局長を公衆の面前で殺したことで拘束されている」というのは分かってたけど、まさかドキッパリ自分の意志で殺ったとは…。

 

そうなのだよ、常守朱が自らの意思で法を犯したのだよ!!

まさか…まさかそんなことがあるなんて…私ゃ夢にも思ってなかったよ。

マジか…マジかよ、常守朱!!

アンタ、何やってんの!!

 

…しかし、そうしなければならなかった。

常守朱は法を犯してまで護らなければいけないものがあった

もはや、残された方法はそれしかなかった。少なくとも、その時点では。

 

だがよぉ…朱ニキさんよぉ…アンタのやったことは、正直、テロだぜ。

自分の主張を通すためにテロに訴えるというのは、これまでアンタが否定してきたことじゃないか。

 

今回、朱ちゃんのこの行動が、「もはやそうするしかなかった」ということを理解できるんだけど、ものすごく残念すぎる行動なのよ。

 

そして、だからこの映画で、常守朱PSYCHO-PASSという物語の主人公から降りたのだと、改めて突きつけられた。

 

3期で主人公は慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフにバトンタッチし、常守朱は脇役へと移った…が、PSYCHO-PASSの物語を彼女が動かすことはもうなくとも、常守朱はシビュラシステムとあらゆる意味で共にあり続けるのだろうと。

 

先に映画を見たフォロイーさんがこんなことを仰ってまして、激しく同意しかございませんでした。

 

3期でラウンドロビン、今回の映画でジェネラルというAIが出てきたけど、まぁよく考えたら、あの世界でAIがシビュラひとつなわけがないのですよね。

現にシビュラが採用されるまでに、各省庁でAIの主導権争いがあったわけだし*1

そして3期でも今回の映画でも、シビュラはライバル(?)AIを飲み込んでアップデートを図ってるわけだし。

常守朱が自らの信念を貫くために、己の正しさを常に証明し続けなければいけないように、シビュラシステムも「万能の存在」であることを自ら証明し続けなければならないのって、本当にご苦労さまだねぇ…と。

ただ、そこには朱ちゃんや美佳のように「オメェ、ちょっと傲慢すぎやしねぇか?」と再考や新しい発見を促す存在がいるからこそ、デバッグやアップデートが行えてるという気もする。

 

人間にはシビュラシステムが必要だけど、シビュラシステムにも人間が必要なのだな。

 

朱ちゃんの言う、「システムと人は共存関係でなければならない」って、あの世界でも、今現在のこの世界でも、本当にそれが重要だと感じたわ。

 

今回、「シビュラが善悪や正しいことを決めてくれるから法律なんていらないよね」っていう議論になってて、「そんなわけない。法律は必要」という朱ちゃんが、もはやそうせざるを得ない状況になって法を犯すことでかろうじて法律を存続させるんだけど、怖いことに、今現在のこの世の中も、ChatGPTだのAIが急速に発達してきてて、いずれある程度のことはAIに委ねていく世の中になるのかもしれない予感もあって、ホント、PSYCHO-PASSの恐ろしいところって、「今現在の我々が生きるこの世界が、もしかしたら進むかもしれない未来の可能性」をことごとく描いてくるところなのよね。

ウクライナ侵攻で世界規模の紛争が身近になり、AIが急速に発達し、少子高齢化による労働力不足で移民を受け入れるか否かという問題が出てきたり、虚淵玄冲方丁深見真預言者が何かか? と思いたくなるくらい、今現在の我々が生きるこの世界が進んでしまうかもしれない未来をギリギリのところで突いてくるSF…それがPSYCHO-PASS

 

今回、朱ちゃんがいよいよ罪を犯してしまったことで、狡噛さんと朱ちゃんはようやく同じところに立つことになったんだけど、なんかこう…ようやく「同志」になれたのかな…って。

ギノさんも「二度と姿を見せるな」って言って別れた狡噛さんが目の前に現れてキレてはいたけど、戻ってきた理由が「自分のためじゃなく、誰かのために働きたい」という狡噛さんに彼の成長を見て和解したし。

それよりも何よりも、狡噛・宜野座は「常守朱に【正義】を背負わせた」負い目があるんで、「彼女のために働きたい」という贖罪めいたところがあるのよな。特に宜野座ゴリラパイセンは。

あと実は美佳もシビュラの真実を知る者同士として、清濁併せ呑んでしまった自分ではできないことを朱パイセンに託しているところがあるし、狡噛・宜野座・美佳はそれぞれに常守朱に対するクソデカ感情がすごいよね…うん。特にギノさん、アンタのクソデカ感情が現在のところ「壊れるほどに愛しても1/3も伝わらない」くらいのクソデカ感情で優勝

 

狡噛さんは今回から外務省所属だけど、今回の事件を経て、宜野座ゴリラパイセンと須郷さんが外務省に移ったのも、いよいよ朱ちゃんの守るべき正義の範囲というか、信念を貫くためのフィールドというかが、公安局の中だけでは収まらなくなったのと、狡噛さんはもとより、「宜野座ゴリラパイセンと須郷さんの正しい使い方」をするには、公安局じゃなく外務省のほうが最も彼らの能力を遺憾なく発揮できるから…なのだろうな。

宜野座ゴリラパイセンも須郷さんも、もう刑事じゃなくて戦闘のエキスパートすぎるんだよ…。須郷さんは元軍人だから当たり前だけど、宜野座ゴリラパイセン…あなた進化しすぎです。そのうち義手がサイコガンになっても驚かないぞ…(コブラ~リ~ビ~ミ~ブゥ~)。

 

あと、事件が終わって狡噛さんが罪を償っている最中で朱ちゃんがやらかすわけですが、1期の時とは逆に朱ちゃんが手紙で狡噛さんに心の内を伝えるというリフレイン!!

てか、君たち、人殺す前に手紙書く決まりでもあるの!?

 

でもって、今回のギノさんの髪がロングすぎてお団子なんですが、3期ではポニテだったので、1回は切ってるってことか。

(フレデリカを助けたあとで髪がほどけてるシーンで「落ち武者じゃん、ギノさん」と心の中でつぶやいたのは内緒だ)

 

あと、須郷さんも大活躍だったよね!

凄腕パイロットの面目躍如ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!

てか、今回の映画さぁ、アクション、メカ、雑多な多国籍都市、高速空中戦って、I.G.のロマンが詰まりすぎてて、震えた!!

あと、個人的にはというか秋田県民的には、仕上げやデジタル作画修正で、つむぎ秋田アニメLabが参加してたのが嬉しかった。秋田でPSYCHO-PASSの一部が作られていたのか! と。

 

今回、3期の前に何があったのかが描かれたことで、灼の親父さんと炯の兄貴の死の真相も描かれたんだけど、「理由があって灼の親父さんは炯の兄貴を殺さざるを得なかった」というのは当たってたけど、灼と炯のまわりが、「全て彼ら(灼・炯・舞子)の幸せためにしたこと」の結果が今回の事件(で起こったこと)で、しかもそれが全部、エゴ、エゴなの!

灼・炯・舞子がこれを知ったら、父・兄・母の死の上に自分たちの幸せがあるということに罪悪感を抱いてもおかしくないくらいのエゴ!

 

灼の親父さんが、免罪体質者である息子をシビュラに取り込ませないためにシビュラと取引をしたというのは3期映画(FI)で明かされてたけど、ミリシア博士がストロンスカヤ文書を作ったのも娘たちの未来のため、甲斐こと煇*2も弟に幸せに生きて欲しいために汚れ仕事を請け負った。

それぞれがそれぞれのエゴのために死んでいって、灼と炯は父と兄の死の真相を探すために監視官になったのが3期で、FIの最後で朱ちゃんが「語った」ことが今回の映画ってことになる…のよね?

どうするよ、灼、炯!? これ4期に続くの!?

でもPSYCHO-PASS部屋なくなったって塩谷言ってたよね?

でも4期やってくれ!

ようやく3期(+FI)で残された謎が解けたんだ、せめてもう1作はやってくれPSYCHO-PASS!!

 

でも、狡噛ゴリラと宜野座ゴリラと須郷ゴリラの外務省行動課ゴリラチームのスピンオフはもっと見たい!!

 

そして来場者特典第2弾が設定集と知り、月末にまた2回目を見に行かないといけないらしいぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

*1:2期参照

*2:変換されないからコピペしたわ