やっぱり後味が悪い。

今回のトニセン舞台の後味の悪さは、ここにも本館にも書いているのだけど、どうもそれを「脚本が悪い」と割り切れないところがあるのは、あの盛り込まれた「不幸」だとか「ドン底」の内容に、自分が多少当てはまりすぎてしまったからなのかもな…と思う。
坂本昌行さん演じる兄貴(良治)が背負った、親の介護や家族を亡くしてひとりになってしまったとかいう部分は(横内謙介の介護に対する偏見というか無知ぶりには眉間にシワが寄りそうになりつつも)自分に重なって切なくなったけど*1涼風真世さん演じるサンゾウ先生が昔レイプされて産んだものの手放してしまった息子が再会したらグレていて母親を激しく憎悪していた…ってくだりでは自分を否定された気がするんだよな。
「片親(もしくは両親ともに不在)=グレる」って決めつけるなと小一時間。
少なくとも、世の片親(もしくは両親とも不在)の子供の大半はまっとうに生きてるよ。「片親(もしくは親がいない)だから○○だ」って言われるのがいちばん悔しいからさ。
あの芝居を見て、横内はフツーに両親がいる家庭で生ぬるく育って、多少の貧乏生活はすれど、なんらあーいう(横内自身が描くところの)「不幸」や「ドン底」は実際に触れたことすらないんだろうなと思う。
それがあの話(つーか横内トニセン芝居脚本)の薄っぺらさなんだろうな…。

*1:てか、泣いた。