PSYCHO-PASS サイコパス2 #11「WHAT COLOR?」

PSYCHO-PASS Sinners of the System

ホントに綺麗に終わった…の巻。
ツイッターの実況および実況後の感想やら考察とか#pp_anime


「散れ、漆黒」と東金をドミネーター撃とうとした鹿矛囲と、鹿矛囲を殺すためにナイフで襲いかかる東金。しかし、「ダメ!」と朱が東金を押さえ、間に入られたことによって鹿矛囲のドミネーターは照準が朱に向いたことでロックがかかる。
揉み合いの末、東金を制圧する朱。…東金弱ッΣ(゚Д゚)!! …いや、朱がメスゴリラなだけだよな、絶対w
東金に手錠をかけ、身動きを取れなくする朱。
「ヤツのせいでお前の祖母は死んだ。何故守る!?」と、朱に対し鹿矛囲に殺意を向けさせようとする東金。しかし朱は「鹿矛囲はおそらく殺害に関与してない」と答える。
「正気か? その男が誘拐させたんだぞ」と尚も朱を煽る東金だが、朱は「確かに彼なら私の家族情報を得られた。でも、それは公安局の人間も同じ」と冷静に分析。
朱の答えに「犯罪者ではなく同僚を疑うのか?」と、朱はサイコパスが濁るのを恐れて鹿矛囲への感情から目をそらしているだけ…と、東金は言い、「憎しみも殺意も消せはしないぞ」と吐き捨てる。
その瞬間、朱の脳裏によぎったのは、槙島に殺された友人・ゆき、縢、征陸のとっつぁん、青柳さん、蓮池、そして葵ばあちゃん――死んでいった人たち。
私は、守らなければいけない大切な命を守れなかった。だけど、法を守ることを絶対諦めちゃいけないんです
1期で出した朱の答え――刑事としての信念。
1期最終回で、「法は人の思い、人の祈り」。だからその「思いや祈り」を無意味にしないために「法を守る」ことを信念として見出した朱。前回、その信念が揺らぎそうになるも、狡噛さん(のスタンド)がその信念を後押しした。
だからもう、東金が何を言おうと、朱は迷わないし揺るがない。
「行きましょう」鹿矛囲を促す朱。「待て!」その背に叫ぶ東金。
「ふざけるな。お前たちに母さんを汚させるものか!」

車両の対比区画では3係と鹿矛囲の仲間たちが交戦中。3係によって倒れていく鹿矛囲の仲間を援護するために水絵がボウガンで3係を襲うが、「そこまでだ酒々井!」とギノにドミネーターを向けられる。ボウガンとドミネーターを同時に撃つ水絵とギノ。しかし、ボウガンはギノの左腕(義手)に当たり負傷させることができず、ドミネーター(パラライザー)も水絵に当たるが、水絵は薬物を使っているために立ち上がってしまう。
「私…まだやれるわ、鹿矛囲!」再びボウガンをギノに向ける水絵。「神経刺激薬か、そうまでして…」水絵が薬物を使っていることに気づくギノ。しかしその瞬間ボウガンがドミネーターを弾く。
だが脇にいた雛河が水絵をドミネーターで狙撃したことでボウガンを取り落とす。「あと少しで鹿矛囲が世界を変えてくれる!」ボロボロになってなお、水絵はまだ鹿矛囲に尽くそうとしていた。

シビュラ本体へと向かう朱と鹿矛囲。「何故、案内する気になった?」と問う鹿矛囲に、朱は「あなたを正しく裁くためよ」と答える。朱の答えに「法の外で処分することもできた」と言う鹿矛囲。しかし朱は「そんな選択肢は存在しない」と言い切る。
「その断定が、あなたをクリアに保っているのが分かりますよ」と鹿矛囲のホロ――人格のひとつである向島は言う。
「君は、シビュラに何を期待しているの?」大津は問う。「シビュラに終わりをもたらすこと?」染水が言う。
人間性を犠牲にした、この理想社会で『正しい裁き』とは何でしょう?」向島は問う。
「俺は、あれが裁かれるのが見たい!」萩野*1が叫ぶ。
それを聞いた朱は「別の可能性もある」と答える。
「あなたも…いえ、あなたたちも気づいてるんでしょう? 望んだ答えが得られるとは限らない。それでも進むの?」
シビュラ本体の元へ行くとはいえ、シビュラが朱の提案を受け入れるとは、そして鹿矛囲の望みが叶えられるとは限らない。それでもこの先へ進むのか…朱は問う。
「僕たちが死んだ理由…死んだまま生きる意味を探して、ここに辿り着いた…」鹿矛囲が口を開く。
「大勢の願いを託されて…」鹿矛囲に向島が重なり、そして語る。
「みんな、癒やしという暴力に苦しんでる」大津は泣く。「救わなきゃいけないんだ」重なる鹿矛囲もまた、涙を流す。
「シビュラに報いを。それ以外に救いはない」そう言い切る染水。「人の怒りが社会をクリアにするのよ…」――果たして語っているのは鹿矛囲なのか、向島や染水たちなのか…。
おそらくは、それぞれの人格。向島・大津・染水・萩野は鹿矛囲の別人格というか、繋ぎ合わされた脳の人格なんだろう。多重人格のように「個」が切り替わるのではなく、シビュラのように知識も感情も共有しながら「鹿矛囲桐斗」を成している…と考えたほうがよさそうだな。
「これはゲームなのさ!」萩野は怒り叫ぶ。「俺たちとシビュラの」鹿矛囲もまた怒りを露わにする。
「違うやり方もあったはず」それを聞いた朱は言う。「社会を恨む人たちの思いばかり背負わずに」
「そんな選択肢は存在しない。もっと早く君と話せていたとしても…」きっとこうなる運命だった…とばかりに鹿矛囲は答える。

「私の実験動物が、こんな騒ぎを起こすとはね」シビュラ本体の入り口の前で待ち構えていた美沙子は、鹿矛囲にドミネーターを向ける。
「まだ答えは出ていない。そうでしょ?」恣意的にドミネーターをいじることで鹿矛囲を殺処分する気だと気づいた朱は、美沙子ではなく『シビュラ』の答えを聞こうとする。
常守朱。あなたの監視官権限はたった今剥奪されたわ」そう告げる美沙子。「ここを出て野垂れ死ぬといい」美沙子はシビュラではなく個人=禾生の権限で朱の監視官権限を奪った。
しかし、朱は動じることなく言う。「それがシビュラの答えか、あの扉の向こう側で聞くわ」
一触即発の美沙子と朱。しかし、そこで鹿矛囲が前に出る。
「僕たちという存在をかけて聞こう。シビュラよ、僕たちの色が見えるか?」鹿矛囲も美沙子にドミネータを向け、問う。

一方、朱たちを追いかけるため、東金は何とか手錠から抜けようとしていた。
「母さんさえいれば、他に何も要らなかった…なのに」回想する東金。
東金は子供の頃――おそらく10歳の時、母・美沙子に突然別れを告げられる。「この社会を司るものとひとつになるの。これはとても素晴らしいことなのよ」免罪体質者である美沙子はシビュラ入りすることに。そのことで東金に別れを告げるも、シビュラ入りすることに歓喜していた。
「あなたもいずれ、同じ場所に導かれるわ」まだ人工的免罪体質者であった東金もまた、美沙子同様にシビュラ入りするだろうことを暗示する美沙子だったが、愛する母と別れたくない東金は「母さんは僕だけのものだ」と美沙子を殺害してしまう。
…あ、あぁ、なるほどね。東金が史上最高値の犯罪係数を叩きだした理由ってそれね。これほど直接的にシビュラを憎めば、そりゃ700も超えるわw
しかし、8話での記録では、美沙子が死んだのは5年前になってるんだが、鹿矛囲の手術(15年前)にも立ち会っていたような描写だし、これはダミー美沙子=義体を使ってた可能性が高いな。小説でも高級官僚の義体にシビュラ脳たちが入って息抜きしているという説明もあったし、美沙子がシビュラと義体を行き来しながら東金財団に都合のいいようにシビュラをコントロールしていたと考えたほうが自然だもんな。
東金は施設に収容され、美沙子は脳を取り出され、シビュラの一員となった。

「そして俺は黒く染まった…」
執行官になり、母に再会した東金は、担当監視官のサイコパスまで意図的に悪化させ執行したことで「何故そんな真似を?」と問われる。
「それが俺の存在理由だからです」と答える東金。「黒いものはより黒く。清いものすら黒く染める。そうすることで母さんは美しく輝き続ける。全ては、あなたへの愛ゆえに」そう言い、子供のように笑う東金。しかし、美沙子は表情を動かさない。
果たしてこの時の局長は美沙子だったのか? 東金が美沙子だと思っただけで、実は中身は他のシビュラメンバーで、そこでちょうど鹿矛囲の手術の件もあって、東金母子を危険視したシビュラ反美沙子派が美沙子を排除するために画策し始めていたとしたら…。
「母さん…」思い出に涙をこぼす東金。
手錠から抜け出すため、万年筆を取り出すと東金は手に突き刺…したと思ったんだけど、どうやらあとの場面のキャプ画像を見ると、手首に傷があるんで、無理やり手錠を壊したみたいだな。
痛みに呻きながらも歪んだ笑みを浮かべる東金。…今回のゲス金ときたら、顔芸素材の宝庫すぎて困るw

鹿矛囲が美沙子に向けたドミネーターは案の定ロックがかかる。「無駄よ」と笑う美沙子はドミネーターを恣意的にエリミネーターへと変化させる。…やっぱりかいw
それを見ても鹿矛囲は動じることなく、問う。「シビュラシステムよ。裁きの神を気取るなら選べる道はひとつだ。お前たちがお前たちでいるために乗り越えねばならない存在が、目の前にいるぞ!」鹿矛囲は叫ぶ。美沙子ではなく、その奥のシビュラシステムに。「裁けるか、僕たちを! 問えるか、僕とお前の色を!」と。
――その瞬間、動きを止めるシビュラ。
「犯罪係数オーバー300。執行モード・リーサル・エリミネーター」鹿矛囲のドミネーターから発せられる音声。そしてエリミネーターへと変形する。「何!?」免罪体質者である自分に対してドミネーターが変形したことに驚く美沙子。
鹿矛囲のドミネーターに表示された美沙子の犯罪係数は325.7。「これがお前の色か、東金美沙子」引き金を引く鹿矛囲。
ドミネーターの光で鹿矛囲のホロが揺らぎ、彼の本来の顔が一瞬露わになる。184人の遺体を移植された継ぎ接ぎの体――そう、「鹿矛囲桐斗」の姿すら、ホロだった
「認めない! こんな…変化を!!」撃たれた美沙子は頭部を爆散させ倒れる。苦々しくそれを見つめる朱。
下顎から上の頭部を失った美沙子…いや、局長の義体の脇をすり抜け、シビュラ本体へを向かう鹿矛囲と朱。

「裁きの時だ」シビュラ本体と対峙する鹿矛囲。そして朱。
鹿矛囲と184人の犠牲者がシビュラにドミネータを向ける。発せられた犯罪係数はオーバー300。エリミネーターへと変化するドミネーター。
「これがお前の色か、シビュラ――」引き金を引こうとする鹿矛囲。しかしその瞬間、シビュラの声が…。
「ようこそ、鹿矛囲桐斗」その声に動きを止める鹿矛囲。
「協議により、私たちは貴方たちを認識することを、決断しました」「また、常守朱の提案通り、集合的サイコパスを成立させます」
ユニットから浮かび上がる数十体の脳たち。
「その上で、私たちの犯罪係数を上昇させる要因を廃棄します」浮かび上がった脳から生命維持装置的なものが外され、黒く濁っていく脳ユニット。その中でバラバラになり溶けていく脳。
…なるほど、集合的サイコパスを成立させ、そして犯罪係数上昇要因であった美沙子と美沙子派であろう脳を排除することでシビュラのクリアさを保ち、かつ鹿矛囲の裁きを成立させたか。…ん? 大体の予想当たっちゃったじゃん!?w
「今、私たちは新たな認識と完全性を獲得しました。これが、私たちの進化の形です」集合的サイコパスの成立によって、シビュラは進化を果たした…んだが、結構な脳を廃棄したけど、大丈夫なのか?
「対象の脅威判定が更新されました――犯罪係数ゼロ」
ロックされる鹿矛囲のドミネーター。これでまたシビュラはドミネーターでは裁けない免罪体質へと戻った。
鹿矛囲の裁きを見届けた朱は「これが答えよ、鹿矛囲桐斗」と、彼の背にドミネーターを向ける。
「あなたを逮捕します」今度は朱が鹿矛囲を裁く――。


一方、3係は犯人たちが立てこもる車内に突入し、最後のひとりを執行。ギノもボロボロの水絵に投降を呼びかける。
「もうよせ」と叫ぶギノに「まだよ…私が鹿矛囲の道になる」と、3係が設置した爆弾のボタンを押そうとする水絵。そこで物陰から水絵を狙う強襲型ドミネーター…こ、これは!!
強襲型ドミネーターに撃たれ、倒れる水絵。誰が撃ったとギノと雛河がその方向を見ると、そこにいたのは…す、須郷さん!!
須郷さん…待ってた、須郷さん! 超待ってた!!
「遅くなりました」姿を見せた須郷さんに「全くだ」と安堵の息をつくギノ。
「今回は間に合ったな」と、須郷の仕事を褒めるギノに「はい」と頷く須郷さん。そんな須郷さんを見て微笑むギノ…あぁ、やっと2人のわだかまりが解けたか。そして須郷さんもやっと1係メンバーになったんだな。
「大丈夫、生きてる」雛河が水絵の無事を確認。「お前の後輩を取り戻したぞ、青柳」穏やかな顔で意識を失っている水絵を見て、ギノは今は亡き青柳さんに報告する。
…てか、よかった。須郷さんもだけど、青柳さんの存在が忘れられてなくてよかった。彼女が自身の正義と信念を貫いた果てに命を落としたことは、朱もギノも知るよしがなく、我々視聴者しか知らないんだけど、それでも朱やギノが彼女の死に報いるべく自分の務めを果たそうとしてたことが、この最終回で描かれてよかった。
そして劇場版に登場することは分かっているのに一向に復帰しない須郷さんは、もう劇場版まで出てこないで終わるんじゃないかと思ってたけど、ここで復帰してよかったε-(´∀`*)ホッ
6話で、ちょっとだけわだかまりは解消してたけど、和解という意味では今回がそうだろうし、青柳さんを死なせてしまったという自責の念にかられている須郷さん自身が前に進むためには、このエピソードは必要だったな…と。
あと劇場版予告を見て、2期は雛河と須郷さんの顔見世と、強襲型ドミネーターの登場が必要だったってことが分かったので、ホントに上手くこのふたり(と強襲型ドミネーター)を活躍させるエピソードを作ったなぁ…と感服してるわ。

手錠を壊した東金は、朱と鹿矛囲の後を追い、その途中で美佳を呼び出す。…あ、親指プランプランしてるから、手錠に引っかかる親指の付け根部分を切るか折るかしたのか。
そしてシビュラ本体の入り口までたどり着いた東金が目にしたものは…頭部を飛び散らせた局長の義体=美沙子。
「母…さん」再び愛する母を失い、絶望の叫びを上げる東金。
一方、東金に脅され続ける美佳は「このままじゃないけない。全てアイツが悪いんだ」と、自身のサイコパスのために東金を排除することを決意する。
局長の命令で別任務に向かうと嘘をつき、現場を離れる美佳。しかし、弥生は美佳の行動に何かあると気づく。

ドミネーターから発せられた鹿矛囲の犯罪係数は400。エリミネーターへと変化する朱のドミネーター。
「僕は今、何色かな?」朱に問う鹿矛囲。そしてシビュラは朱に速やかな執行を求める。しかし朱は撃とうとせず、鹿矛囲に投降を呼びかける。
「感じるよ…。あれの中にも自分の色を取り戻せて喜んでる者たちがいる」そう語る鹿矛囲。そして「君こそ、何故シビュラにドミネーターを向けない」と朱に問う。
「集合的であるならば、ドミネーターを向ける者もまた、その一部になる。別の誰かが向ければあれは違う色になるかもしれない」
朱は気づく。鹿矛囲の真意に――。
「シビュラはもう後戻りはできない」鹿矛囲はなおも語る。「いつか本当の裁き手が現れた時、あそこにいる脳が最後のひとつになっても、犯罪係数は下がらないままかもしれない」
「まさか…最初からそのつもりで」朱は気づいてしまった。シビュラは全能者のパラドクスを解決するために集合的サイコパスを成立させた。それはシビュラ自身の集合的サイコパスを濁らせる要素を排除していくこと。そしてそれをし続けることでシビュラを構成する脳は減り続け、いずれシビュラはシステム=自身を維持できなくなる可能性がある――鹿矛囲の真意はそこにあった。
「もしかすると、その裁き手は、今、僕の目の前にいる人かもしれない」朱こそが真にシビュラを裁ける存在であることを、鹿矛囲は見出していた。もしかすると、それは最初から…。
「やめて…私はあなたじゃない。誰彼構わず人の願いを受け入れたりしない」否定する朱。
「せめて、血を流さない道を選んでいれば!」鹿矛囲と自分は分かりあえたかもしれない…。しかし朱にはもう鹿矛囲を裁くしか道は残されていない。
「そんな選択肢は、存在しないんだ」しかし、鹿矛囲たちは答える。こうするしかなかった…と。
その瞬間、「そこから出ろ、冒涜者ども!」と東金が現れる。

立ちふさがる朱に、東金は自分が葵ばあちゃんの殺害したと暴露する。朱は憎しみを募らせ、犯罪係数が80まで上昇。朱が濁り始めたことに笑う東金。
しかし、その瞬間「別の可能性もある。君も気づいているだろう」と鹿矛囲は朱に語りかける。
君が願う法の精神。もしそれが社会という存在に等しく正義の天秤となるなら、いつかその精神こそが、あそこにいる怪物を本当の神様に変えるかもしれない
その言葉に、自分を取り戻す朱。
それは朱が賭けた可能性。朱が願う未来――社会の形。そして、鹿矛囲が選ばなかった道。
「あり得ない」今まで黒く染められなかった人間はいなかったのに、朱の犯罪係数が下がり始めたことに動揺する東金。
「お前などが、母さんより清らかなものか!!」
おそらく、東金は気づいていたのかもしれない。免罪体質者ではあるが故に美沙子は数々の罪を犯していたことに。母を殺したことで「罪の概念」を持つに至ったが故に、東金は母・美沙子の犯罪を許容できなかった。しかし、母への愛が勝った東金は、ならば周囲の人間の犯罪係数を上げることで母の罪を薄めようとしたのかもしれない。そして母に敵対するものを排除することでしか、母の愛を得られなかった(得られたと感じられなかった)、そんな哀れな子供。
そして、母を奪ったシビュラを憎みながらも、シビュラとなった母を愛するしかないパラドクスに陥っていた、そんな哀れな子供。
…でもね、41歳という、いい年こいたオッサンになってもそれっていうのは、ドン引きですよ、ゲス金さん。
朱を突き飛ばし、東金にドミネーターを向ける鹿矛囲。

互いにエリミネーターを撃ちあう東金と鹿矛囲。エリミネーターが命中した鹿矛囲は朱に笑みを見せ、そしてその身を爆散させる。
やっぱり2期も鹿矛囲のひとり勝ちかい!!
サイコパス名物の「同じことを繰り返す理論」だと、1期で槙島が目的を果たして満足して死んでいったように、2期も鹿矛囲が目的果たして満足に死んでいくENDじゃないかと思ったら、やっぱりかい!!
てか、朱ちゃんってもうこのパターンがお約束なの!?
1期最終回の時にも、「朱ちゃんは欲張りすぎて目的を達成できないタイプ」って言ったんだけど、今回もまさにそのパターンやな。
…いや、厳密にはシビュラに集合的サイコパスを認めさせることによって鹿矛囲の犯罪係数を計測することができた=裁く寸前までは行けたけど、「エリミネーターによる執行」を避けたがために、結局は鹿矛囲に勝ち逃げされてんのよ、朱ちゃんさん。
小説版では朱ちゃんエリミネーターで執行している描写はあるんだけど、アニメ本編では一貫して朱本人はエリミネーターによる執行はしてないのよね。それは「人を殺すこと」を厭っているんじゃなくて、あくまでも「(シビュラによる)死刑回避の選択」なんだよね。朱の正義と信念が明確になっている2期は特に。
とはいえ、朱が死刑制度を否定しているかというと、そこはどうかな…っていう気もする。あくまでも1期終盤(狡噛さん脱走)以降の朱が否定しているのは「犯罪係数300以上は死刑」というシビュラの法制度を否定しているのであって、死刑という制度自体はまだ否定してない気がするんだよね。ただ、今後の社会の変化によって、朱が死刑制度を否定する可能性は充分にあるとは思う。
鹿矛囲が散り逝くさまを唖然と見つめるしかできない朱。
「何故だ…何故染まらない!?」鹿矛囲のエリミネーターは東金の腕をかすめただけだったが、それでも右腕1本を持って行くことはできた。
「東金朔夜。反逆行為、並びに常守葵の殺害容疑で、あなたを逮捕します」東金に告げる朱。
しかし、東金は朱ではないものを見て震えていた。――シビュラシステム。その本体を見て悲鳴を上げ、逃亡する東金。
だが、朱は追いかけなかった。

そんな朱にシビュラは語りかける。「あなたの提案により、私たちの中で議論され続けてきた問題が解決を迎えたのは、喜ばしいことです」
…あぁ、やはりシビュラ自体も美沙子と美沙子派を排除するためにはどうしたらいいかって思ってたわけか。なんかそう思うと、鹿矛囲が事件を起こしたこと自体が、シビュラの手のひらの上で転がされてたようにすら思えるな。
島風に言うなれば、偶然ではなく「必然」で起こった事象…ってことか。どこまでが「偶然」で、どこからが「必然」として仕組まれていたのか…。はたまた最初からシビュラが必然の事象として導いていたのか…。
少なくとも我々に分かるのは、朱を使ってシビュラを脅かす鹿矛囲を排除しようとした東金母子が、逆に朱と鹿矛囲を使ったシビュラから排除された…ってことだけだわな。
2期は「全てがシビュラの手のひらの上で転がされている感」が複雑かつ緻密だったし、1期以上に際立ってたよな。皮肉と絡めて。
「ただし、今の処理能力では、まだ社会全体の集合的サイコパスは成立し得ない。その日のために今後も社会に貢献し、健やかに生きることを推奨します」シビュラの真実を知る者として、そしてシビュラの観察対象として、朱にはまだその価値がある…とシビュラは判断した。
それに何も答えることなく、シビュラ本体から去る朱。

ついに倒れた東金は、美佳がやってきたことに気づく。美佳にドミネーターを向けられた東金。その犯罪係数は899。
「何がシビュラの子よ…真っ黒」美佳が呟くと、東金もまた「母さん…」と呟く。
「あなたも俺も、結局はシビュラの奴隷でしたね…」
シビュラである母に従い、尽くした自分も、そしてそのシビュラから排除された母も、結局は要らなくなれば捨てられる存在であった…と気づいた東金。
1話でさぁ、東金が喜汰沢に「お前は部品なんかじゃない。社会が強制しても抗う心がある限り、ひとりの人間だ」って説いたんだけど、それって彼の本心だったんじゃないか…って気がしてきたんだよね。
東金は自身が母、ひいてはシビュラに利用されていることとか色々と気づいてたのに、「母への愛」しか拠り所がなかったがために全てに目をつぶってしまって、自立できなかったんだろうな。
1期が狡噛・槙島・朱という、似たもの同士でありながら相克する3人組の対比だったけど、2期は朱・鹿矛囲・東金・美佳という、似たもの同士でありながら相克する4人組の複雑な対比だったな…と。
自立という面では朱と東金は立派な対比になっていたんだな。狡噛さんを拠り所にしながらも刑事として自立していった朱と、母しか拠り所がなかったがために自立できなかった東金…と。
そして、朱や東金と対立しながらも結局は東金と似たもの同士だった美佳の選択は…。
「あなたに従った自分が許せない。こうしなきゃ、私がクリアじゃなくなるの」東金を始末することを決意した美佳。
その呟きに、東金は力なく笑う。
この娘が、新しい奴隷というわけですか
シビュラの真実を知りながら、シビュラを否定せず、そして自らをクリアに保つためには手段を選ばない。まるで東金と鏡写しのような存在である美佳に東金は言う。「せいぜいシビュラを美しく保つためだけに、生きて…」
「私を濁らせる人間なんて、消えればいい…!」引き金を引こうとする美佳。しかし、その瞬間、ドミネーターにロックがかかる。
東金は絶命していた。
「私、ここから先へは進みません」それは文字通り、先へ進んでシビュラの本体を見ることなのか。それとも、自分をクリアに保つために人を殺すことすら厭わないと思う心か…。
引き金を引こうとしたタイミングで東金が絶命したことで、美佳は自分をクリアに保つために人を殺さずに済んだ…と考えるなら、後者だろうな。すでにシビュラの真実を知っているから、別に今更美佳はシビュラの本体を見る必要もないだろうし。
「秘密は守ります。いえ、全部忘れます! 何も知りません!」シビュラに向かって叫ぶ美佳。
「私、シビュラを信じます。私、この社会が大好きですから!!」泣きながら叫ぶ美佳。
美佳はもう、自分が後戻りできないところに来てしまったのを知ったよね。シビュラの真実を知ってしまったことで、シビュラに嫌悪感は抱けない。自分がしてしまったことへの後悔や罪悪感はあるにせよ、それに潰されてはいけない。
東金を殺すことでその罪悪感から逃れようとしたけど、今回は東金が殺す前に死んでくれたおかげで、新たな罪悪感に苛まれずに済んだ。
しかし、美佳はこの先、シビュラへの服従と己の正義や罪悪感との葛藤をし続けなくてはいけなくなったわけだ。
ちなみに私はウッカリ劇場版のバレを見てしまったわけだけど、どうやら劇場版でも美佳はこの美佳のままらしくて、そう考えると2期は「霜月美佳の物語」でもあったんだなぁ…と。
おそらく、劇場版を見た時に「いかにして霜月美佳はあぁいうキャラになったのか」という話を描いたのが2期になるんじゃなかろうかと。
美佳が朱と対極する位置に至った理由がこの2期にある。そう考えたら、まぁ…2期におけるこの美佳の描かれ方はしょうがないというか、こう描くしかなかったんだろうなあ…。朱との対比に加えて東金とも対比するキャラクター=美佳だから、これはもうどうしょうもなく嫌悪されるキャラにしかならないというか。
ただやっぱり、読み取り方を気をつけないと美佳というキャラは朱ageの道具としてしか見えてこないのが難点だわな。

地上に上がった朱は、監視官権限が剥奪されたという通達を受けた3係によって捕縛されそうになるが、ギノと雛河が監視官権限が戻っていることを伝える。
「私は今、何色ですか?」朱は問う。
その意味を受け取ったギノは朱にドミネーターを向ける。ロックがかかるドミネーター。
「綺麗なもんだ」朱に伝えるギノ。
そして朱は美佳から、東金が執行前に死亡したという報告を受ける。

雑賀先生は分析官を辞し、施設へ戻ることに。
先生のサイコパスは回復傾向にあり、戻る必要はないという朱に、回復の理由は分かっていると言う先生。
「依存するのは性に合わないんでね」東金に指摘されたことで朱に依存していることを自覚した先生は、あえて施設に戻ることで朱との距離を保とうとしたのだった。
「また来ます」と部屋に入っていく先生の背に言う朱。「楽しみしてるよ」先生は振り向くことはなかったが、拒絶はしなかった。
「触れたらサイコパスが濁る男、か…。いないとなると、ちょっと惜しい気もするのよね」そして先生が去った分析室では、志恩さんがその存在を惜しんでいた。
志恩さんと先生って、なかなかいいコンビだったと思うんだ…確かに惜しいです。同感です、志恩さん!!

一方、弥生の部屋を訪れた美佳は、桑島の証言から葵ばあちゃんの情報を流したのは東金だと判明したと告げられる。
「しかし、彼がどうやって情報を手に入れたかは今となっては分からない」と言う弥生に、「残念です」とシラを切る美佳。
そんな美佳に「誰であれ、許す気はないわ」とキッパリと告げる弥生。
「…同感です」カマをかけられていると美佳は気づくが、それでもシラを切るしかない。
ここで弥生がシャツのボタンを外してて、美佳も上着を脱いでて、「ん?」と思ったんだけど、ベッドらしきものに上着が無造作に置いてあったりすることから、もしかしなくても弥生さん、美佳を食っちゃったんですねw
おそらく弥生は、美佳が自分に対して好意を持っていることを知っていて、それを利用したんだろうね。
5話のように、自分に対しては本音を言うはずの美佳がシラを切ったのは弥生の誤算かもしれないけど、それでも「弥生に嫌われたくない」という美佳の気持ちを利用して、朱と美佳の微妙なパワーバランスを保つ(美佳のほうには傾けさせない)役割を担おうとしてるのかも…というよりは、弥生は彼女の居場所である「1係」を守ろうとしている…と言ったほうがいいのかもな。少なくとも美佳の存在は1係を危うくする存在なんだけど、執行官である弥生は監視官には反逆できない。でも、死んだ佐々山や征陸のとっつぁんに縢、そして逃亡した狡噛さんから受け継いだ「1係」を壊そうとする美佳に対する精一杯の反逆行為が彼女の気持ちを利用すること…と。
「優れた観察者」である弥生が、あえて自らの立ち位置を踏み越えたぐらいだから、弥生は相当、美佳の存在を危険視してる気がする。

そして局長=新体制となったシビュラのもとを訪れる朱。
今回の件でシステムに多くの空席が生まれ、そのことで朱をシステムに迎え入れてはどうかという案が出ているという。「変革を望むなら内側から試みてはどうだ」そう説く局長=シビュラ。
しかし朱は「そこまで私に興味はないくせに…挑発?」と意に介さない。
「断る…ということかね?」と問う局長=シビュラに、「今は、ね」と答える朱。
あなたたち自身が廃棄を選択する時が来たら、一緒に地獄に行ってあげる
朱はシビュラに抗いながら、シビュラと運命を共にする覚悟を決めた。
しかし、1期で予想して外れた「朱がシビュラ入りして、まどかのごとくシビュラの概念となる」というのが今ここで復活するとは…。
おそらく、美佳という「シビュラにとって退屈なほど模範的な市民」が出てきたことで、もはやシビュラにとって朱はイレギュラーな存在なんだよね。そして朱もそれを自覚している。
「今は、ね」とあくまでも現段階でのシビュラ入りを断っているけど、「一緒に地獄に行く」という覚悟もしているあたり、もしこの先、自分がシビュラに入ることでしか変革を望めないのなら、朱はシビュラ入りすることも考えるのかもしれない…無論、最後の手段として。
「集合的サイコパス…」局長=シビュラは語る。
遠くない将来、集団が基準となる社会が訪れる。個人としてクリアでも、集団としてはクリアでない可能性。その疑心暗鬼が混乱を招き、かつてない魔女狩り社会が訪れ、その結果、裁きは大量虐殺へと変貌を遂げるかもしれない。
「その扉を開いたのは、君だ」皮肉を浮かべて笑う局長=シビュラ。
…なぁ、あんまり考えたくないんだけどさぁ。今回、あまりにもシビュラが朱寄りで、まさかアイツがシビュラの中に入ってるんじゃねぇか…とか疑っちゃうんだけど?
あのさ…。鹿矛囲で脳の多体移植=脳を繋ぎ合わせるっていう技術があることが判明しちゃったわけよね。とするとさ、狡噛さんに脳天撃たれて損傷したはずの槙島の脳が、他の免罪体質者(例えば藤間とか)の脳と繋ぎ合わされて「ひとつの脳」としてあのユニットに入れられてる可能性も否めないよねぇ?
今回さぁ、あまりにも朱寄りなのと、もしも槙島がシビュラに入っていたら取りそうな行動――美沙子の排除とか集団的サイコパスの認知とかが行われてて、それこそ美沙子の企みが出てきたあたりで「槙島がシビュラに入ってたら朱の味方をしてくれそうなのに…!」って願ったことが起きちゃったわけよ。
そして朱を「変革するならシビュラの内側からやってみろ」と挑発したり、集合的サイコパスで社会が変貌することによってもたらされるかもしれない危険性を皮肉るとか、なんかこう…槙島を彷彿とさせるんだけど、穿ちすぎでしょうかねぇ?
逆に今の段階では穿ちすぎてても、もし3期をやるとしたらロングパス要件にはなるかもしれないよね。「実はシビュラに槙島がいた。さぁどうする朱に狡噛!?」みたいな感じの。
…いや、むしろ3期以降を続けるなら、いっそのこと集合的サイコパスが浸透した次世代の話にするべきだと思うけどね。
例の試写会での発言*2がどこまでがジョークでどこからが本気なのかは推し量れないけど、サイコパスという作品が本来ターゲットとしたサイバーパンク好きの男性をファン層に取り込めなかったことに悔いているのなら、3期でキャラを一新することで作りなおせばいいんじゃねぇの? と思わないこともなくてな。
まぁ、それでなくてもサイコパスをサーガ化して続けていくのであれば、いずれキャラの世代交代は行わなければいけないし、何よりも「常守朱が主人公の刑事ドラマ」という縛りであれば、朱が監視官でいられる10年間の話しかやれないから、そこでサイコパスという物語を終わらせるもよし、朱の次の世代へ繋げていくのもよし、あとは「どこまで続けるか」という見極めを制作側がやればいいだけの話ではあるがね。
ただ、フジは続編をダラダラと作り続けることでそのコンテンツを殺してしまうことに定評がある*3ので、そこら辺は要注意かな…。
個人的には来たる劇場版で(本編としては)締めてもいい気がするけど、いかんせん夏に謎のイベントがあることで、3期や劇場版2が来る可能性は結構高い気がするんだよねぇ…。
…って締めに入りかけてたわ。本編に戻ろう。
「私はそこまで悲観しない。訪れるのは、正しい法と秩序。平和と自由かもしれない」そう言って踵を返す朱。
「君らしい楽観だ」とその背に返す局長=シビュラ。「楽観だろうと、選ばなければ実現しない」朱は立ち止まる。
社会が人の未来を選ぶんじゃないわ。人が社会の未来を選ぶの。私は、そう信じてる」
それが、今回の事件を通して出した、朱の答えだった。
…てか、それ、選挙前に言って欲しかったわぁ…
今の有権者ってそうじゃない? 社会(政治家)が選ぶ未来に希望が持てないから選挙してもムダ…みたいに思って、棄権や白票を投じることで政治不信を表明するとかバカなこと言う奴までいるじゃん。あくまでも社会の未来を選ぶのは我々なのよ。
新編集版の頃にツイッターで、「サイコパスって話は現代から切り離された近未来SFに見えるけど、実はサイコパスの世界はこの今の世界と地続きになっているかもしれない未来の可能性のひとつであるという警鐘」みたいなことを言ったんだけど、2期でもそれを最後に出して警鐘を鳴らしたな…と。
我々が社会の未来を選ぶことを放棄した結果が、「決断力」をいうものを放棄して、システムに管理され、決断されるあの世界。そういう可能性を現代社会はもうすでに秘めているんだよ…というのが、サイコパスという物語がSF的警鐘を鳴らしている部分じゃなかろうか。
そして思うのは、前述した本来ターゲットとしたサイバーパンク好きの男性をファン層に取り込めなかったって理由の一因になり得ているのかは分からんけど、SF(サイバーパンク)としてはあまりにも現代社会に近すぎたせいかもしれんね。
ドミネーターという突出したSFガジェットやはあるにせよ、ホロなんかはあと一歩の技術だし、こまごまとしたガジェットがあまりにも現代社会寄りすぎて、変にリアル感がでてSFらしさを感じさせなかった…ってーのはあるよね。
SFだけどサイバーパンクってよりは、俄然、刑事ドラマ色のほうを強く感じるし、正直、あの例の発言は「どの口が言う」としか言えないわw むしろこれでサイバーパンク好きの男性ファンが多数つくと思っていたのかと…キャラデザなんかも含めて。

そして新たな日常へ…。
1係には正式に須郷が加入…てか、須郷さん、その机の位置は新ハウンド3っすか!?
ギノと仲良くやってる…とか、腐ったお姉さん方の胸が熱くなるじゃないですかー!!(人のこと言えんのかよw)
雛河も1係に馴染み、美佳はやっぱり美佳のままw
そして施設に収容された水絵は自分の目で世界を見る…。自分を見つめなおした水絵には、ぜひとも穏やかに生きてもらいたいもの。潜在犯になってしまったので穏やかにも何もないだろうけど、それでも今度こそありのままの自分で生きていって欲しいと願うよ。

そしてED後のCパート。
綺麗に片付けられた朱の部屋。タバコを消し、部屋を出て行く朱。
ものっそ綺麗に終わった―――――ぁ!!?
前回まで「本当にあと1回で終わるのか!?」と危惧していたのが嘘のように綺麗に終わった…。
…でもね、…ないよね? アレが、ないよね!? そう、「シビュラはどうたら…」っていう文言。
あ、そうか、劇場版に続く…というか、劇場版で出てくるのか、新しいその「シビュラはどうたら」っていう文言。
しっかしまぁ、ホントに綺麗に終わらせたよねぇ…見事なくらい綺麗に終わらせて感服したわ。
変に劇場版を意識した終わり方でないのがまたいいよね。逆にこれ、劇場版へ繋がるような終わり方だったら萎えてたと思う。
あくまでも2期単体でENDマークを付けたのは正解だと思う。
1期→劇場版として作られていたところに、そこを繋ぐために作られた2期なんだけど、ホントによく作ったなぁ…ってとにかく感服しかできない2期だわ。1期があって、そして先に劇場版があったというガチガチの制約の中で、新たなシビュラの穴を見つけ出し、鹿矛囲という革命者に犯罪を起こさせ、そして更に複雑に絡まりあったドラマを、ホントよくぞ描いた!!
細かい部分ではモヤッとしたりモニョる部分もあるけど、とにかく気持ちのいい終わり方だった。1期に比べたら爽快感は倍以上あるよね。
そして、全く劇場版へ繋げる要素もなく終わったのに、この爽快感が更に劇場版を楽しみにさせてくれるね。
ただ、2期をまとめるには、劇場版を見ないことにはまとめられない気がしている。おそらく、劇場版を見ることで分かる部分って結構ありそうな気がするし。
しかし、それでも現段階で2期をまとめるならば、1期があり、そして先に劇場版の脚本があり、その2つを前提としたガチガチの制約の中で、よくぞここまで緻密に、複雑に2期のドラマを作り上げたもんだと、ただただ感服するばかり。
ただ、1期および新編集版を超えたかと問われると、私は頷くことはできないけど、それでも「優れた刑事ドラマ」として私はサイコパス2期はお勧めできる。
そして1期は「未来に希望が持てたらいいよね」という終わり方だったけど、2期は朱が集合的サイコパスをシビュラに認めさせたこともあって、「もしかしたら未来に希望が持てるかもしれない」という一歩前に進んだ終わり方だったのもまた良かったよね…と。多分、2期の終わり方に感じた爽快感はそこかな。
「一歩前に進んだ」というのは、シビュラが集合的サイコパスを認めたことで「進化」したということなんだけども、ここでサイコパスという物語を見るにあたって必要な「2つの価値観*4」が出てくるのよ。
シビュラが集合的サイコパスを認めることで自らも裁きの対象となった。そのことで個人個人はクリアでも集団としては潜在犯となる社会となり、それが市民の疑心暗鬼を産んで魔女狩り社会になる危険性を孕むことになった。すなわちそれは、シビュラは進化しつつも旧社会へと「退化」して行くことになるのかもしれない。
それに、朱の望みはおそらく人々が自らの手でシビュラと決別することを選択する社会なのだと思うのだけど、早い話が自分で考え自分で選択するという旧社会への退化なんだよな。「シビュラが進化」することで「社会が退化」するってーのも、なかなかSFらしい皮肉ではある。
とはいえ、あくまでも「進化が退化という皮肉」…いうのは、我々視聴者の価値観での話。
サイコパスのあの社会は、人間が思考や決断といったものを放棄した世界。今回、シビュラが集合的サイコパスを認めて「進化」したことにより、もしかしたら市民(人間)が自ら考え、決断する要素は増えていくのかもしれない。
自分で思考することなく、シビュラに決断を委ねている人間たちが、シビュラの進化によって思考力や決断力を取り戻せば、それはあの世界の価値観では「進化」に当たるんだよね。
自分で思考することなく「決断力」を放棄し、シビュラに決断を委ねた人間たちが、そのシビュラが「進化」することで決断力を取り戻す…。進化であり、退化であり、原点回帰でもある…ってことか。
ループしているようで実は螺旋を描くスパイラルな物語でもあるサイコパスらしいっちゃサイコパスらしいし、1期とは違って、そこに希望を持たせた2期の終わり方は、それもまたスパイラルな物語であるサイコパスらしい終わり方だったのだろう。
…しかし、前述の通り3期や劇場版2をやって欲しいかというと、素直に頷けない部分が大きいのも確か。
最初に槙島(免罪体質者)というチートを出してしまったことで、それ以上の犯罪者はいないと詰んだはずの2期で出てきたのが、プチシビュラとも言える集合体である鹿矛囲。ならば3期or劇場版2で出てくる犯罪者は…?
探せばあるんだろう。なにせ今回「集合的サイコパス」という新たな概念が生まれた。ならば3期or劇場版2は、お手軽にそこつけばいい。
しかし、続ければ続けるほど、どんどん設定はガチガチになっていく。そしてそのうちサイコパスファンであるクリエーターしか物語を作れなくなる。この先続けていくことによってどんどん内輪受けの作品になるかもしれない…そんな危険性をもう孕んでしまったわけだ。この2期と劇場版で。
派生するスピンオフならまだいい。しかし、アニメ本編は内輪受けの作品になるべきではない…と私は思う。2期で冲方丁と熊谷純という新しいクリエーターを入れたように、この先も続けるならば、然るべきタイミングで新しいクリエーターを入れて風通しを良くしないと、攻殻機動隊シリーズのように「ファンにしか受けない作品」にサイコパスもなってしまう気がするんだよなぁ…。
ただ、個人的にはサイコパスという話がサーガ化していくことには賛成というか、あの社会が長い目で見た時にどうなっていくのか、その社会の中に生きる人間たちはどうあがいていくのかというのは興味があるし、できることならば見てみたい。
それに「常守朱が主人公の物語」としては、朱が監視官でいられる10年間しか描けないし、劇場版時点で2116年ということは、あと6年分…おそらくはあと1回か2回しか「常守朱が主人公の物語」は描けないはず。そしてその間に朱がどれだけ社会を変えられるというのか…。
とはいえ、「シビュラを打倒する物語ではない」ので、朱がシビュラを打倒する必要はないし、道半ばで物語が終わることだって充分にありえるわけで、要は、1期・2期、そして劇場版もそうであろう「綺麗に終わらせた」はずの物語をダラダラと続けてサイコパスというコンテンツが死んでしまう前に綺麗に終わらせることが最も重要だと思うので、そういった意味では、やはりこの劇場版で終わっとくべきという気もする…。
これはあくまでも2期が終わった今現在の気持ちなので、劇場版を見たら、もしかしたら「いや、やっぱり3期やろうよ、このメンバー(キャラクター)で」って気持ちになるかもしれないし、「やっぱり劇場版で終わっとくべき」という気持ちのままかもしれない。
もうなんかグダグダと言ってるけど、早い話が早く劇場版見たいってことですよ、今はw


そして、各話最大1週間遅れの範囲で何とかサイコパス2期のブログも完走出来ました。
拍手やコメント、ツイッターでの感想やコメント、ありがとうございました。
多分、劇場版までブログを書くと思うので、もし良かったらもう少しお付き合いいただけると幸いです。


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*1:鹿矛囲のホロのひとつだった5話の軍事ドローン施設のオペレーター

*2:女性ファンの多さというか男性ファンの少なさに本広以下の製作陣が驚いたという話

*3:踊るシリーズや海猿なんかがいい例

*4:我々視聴者が持つ現代社会の価値観と、サイコパスという物語社会の価値観